捨て身のルポ! 吉原の「連れ込み宿」でホントに起こった心霊現象
漂うのは自殺者の霊魂か、売春婦たちの呪縛霊か?
日本一のソープ街・吉原(台東区)にある最後の「連れ込み宿」が、先月末、惜しまれながら閉館した。吉原で「連れ込み宿」というと、宿泊すると提携先の”マッサージ店”から女性を呼ぶことができ、特別なサービスを受けられる宿のことを指す。今回、廃業の運びとなった「T旅館」の女将が言う。
「20年ほど前までは、吉原に10軒以上の『連れ込み宿』があり、100人を超える”マッサージ嬢”がいました。でも、3~44年前から嬢の高齢化などでめっきりお客が減っちゃって。今回、閉めることになりました」
T旅館は創業約50年の歴史を誇る、由緒ある「連れ込み宿」だった。そのレトロな趣が人気を集めたが、T旅館が吉原通の間で有名だったのは、他にも理由があるという。女将が続ける。
「実は、霊が出るんです。私が女将になる前の話ですが、部屋でクビを吊った男性客とか、亡くなったマッサージ嬢がいたらしい。実際、私も寒気がしたり、腕に掴まれたような痣(あざ)ができたことが何度もあります。他の従業員からも、掃除の最中に身体が重くなったなんて話はしょっちゅう聞いていました」
はたしてこのT旅館には、本当に霊が集まっているのか。T旅館は新館と旧館にわかれているが、女将によると、「特に出る」のは、10年ほど前から使用禁止になった旧館とのこと。本誌は真相を確かめるべく、旅館が閉館する直前の7月末、女将に頼み込んで旧館への宿泊を敢行した。
夜11時過ぎ、「髪の長いオンナの霊がよく立っている」という入り口をくぐり、旧館に入る。記録的な猛暑にもかかわらず、冷房ではない冷気が漂っている。
懐中電灯で照らしながら、階段を登り、2階にある部屋を見ていく。長年、使われていなかったために、天井には穴が空き、畳はボロボロ。古ぼけたブラウン管のテレビや不気味な鏡台など、まさに「幽霊旅館」という趣である。
旧館内でも最も従業員の心霊体験が多いというのが、2階の「早苗」という部屋だ。その部屋に近付き、襖(ふすま)を開けようとすると、突如、記者の身体は重くなり、起きているのに金縛りのような状態に。あまりの恐怖にパニックになったため、「早苗」探索は断念し、比較的状態の良かった1階の部屋に陣取った。
だが、ここでも窓は開けていないのにどこからかぬるい風が吹き抜け、うめき声や笑い声が聞こえ続けてくる。声がどこから聞こえてくるのか、恐怖に震えながらも廊下やトイレを見てみるが、それらしいモノは見当たらない。
もはや取材どころではなくなった記者は、気を紛らわせようと、スマホで音楽を流したが、電池は切れていないのに音楽がたびたび止まる始末。一晩泊まる予定だったが、わずか3時間ほどの滞在で旧館を後にした。
予定変更を詫びて帰る際、女将は清めの塩を記者にふりかけながら、「大丈夫、意外に霊はついてないよ」と笑った。
T旅館に何らかの霊が住み着いていたのは間違いないだろう。気になるのは、この旅館が閉館した今、この霊たちはどこを彷徨(さまよ)っているのか、ということだ。