早慶は人気急落 都市部から“Fランク大学”が無くなった理由

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東京文京区本郷にある東洋学園大学の本部キャンパス。グローバル・コミュニケーション、現代経営、人間科学の3つの学部を有する。映画『カメラを止めるな!』で主演を務めた俳優の濱津隆之はOB

「大学入試では、どこの学校も難しくなっています。特に都心部では、その傾向が強い。もはや東京や大阪など、都市部には『Fランク大学』は存在しないんです」

大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が語る。

Fランク大学――。偏差値が低く合格しやすい大学のことだ。石渡氏が解説する。

「『Fランク大学』というキーワードが登場したのは’00年のこと。大手予備校の河合塾が、私立大学の難易度ランク表に『Fランク』を新設したんです。河合塾のランキングでは、合格者と不合格者の割合が半々になる偏差値帯を、それぞれの大学の難易度としていました。しかし大学や学部の増加により、従来のランクづけでは偏差値を算出できない(不合格者がどの偏差値帯でもゼロまたは少数)学校が急増したんです。本来は受験用語の一つに過ぎなかった『Fランク大学』という言葉は、アッと言う間にネットで拡散。受験生の間で、『誰でも簡単に入学できる偏差値の低い大学』という意味で使われるようになりました」

こうしたFランク大学は、不人気から常に経営危機にさらされてきた。志願者が定員の80%に満たない学校も多かったのだ。’14年には122校、実に21.1%のFランク大学が「定員の充足率80%未満」だったのである。ところが……。

「定員の厳格化により、Fランク大学を含め各校が総難化したんです。’17年までは定員の1.2倍以内まで合格者を出せていたのが、’18年から1.1倍以内に抑制されました。合格者の絞り込みにより、受験生は上位校を敬遠するようになります。さらに来年度から導入される共通テストも、受験生の心理に大きな影響を及ぼした。文部科学省の方針が二転三転し対策が建てられないため、志望ランクを下げてでも今年なんとか合格しようと安全志向が強くなったのです。早慶に受かる実力のある受験生がMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)に志望を下げ、MARCHに合格できる生徒が日東駒専(日大、東洋、駒沢、専修)に流れる……。“玉突き現象”で、下位になればなるほど人気が高まっていきました」(石渡氏)

受験生の下位校への流入は、入試倍率に如実に現れている。以下、都内で倍率が急上昇した主な大学を紹介しよう(左が’10年、右が’19年)。

東洋学園大 1.1→4.2
東京富士大 1.2→6.0
日本文化大学 1.3→4.9
帝京科学大学 1.5→4.8
東京未来大学 1.7→4.3

関西圏でもこうした状況に変わりはない。

大阪国際大学 1.1→8.4
京都先端科学大学 1.1→2.6
大阪観光大学 1.2→5.1
四条畷学園大学 1.5→3.2
大阪学院大学 1.5→6.2

前出の石渡氏が続ける。

「これらの大学の人気が上昇したのは、もちろん文科省による入試改革のためばかりではありません。キャンパスを刷新したり、よりアカデミックな授業を取り入れるなど教育努力もしています。ただ、もはや『Fランク大学』という言葉が当てはまらないのは確かでしょう。一昔前のように、そう簡単に入れる大学ではなくなっているのです」

すべての生徒の受け皿になるような学校は消滅した。今年も受験生にとって、非常に厳しい大学入試が繰り広げられている。

  • 撮影山崎高資

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