杉田水脈議員 「LGBTは生産性がない」の差別発言で大炎上

〈LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです〉（「新潮45」8月号より）

“安倍チルドレン”の女性議員、杉田水脈(みお)衆院議員(51)によるLGBT（性的少数者）への大暴言が、安倍政権をグラグラと揺るがし炎上している。

自民党の重鎮・二階俊博幹事長は、「人それぞれ政治的な立場、いろんな人生観、考えがある」などと杉田氏を擁護。しかし、与野党双方から批判や疑問の声が上がり、「火消し」にはなっていない。

「生産性という言葉が政治家として適切なのか。第一次安倍内閣時の’07年に、当時の柳澤伯夫厚労相が『女性は産む機械』という発言をして大きな批判を浴びました。政治家として以前に、人として、社会的なマイノリティーへの配慮がなかった。今回もまったく同じです。思想信条があるのはけっこう、議論もけっこうですが、他者への優しさがない言葉では、議論の土俵に上げる価値もない」（政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏）

杉田氏は神戸市出身で、西宮市役所勤務などを経て’10年から政治活動を開始。みんなの党、日本維新の会、次世代の党と渡り歩き、’17年10月の総選挙で自民党から出馬。比例中国ブロックで当選を果たした。自民党に鞍替えする際には、安倍首相や側近の萩生田(はぎうだ)光一官房副長官らが、「杉田さんは素晴らしい」と絶賛して、スカウトしたと言われている。

彼女の日本維新の会時代の同期の一人は、「最初の頃はリベラルな人という印象だったのに」と言いつつ、こう語る。

「石原慎太郎（元都知事）さんや平沼赳夫（元経産相）さん、中山恭子（元内閣府特命担当大臣）さんらと交流されていくうち、急激に『右』へ舵を切っていったイメージがあります。カラオケに行くと、中森明菜の『少女A』を替え歌にした『士官A』っていう自衛隊応援ソングを歌ったりするようになって。正直、議員が歌う歌じゃないな、とは思いました」

永田町関係者によれば、議員会館では周囲の事務所の人間に気軽に話しかけ、自らお茶を淹(い)れて歓談するなど気さくな反面、「かなり思い込みが激しい一面がある」（自民党ベテラン秘書）という。

「思想部分にちょっとでも踏み込むと、眼つきが豹変する。共産党の『きょ』の字でも言おうものなら、ぎゃんぎゃん喚(わめ)いて時代錯誤な共産党批判を始める。保育所の増設に反対し、『保育所はソ連時代のコミンテルン復活の場じゃないの！』と叫ぶ姿を見た時は怖くなりました」（みんなの党時代の杉田氏の知人）

また、「かなりの酒好きで酔うとベロンベロンになり、懇談会で泥酔して記者に抱きつくこともある」（全国紙政治部記者）など、本人が標榜する「大和撫子」のイメージとはだいぶ違う姿を曝(さら)け出すことも、ままあるようだ。

本誌は杉田議員本人に発言の真意などを聞こうとしたが、「殺人予告などがありまして、被害届も出しています。現在、捜査中の案件ですので、コメントを発表したり、会見の予定をお伝えしたりすることもしておりません」（事務所関係者）とのことで、話は聞けなかった。

安倍首相やその周辺は、自分たちが熱烈スカウトした議員の暴走に頭を抱え、「表に出すな」と厳命しているという。だが安倍首相が3選を狙う9月の総裁選を控え、自民党内からも、「森友学園の籠池前理事長と同じで、自分の支持者だからと、偏狭な人間を好んで引き寄せる首相自身の資質を問うべきだ」（党幹部）という批判の声も上がり始めた。

前出の鈴木哲夫氏はこう批判する。

「政権が長く続いたことで、明らかに緩みが出ています。常に緊張感を持っていれば言葉遣いにも細心の注意を払うはずですが、その緊張感がない。そして緊張感のなさが、政治家の劣化につながる」

どれほど増長・慢心しても、国民は許してくれる――安倍首相やそのお仲間がそう考えているなら大きな間違いだ。

撮影：鬼怒川毅（杉田氏、二階氏）　写真：アフロ（安倍首相）