『BIRTHJAPAN』石川社長激白!「凡人は秒速で悪党に」

ピコ太郎、『HiGH&LOW』、『 闇金ウシジマくん』の世界観を創った"狂暴すぎる洋服屋"

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「ヤクザ、ゴロツキ、ドチンピラの専門店」を標榜する『BIRTHJAPAN』。ピコ太郎のコスチュームに使用され、映画『HiGH&LOW』への衣装提供をも手掛ける”アパレル業界の革命児”はどのように誕生したのか。石川社長が独自のアウトロー哲学を語る!

禍々しいデザインと
ギラギラしたキャッチで大ウケ

コンプライアンスが声高に叫ばれ、暴力団や半グレ集団が当局の的にかけられるなか、急伸するアウトロー洋服通販ショップがある。悪党の店『BIRTHJAPAN(バースジャパン)』は、ドギツいラインナップと石川智之社長(36)の強烈なキャラでメディア露出も増加。ピコ太郎のキンキラコスチュームを手掛け、Vシネや人気映画への衣装提供も多数。いまや不良以外からも熱い視線を集めるようになったのだ。

ためしにネットで「バースジャパン」と検索してほしい。公式ホームページに度肝を抜かれるはずである。いきなり仰々しいBGMが爆音でかかり(『君が代』が流れることも)、ランダムで「血しぶき」「ヤクザ」「エンコ詰めされた指先」「菊の紋章」などが乱舞する。マウスを動かすと、それに合わせ日本刀を持った暴力団員が追いかけてくる徹底ぶりだ。

扇情的(せんじようてき)なキャッチコピーがまたすごい。トップページには「ここは、凡人は秒速で悪党に、悪党は一瞬で極悪人になれるお店です」と書かれ、「徹底ド悪党 ベースボールシャツ」「堂々と日本男児 甚平(じんべい)」「夏の重ね着 悪党クールビズ」「不良(ワル)の象徴(エンブレム)数珠」「持ってるだけでヤバさ激増! セカンドバッグ」など、仰々しい商品説明がこれでもかと並んでいる。

さらによく見ると、「不良道 イカした悪党になるための不良の在り方指南」「初心者必見!ドヤンキー入門コーディネート」などのコラム記事も充実しているではないか。そして「ヤクザボタン」と記されたボタンを押すと「お勤め、ご苦労様です!」「ブレるな! 芯を強く持つんだ!」などの力強いセリフが飛び出す。

全編を貫く禍々(まがまが)しさと情報量の過剰さに頭がクラクラしてくる。いまどき風俗店や出会い系のサイトですら、もう少し落ち着いた調子のデザインになっているはずだ。

「とにかくインパクト重視! 一回見たら絶対に忘れられない、メッセージ性の強いホームページにすることは最初から決めていた。単にいい商品が並んでいるようなサイトでは、よっぽど興味がある人以外は素通りしちゃうんだ。悪趣味でもいいから、見る人にショックを与えないと。そこが重要なんだよ」

そう語るのは石川社長。かつては自身も札付きのワルだったが、敏腕経営者として成り上がったいまは、不良界のトップランナーとしてカリスマ視されている人物だ。

「街を見渡してよ。不良っぽい恰好をしている奴なんて今は全然いないでしょ? だけど全国規模で見れば、アウトロー系ファッションというのは確実にニーズがある。だからショップ展開をせず、通販一本で洋服屋をやることにしたんだ。しかも不良カジュアルというのは流行のサイクルが早い女性物のブランドなどと違うので、次のシーズンも販売できる。つまり、余剰在庫を抱えないで済むというわけ」

Vシネマから飛び出してきたような見た目とは裏腹に、地に足がついた経営哲学は説得力抜群。最近はビジネス系の講演会に招かれることが多いというのも頷ける。聞けばバースジャパンの鮮烈なキャッチコピーはもちろん、デザイン、素材の仕入れや流通ルートの確保、写真撮影、HPデザイン、広告制作などもすべて石川社長自身の手によるものだという。

「俺なんて最終学歴が中卒だからね。WordやExcelはもちろんのこと、パソコンでメールも打てない男だった。だけど全部独学で勉強して、PhotoshopやIllustratorも使いこなせるようになったよ。要は気合とか根性の問題じゃない? そこにいくと不良っていうのはバイタリティがあるから。本気を出したときの馬力がハンパじゃない」

生存競争の激しいファッション業界に身を置く石川社長だが、自身はこれまで師匠についたこともなければ、服飾系専門学校に通ったこともない。ゼロからスタートし、すべて手探りで開拓してきたのだ。

「そもそも洋服を販売するようになったきっかけは、2足5000円で売られていた靴だった。近所のスーパー『マックスバリュ』にメシを買いにいったら、めちゃくちゃカッコいい靴が並んでいたんだ。その頃、巷(ちまた)では”お兄系”と呼ばれるファッションが流行っていた。ホストとギャル男の中間みたいな恰好だよね。渋谷とかに行けば1万5000円くらいしそうな靴が、1足2500円なんだから。『これは!』と思ってネットで転売したら、飛ぶように売れた。それで味を占めたんだ」

靴や洋服を大量に売買するうちに、どうせならスーパーじゃなくて問屋から直に仕入れたいと石川社長は考えるようになる。洋服販売に関しての知識は一切なかったが、怖いもの知らずの強みで浅草橋の問屋に飛び込み営業をかけまくった。そして徐々にルートを開拓し、いまや海外とも取り引きをするようになったのだ。

「日本のサブカルチャーが好きだというイギリス人の女の子からメールが届いて、今ではその子に洋服のデザインを頼むこともある。もちろん俺は英語なんてできるわけがないから、全部エキサイトとかグーグルの翻訳サイトを使ってやりとりしているけど(笑)。実際の制作は中国の工場に頼むことが多いね。ただし、中国系企業は気を抜くと約束を反故にされたりする。昨年もそれで数百万円やられたよ。あと不良品が交じっていることもあるから、品質管理だけは徹底して目を光らせないといけない」

実は不良系ファッションの世界は驚くほど高価な商品が多い。だが、バースジャパンではコストカットを徹底。他のアウトロー系ブランドでは考えられない安値で販売することで、売り上げを伸ばしてきた。

「アウトロー系の洋服が高い一番の理由は、流通にあると思う。間に入る業者が多くなると、そのぶん、カネが抜かれていくわけだから。ウチは工場と直で取り引きして、商品管理も発送作業も全部自前。あと最近、社員が1人辞めちゃってさ。俺以外の従業員は妻とパートのネエちゃんだけだから、人件費はほとんどかからない。倉庫の場所にしたって、土地代がクソ安いド田舎(新潟県南魚沼市)。要は無駄を排しているから安くできるんだ。経営者として当たり前のことをやっているだけだと思うけどね。唯一の悩みといえば、募集をかけてもいい人材が集まらないこと。田舎だと、イカつい商品を見た瞬間に尻込みする人が多くて(笑)」

では、このバースジャパンを作った石川智之とは一体どんな男なのか? 「会社設立までの流れを教えてほしい」と伝えると、「生まれつきクズみたいな人生だけどね……」と波乱に満ちた半生を語り始めてくれた。

犯罪スレスレの仕事を続け
チャンスを窺い続ける……!

石川社長が初めて犯罪に手を染めたのは、記憶している限りでは5歳のときだったという。罪状は「水質汚濁防止法違反」。川に農薬を流したということで警察の厄介になったのだ。

「なんで、そんなことをしたんだろうな。そもそも最初から不良になろうと思ってなった奴って少ないと思うんだ。大抵は言葉にできないような鬱屈(うっくつ)した気持ち……そういうやり場のない感情が内面から溢れて爆発し、周りから不良と呼ばれるようになる。そして一度不良扱いされると、引き返すことは難しくなるんだよ」

水が高きから低きに流れるがごとく、悪貨が良貨を駆逐するがごとく、石川社長はワルの道を邁進。恐喝、放火、喧嘩などを繰り返し、17歳で高校を中退する頃には地元で悪名が轟(とどろ)き渡るようになる。中退した理由は無免許運転していたバイクで大事故を起こし、入院生活で出席日数が足りなくなったため。学校を辞めた彼は、生活のために新聞販売員として働き始めた。

「いわゆる拡張員っていうやつだ。ビックリしたね。事務所の中に入ると、頭はアイパーで刺青もガッツリ入ったヤクザみたいな連中がウヨウヨしているんだもん。”新聞はインテリが作ってヤクザが売る”って言うけどさ。本当にそれを地でいくような感じだった」

販売所の幹部は現役ヤクザと元ヤクザばかり。要するにシノギとして新聞を売っていたのだ。やり口も悪辣(あくらつ)極まりなかった。「お届け物でーす」などと声をかけ相手にドアを開かせると、すぐさま玄関に足を挟んで逃げ道をふさぐ。まずは粗品の洗剤やビール券などを渡して世間話を始めるのだが、場が和むと態度を一変させた。

「じゃあ新聞取ってくださいね。……は? いらねぇ? ビール券もやったのに、いらねぇじゃねえだろ! ナメてんのか、お前!」

営業というよりは完全な恫喝である。最初は先輩社員の様子にドン引きしていた石川社長だったが、意外に飲み込みは早く、3日もすると立派に脅して契約を取れるようになっていた。

「あとは超大声で泣き落とすという作戦もあった。近所中に聞こえるような大声で『お願いします! どうかお願いします!』とか土下座しながら泣くわけ。気が弱い人なんかは周りに見られたくないから、『わかりました! わかりましたから頭を上げてください』って感じで、気づいたら契約させられているんだ。新聞屋には3つの基本テクニックがあってね。脅して勧誘する”カツカン”。泣き落として勧誘する”ナキカン”。先にビール券などを渡して勧誘する”オキカン”。俺は3つとも得意だった」

彼は職業を転々とした。新聞拡張員の次に就いたのは住宅リフォーム会社。といってもそれは前職に輪をかけたような悪徳企業で、相場の3倍の値でぼったくるのが業務内容だった。

「本当にひどい会社だったね。ノルマを果たせない社員に対する制裁もヤバくて、殴る蹴るなんて当たり前。熱湯をかけたり、素っ裸にしてガス銃を乱射したり、もうやりたい放題だった。ガス銃で威嚇(いかく)するとか、今考えると完全にどうかしているよな。もちろんそんなことをしていたら社員は逃げるじゃない。だけど、そういう奴らっていうのは悪党ネットワークですぐに逃げた社員を見つけ出して、夜中に”さらい”に行くんだ。で、海とかでボコボコにして、連れて戻すと軟禁してまた働かせる。もう完全にヤクザ映画の世界だよ」

石川社長も半ばノイローゼ状態に陥った。休みはせいぜい月に2日ほどで、あとはずっと働きっぱなし。にもかかわらず、月給は5万円程度だったという。そのうえ、ノルマが果たせないと、夏場の40℃ほどある部屋に朝4時まで無言のまま閉じ込められるのだ。

「そりゃ頭もおかしくなるよな。一日中、課長を殺すことばかりを考えるようになっていたよ。殺したら、この地獄から解放されるんだろうなって。うん、本気だったね

荒(すさ)みきった会社員生活でタガが外れた彼は、リフォーム会社を辞めてからというもの、あらゆることに手を染めた。その中には「とてもここでは言えないようなこと」もあるという。そのため一時は羽振りもよくなり、月200万〜300万円ほど儲けていたそうだ。

「月給5万円の生活をしていたクソガキが急にカネを握るとロクなことがない。俺もこの頃が一番イケイケで荒れ狂っていた時期で、気に入らない奴がいれば拉致してブン殴るし、カネも女もどんどん来いみたいな。自分が王様になったような気分だった。そんな俺を見て、仕事のやり方を真似する奴まで現れてね。もちろんこっちも指を咥(くわ)えて眺めているわけもなく、そういった模倣犯にはしっかり脅しをかけていた。『俺のシマ荒らしてんじゃねぇ』とか言って」

だが、好事魔多しとはよく言ったもの。その後の運命を変えるような転機がやって来たのは、彼が22歳のときだった。ついにというべきか、傷害罪で逮捕されてしまったのだ。

警察とヤクザに追われ
絶体絶命のピンチ!

「この頃の俺っていうのは、行くあてもないはみ出し者の連中の面倒を見ていて、そいつらにも仕事を振っていたんだ。ところが、その中の1人が裏切りやがってさ。内通者みたいな真似をしたわけ。俺もまだ若かったんで、カッと熱くなって制裁を加えたんだけど、それがちょっとやり過ぎてしまったみたいで……。それが バレて、逮捕っていうことになったんだ」

留置場や拘置所には都合4ヵ月ほどいた。その間にも過去の余罪が出てきたため、「事件も事件だけに実刑は免れないだろう」と警察から冷たく言い放たれたという。ところが弁護士に恵まれた石川社長は、なんとか刑務所行きを免れ、執行猶予つきで出てくることに成功。もちろんこの程度で反省などするわけがない。再び悪事に手を染めるのに、時間は要さなかった。

「それで半年くらい経ってからかな。また事件を起こしちゃってね。正直、この事件自体は大した内容じゃなかったけど、パクられたら間違いなく執行猶予は取り消し。前の一件と合わせると、4〜5年くらいはシャバに戻れなくなるという話だった。さすがにバカな俺だって、これはマズいなって焦るよな。そこからだよ、俺の逃亡生活が始まったのは」

警察の他にも、もうひとつ彼を悩ませる存在があった。それはヤクザだ。シノギを巡って地元の組織と衝突したため、気がつけば執拗に狙われる存在になっていた。ヤクザから身を守るために石川社長が選んだのは、別のヤクザ組織にかくまってもらう方法だった。

「大阪にある組織だったんだけど、向こうも単なるお人好しじゃない。最終的には俺を組員として迎えるつもりだったらしいんだ。『しばらくはここに住め』ってマンションの一室……といってもタコ部屋みたいなところだけど……に案内された。部屋には若い衆みたいな連中が4人住んでいたんだけど、この4人っていうのが判で押したようなシャブ中。その組織は覚醒剤を太いシノギにしていたんだけど、これじゃ売人じゃなくて完全にジャンキーだろっていう話だよ。ブツブツ言いながらずっと注射器を見ていたり、壁を見てゲラゲラ笑ってたりするんだからさ。もう話にもならねぇよ(笑)」

こうして失意のまま大阪を後にすると、今度は関東近辺のネットカフェを拠点に再び逃亡生活を続けることになる。だが警察とヤクザの両方から追われるという極限状態のなか、彼は肉体的にも精神的にも疲弊していった。

「俺の人生、どうしてこんなことになっちゃったんだろう……。一体、どこで道を踏み外してしまったんだろうな……」

石川社長はネットカフェの棚をぼんやり眺めた。そこには尾崎豊のアルバム『BIRTH』と長渕剛の『JAPAN』が飾られていた。どちらも子供の頃から敬愛するアーティストだ。

「よし……。やってやろうじゃねぇかよ!」

彼は意を決した。もうこれ以上、逃げるような真似はしない。会社を立ち上げ、自分だけの力だけで絶対のし上がってやる。

ちょうどその頃、石川社長は現在の妻との結婚を視野に入れていた。まっとうな人生を送ろうと思ったら、今が最後のチャンスかもしれない。このときの気持ちを絶対に忘れないようにするため、新しく作る会社の名は『BIRTHJAPAN』に決めた。

前述したように、最初はホスト系やお兄系と呼ばれる洋服を販売していた石川社長。その中でも主力商品だった白いスーツが、ホストだけではなく不良からも問い合わせがくるようになる。これは本人にとっても想定外のことだった。

「手応えはあったよね。白いスーツを扱っている問屋に行くと、他にも不良が喜びそうな服がたくさん並んでいるわけ。蛇柄のコートだの、ヤクザが着ているような犬の顔が描いてあるジャージだの、良識ある人たちが顔をしかめるようなラインナップがズラリ。そういうのを少しずつ仕入れることにしたんだ」

もともと彼自身も不良だったから、不良の感性は手に取るように理解できた。写真撮影や画像編集をしていても、非常にやりがいを感じたという。「これならいけるのではないか」という予感が確信に変わっていく。

「ホームページ制作にしても、おしゃれで洗練されたサイトなんて俺には無理。でも悪そうなサイトなら、いくらでも作れる気がしたんだ」

バースジャパンが「ホスト系とチョイ悪系の商品が並ぶ店」から「完全なる不良の店」にデザインを刷新したのは’09年のことだった。これで現在の雛形が完成されたと言える。

「いたずらに不良を美化する気はないけどさ、あいつらのストレートな思いって見ていて心打たれるものがある。今の時代、どれだけの奴がヤンキーみたいにまっすぐ生きられる? いまの俺は経営者だし、2児の父。見る人が見たら不良でもなんでもないかもしれないけど、根底に流れる気持ちは変わっていないはずだよ」

ヤンキー以外の人たちにも
積極的にアピール!

10代の頃から『CUFFS 〜傷だらけの地図〜』(東條仁)や『今日から俺は!!』(西森博之)などのヤンキー漫画に夢中だった石川社長。不良特有のメンタリティを、こう分析する。

「ヤンキーの奴らって、考えていること自体はシンプルなんだ。”強くありたい””男らしくなりたい””ナメられたくない””目立ちたい”……あとは”認められたい”っていう気持ちも強いな。”こんな生き方をしていても、本当は認められたい”とか”なんらかのかたちで自分を表現したい”とかね。主張自体はシンプルだけど、メッセージ性がすごく強い奴らなんだよ。俺はそういう奴らの気持ちを汲み取ってやりたいと、それだけはいつも真剣に考えている」

バースジャパンは「強さ」「悪さ」「怖さ」といった要素と並行して、ユーモラスなセンスが感じられるのも特徴。「ムショ割(引き)」「出所割(引き)」といった冗談か本気かわかりかねる企画はネット上でも大きな話題を呼んだ。もちろんこれは彼のアイディアである。

「単なる洋服屋じゃ満足できないんだよ。サービス精神というか、エンタメ性というかね。プラスアルファの要素を入れたくなってしまう。バースジャパンのホームページはヤンキー以外の人たちも見てくれるんだけど、結局、それは普通の人でも面白いと思えるからだと思う。あるいは普通の人のほうが、未知な世界であるぶん、より大きなショックを受けているのかもね」

『2ちゃんねる』やTwitterなどでバースジャパンがしばしば話題になることを、石川社長は「非常にありがたいこと」と受け止めている。なかには「なんだよ、ムショ割ってw」などと小バカにする書き込みもあるが、それも含めて宣伝になっているという考え方なのだ。事実、アンチの意見が拡散されることでバースジャパンの存在を知った者は少なくない。

「地元で自分の会社の悪口を言われたら、速攻で半殺しにするよ。でも、ネットでだけデカい口を叩くクソ地味根暗オタク共に何を言われてもねぇ。なんのダメージにもならないよ。俺から言えるのは『無料宣伝員、ごくろうさま!』って感じかな。その拡散によって、テレビやあんたら雑誌にも取り上げてもらえるようになったわけだしさ。むしろ最近はアンチの奴らが拡散したくなるような企画をどんどん増やしているんだ。”店長逮捕12周年セール”とか”5月9日・10日はゴクドーの日”とかね」

では、こうした奇抜なアイディアはどこから生まれてくるのか? 石川社長によると、アイディアのヒントはいたるところに転がっているそうだ。大事なのは「これはうちにはできないな」「これは関係ないな」と考えずに、「このノウハウをうちの店で使うんだったら、どんなことができるか?」「このチャンスに、うちならどうやって乗っかるか?」と発想を変えること。やらない理由を探すより、自社で実践するための方法論を模索するべきだというのだ。

「アイディア自体はパッと思いつくこともあるし、酒を飲みながら話していた冗談が元になることもある。特に酒の席はアイディアの宝庫だよね。みんなでバカ騒ぎしながら『こんなのやったら面白そうじゃん!』とかふざけていると、たまにハッとする意見が出るのよ。それを単なる酒の席の冗談で終わらせるなんてもったいないじゃない。俺から言わせると、トイレにダイヤの原石を流しているようなものだって。たとえばポケモンGO!が大流行したとき、うちでは”スジモンGO!”っていう企画を作ったわけ。あれも酒の席で出たアイディアだからね。なにも会議室で眉間に皺寄せて話し合うことだけがすべてじゃないんだからさ」

現在、バースジャパンの主力購買層は30代〜40代の「昔ちょっと悪かった人たち」。そのため、10代〜20代の若者に向けた「BLOOD MONEY TOKYO(ブラッド・マネー・トーキョー)」と、30代以上の大人の男性に向けた「DIAMOND JAPAN(ダイヤモンド・ジャパン)」の2ブランドを展開している。これらに加え、今後はニッカポッカなどの現場作業服や、レディースやキッズ商品のラインナップも充実させたいと石川社長は目を輝かせる。

「男っていうのは、結局、どこまでいっても強さに憧れるものなんだよね。ガキだったらスーパー戦隊に夢中になるし、老人もチャンバラ時代劇が大好き。それに不良じゃない一般人だってボクシングやプロレスは観るわけじゃない。そう考えると、なにも”不良限定”って感じで可能性を狭くする必要はないし、女性向けの商品だって全然ありじゃないかと思うんだ」

ビジネスは楽しみながらやるというのが石川社長のポリシー。自分自身がワクワクしないと、顧客を楽しませることはできないという。今は自宅から車で10分かけて会社に通っているが、毎日8時半の出勤が楽しくて仕方ないと語る。この調子なら、今後もギョッとするような商品と企画で我々を楽しませてくれそうだ。

本社にズラリと並んだ、主力商品のセットアップ。身につければヤンキー度数が爆上げされること間違いなしだ

倉庫ではジャージやTシャツなどが管理されている。湿度や温度も調整しやすいように窓は常に閉められた状態

もちろん洋服以外の小物類も充実している。Vシネの中でしか見かけないようなアクセサリー類がなんとも強烈だ

本誌インタビューに応える石川社長。見た目はチンピラそのものだが、仕事の話になると地に足のついた経営者の顔に

若かりし頃の石川社長の姿。“現役”当時は空手を習っていたこともあり、ステゴロのケンカには自信があったという

以前は印刷所があったというバースジャパンの社屋。これだけの広大な敷地を確保するのは都市部では困難なはず

「基礎!!」「反復!!」「比較!!」「確認!!」と檄文が並ぶ。商品管理と発送業務は確認の連続。何度も入念にチェックする

人間のやることだけにミスはどうしても生じる。「過信してんじゃねぇ」は、すべての仕事に当てはまる言葉だ

会社のいたるところに貼られまくっている物騒な注意書き。これを見るだけで、身がすくむような思いになる

映画やドラマ、話題作にも引っ張りだこ!

ピコ太郎の世界的ブレイクは、インパクト絶大なアニマル柄の服によるところも大きいだろう。この衣装がバースジャパン製品であると週刊誌で報道されると、石川社長のもとには問い合わせが殺到したという。

「ところが、彼の所属事務所がうちの商品ということを認めない(笑)。”ピコ太郎が着ている衣装”ということで有名になったのは事実だけど、そもそもバースジャパンのビジネス相手は全国の不良たち。なので、売り上げにさほど影響はなかったかな」(石川社長)

バースジャパンの名前が広まるにつれ、映画やドラマから衣装提供のオファーも飛び込むようになってきた。現在までに提供したのは40作以上。代表的なのは『闇金ウシジマくん』『HiGH&LOW』や『ごくやん』といったところだが、『仮面ライダーアマゾンズシーズン2』や『特命係長只野仁』といった非アウトロー作品からの要望も増えてきた。直近では、東映の超大型ヤクザ映画『孤狼の血』でもバースジャパン商品が不良の世界観を演出している。

「俺も全部は追い切れないから、映画のクレジットで見つけた知り合いが教えてくれることも多いんだ」(同前)

あなたの好きな作品でも、バースジャパン商品が使われているかも?

ご存知、『PPAP』のピコ太郎のキラキラ衣装。世界的大ブレイクはこの衣装とともにあった

映画『ごくやん』の中で着用されたセットアップ。炎にまみれたデザインがアツい!

取材・文:小野田衛 撮影:丸山剛史

 

Photo Gallary14

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