ドラマ『シロクロ』で清野菜名が演じるミスパンダともう一人の自分 | FRIDAYデジタル

ドラマ『シロクロ』で清野菜名が演じるミスパンダともう一人の自分

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ドラマや映画だけでなく、舞台でもキレキレのアクションで観客を魅了すう清野(’19年)
ドラマや映画だけでなく、舞台でもキレキレのアクションで観客を魅了すう清野(’19年)

このところ、すっかりアクションを封印。演技派女優への道を歩み始めていた清野菜名が、横浜流星とW主演するドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(日本テレビ系)では初回の冒頭から、快刀乱麻のフルスロットルだ。

白い衣装に黒いキャッツアイをあしらったミスパンダに変身して、アクロバティックなアクションを繰り出す姿には目を奪われた。しかもキレッキレのアクションは型にはまらず、自由で奔放なのがますます良い。

「国民的な女優と呼ばれる綾瀬はるかや、長澤まさみ、朝ドラ女優の土屋太鳳に本田翼と華麗なアクションは、今や一流女優の必須条件になっています。そんな中、映画『キングダム』でも活躍し、アクション監督・俳優として知られる坂口拓の元で本格的な訓練を受けた清野は、筋金入りのアクション女優ですよ。中学3年の時に極真空手で世界の頂点に立った横浜流星との今回のW主演(バディ)は、まさに触れ込み通り”令和最凶のバディ”です」(スポーツ番組ディレクター)

このドラマは、驚異的な身体能力を持つ謎の女・ミスパンダと彼女を操る男・飼育員さんが、”Mr.ノーコンプライアンス”から依頼を受け、世の中のグレーな事件に白黒をつけるシニカルヒストリー。しかし注目すべきは、清野のアクションシーンだけではない。”ミスパンダ”と変身前のネガティブな”川田レン”とのギャップにも、ドラマの今後の展開を匂わせる秘密が隠されている。

「10年前の火事で双子の姉であるリコを失ったレン。母・麻衣子(山口紗弥加)は、そのショックからいまだに入院したまま。その時のトラウマから、レンも心を閉ざしてしまったのか。その謎が、第2話の冒頭で描かれる”ミスパンダ誕生秘話”で明かされます」(テレビ誌記者)

10年来レンが通う大学病院で、精神医学を学ぶ”飼育員さん”こと森島直輝(横浜)と初めて病院の廊下で遭遇。そこで「私を檻から出して」というレンの心の声を聴いてしまう直輝。

一体レンはどんなトラウマを抱えているのかと、興味を持った直輝は”パンケーキにハチミツを垂らして”催眠術をかけ、レンを”ミスパンダ”に変身させる。しかし回を追うごとに火事で亡くなったのは、”リコ”ではなく”レン”ではないかという疑問も浮かび上がってくる。原作のないドラマで、清野はこの一人二役をどう演じているのか。

「この難しい役を演じるにあたって清野自身、『レンの繊細な部分をどう表現するのかが、難しくて課題』と漏らすも、『レンのネガティブな部分に共感する一方で、ミスパンダの明るい要素も自分は持っている気がして。どちらのキャラクターも自分の中にあるイメージです』とインタビューでは答えています」(前出・テレビ誌記者)

“どちらのキャラクターも自分の中にある”と清野が答えるのには、訳がある。

「中学の時にファッション誌『ピチレモン』の専属モデルとして活動。単身上京後、身長がそれほど高くなかった清野は女優転身を決意。しかし16歳の時に深夜ドラマ『桜蘭高校ホスト部』(TBS系)に出演するも戸惑うばかり。ワークショップに何度か通いましたが生来人見知りで、殻に閉じこもる性格から何も身につかない。オーディションに行き審査員を前にすると顔が真っ赤になり、恥ずかしいのか下を向いてしまう。その頃の清野は、まるでレンそのもの。ところが映画『バイオハザード』を観て女優ミラ・ジョヴォヴィッチのアクションに度肝を抜かれ、清野はアクションに目覚めます」(ワイドショー関係者)

そんな清野に転機が訪れる。高校を卒業して「もう実家に帰ろうか」と諦めかけていた19歳の頃。世界初のバトル・ラップ・ミュージカルと公開前から注目を集めていた映画『TOKYO TRIVE』(‘14年公開)で、ヒロイン役に抜擢されたのである。

「1回目の配役オーディションには落ちたものの、清野は2回目のアクションメンバーのオーディションで園子温監督の目に留まり、急遽主演に抜擢されます。満島ひかり、二階堂ふみといった若手女優を発掘してきた園監督は、アクションシーンでキラキラした輝きを放つ清野に眠る女優としての才能を見逃しませんでした」(制作会社プロデューサー)

覚醒した清野は、翌年押井守監督のアクション大作『東京無国籍少女』で映画初主演。演技への不安をアクションで払拭した清野だが、その後は、倉本聰脚本のドラマ『やすらぎの郷』『やすらぎの刻〜道』を始め、大石静脚本『トットちゃん!』(ともにテレビ朝日系)や、朝ドラ『半分、青い。』(NHK)で、アクションを封印。清野の中で、アクションに頼らない役にも挑戦したいという思いがふつふつと湧き上がって来たのである。

「今回の『シロクロ』は、人見知りで自分の殻に閉じこもっていた一人の女性がアクションによって覚醒する、清野自身のこれまでのサクセスストーリーが凝縮されています。しかもミスパンダに変身する前の自分は、レンなのかリコなのかわからない。この難しい役どころを、どう演じきるのか。演技派女優としての技量も問われます」(前出・制作会社プロデューサー)

”アクション”と”演技力”、その両方が試されるこのドラマ。清野の部屋には「売れている時ほど、勉強すること。それがすべてです」と書かれた師でもある脚本家・倉本聰の言葉が額装されている。一人二役どころか三役を演じる清野は今、改めてこの言葉と向き合っているに違いない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • 撮影坂口靖子

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