興収10億円突破目前「カメ止め」 映画史に残る大快挙が拡散中!
映画「カメラを止めるな!」を巡るムーブメントが、とんでもないことになっている。週末興行収入ランキング(8月11日・12日)によると、「カメラを止めるな!」は全国55スクリーンでの興行収入が1億2462万円となり、9位にランクインした。さらに、驚くべき情報が飛び込んできた。「9月上旬には興行収入10億円を突破する見通し」だというのだ!
映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、驚きを隠さず、こう語る。
「私は7月18日にツイッターで次のように発信しました。
――「カメラを止めるな!」が止まらない。都内・ユーロスペースの上映が増えても、同館ではこの土日月・1日3回上映が全回満席。K’s cinemaでも、朝1回上映が土日月満席。全国の興行成績は、何と興収2000万円を超えた。期待を込めて日刊ゲンダイで書いた1億円突破の可能性が出てきた。恐れ入った――。
その後、別のコラムでは、
――最終5億円が視野に入り、再度冗談半分で10億円もありうるのではないか――。と、再度期待をこめて書きました。
それが最新情報によると、9月上旬には実際に興行収入10億円を突破する可能性が高まっています。いまや「カメラを止めるな!」は、その時々の予測や期待をはるかに超えて、映画興行の常識を毎週毎週打ち破ってゆくのです」
この“驚き“の中心人物である「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督に「FRIDAYデジタル」は「拡大公開にあたっての不安」を尋ねている。
「拡大上映が始まったら、熱気がムンムンした満席の中で観るという体験は、もしかしたら減っていくのかもしれないなと思います。ただ、さっき確認したら、金曜日と土曜日はめっちゃ埋まっていて、難波の劇場とか完売している回がありました。「また超えてきたな」と実感しています」
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監督がいう「また超えてきた」とは、TOHOシネマズ日比谷では舞台挨拶のチケット約500席が2~3分で売り切れ、拡大上映を控えた8月2日時点での手応えだった。
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その週末、新たに上映が始まった各地の映画館でも満席回が続出、週末興行成績ランキングでは、公開7週目にして10位に食い込んだ。その後も監督をはじめ関係者の予測を超えて行く状況は続き、8月9日にはついに全国47都道府県、150館での上映が決まった。
そして、拡大公開から2度目の週末であるで8月11日、12日の興行収入は1.2億円、興行収入ランキング9位、となったのだ。
業界関係者が公開規模と興行成績について語る。
「夏の映画は、ハリウッドによる人気シリーズの続編や、テレビ局が主導するドラマの映画化やアニメ映画が勢揃いして、し烈なデッドヒートを繰り広げている。人により好みは分かれるにせよ、おしなべて出来も良い。
超大作だと公開から1週間で10億円以上を稼ぎ出す。『ジュラシック・ワールド』など第1週は1002スクリーンですから。先週末に公開が始まった『オーシャンズ8』は470スクリーン。
いくら盛り上がってきた「カメラを止めるな!」でも、この牙城を崩すのは難しい。とはいえ、「カメラを止めるな!」の土日の興行収入は1億2462万円。54スクリーンでの上映なので、いわゆるスクリーンアベレージは約230万円。これは驚くべき数字です」
上田監督が望む、映画館の中が熱気ムンムンの状態は、拡大公開後も続いているのだ。
棒グラフを見ていただこう。現在上映中なのは54館55スクリーンだ。今後、17日~18日の週末に14館増、24日~25日の週末に37館増、31日~9月1日の週末に13館増、これで118館となる。9月2日以降の上映を決めている映画館を加えると発表されている150館以上になるわけだ(あくまで8月13日現在の情報、さらに増加の気配)。先週末の3倍以上の上映館が出そろった時、日本の映画興行界に一体何が起こるのか?
映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、
「予想だにしなかった偉業、映画界始まって以来の大快挙が起こっている」と語っている。改めて氏にヒットの要因、そして「カメラを止めるな!」がどこまで行くのか、分析してもらった。
「ネットのインフラが整った今、近年の映画はSNSによって拡散する。その時にウケる要素としては、あくまでも中味が大切。既成の宣伝費をかけて認知度を高める、という仕掛けた宣伝だけでは伝わらなくなった。「カメラを止めるな!」には、一般の観客が「面白い」と感じる中味の特殊性がある。それは仲間意識、家族愛、ユーモア、エンターテインメントの要素がてんこ盛り。恋愛も、なくはない(笑)。エンターテインメント映画を構成するいろいろな要素が嫌味なくスムーズに絡み合っている。だから新鮮、斬新、心を打つ。
実は最初のゾンビ映画部分を観ているときは帰ろうかと思った。ところがそれを超えるとチープ感がホンモノ感に逆転する! その面白さが拡散するときの”根っこ”になっている。
今の映画は一度火がつくと、とことん拡がる、その傾向がさらに顕著になっている。「カメラを止めるな!」の拡散の仕方は、「ネタバレを言っちゃいけない。でも面白い」。それを聞いた人たちには「一体どんなものなのだろう」と、全体像が分からないままに伝わっている。さらに、SNSのユーザーはネタバレを極端に恐れていて、これから観る人に配慮しながら拡散させる、というスゴイ現象が起きている。
これから、地方でもさらに上映が拡大する。「話題」は届いているが「ゾンビもの(?)」という程度しか映画のことは伝わっていない。また、実はふだん映画を観ているボリュームゾーンはシニア層です。もし、地方でも拡がり、年齢層も拡がれば……、20億円行っちゃうかもしれません」
上田慎一郎監督はFRIDAYデジタルに次のように語っている――。
「今まで家族に映画を一緒に観に行こう」なんて言ったことがなかったという人が、家族を連れて観に来てくれたことがありました。この映画は、ファミリー映画として、家族で観ることもできるのです。ゾンビが出てきたり、血が飛び散ったりするのですが、小さな子どもでも、女の子でも、お年寄りでも楽しむことができます」
この夏。「カメラを止めるな!」を単なる「話題」として消費してしまうか、自分自身の「体験」とするか――、答えはひとつ。
取材・構成:FRIDAYデジタル
撮影(特写):竹内みちまろ
『カメラを止めるな!』(c) ENBUゼミナール
製作: ENBUゼミナール
配給:アスミック・エース=ENBUゼミナール