小中高生を獲得!王道ラブコメ『恋つづ』が“胸キュン”新表現連発

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“ハグ&背中ポンポン”
“目の芝居”
“治療キス”

新人ナース・佐倉七瀬(上白石萌音)とドS医師・天堂浬(佐藤健)の恋と仕事を描く医療ラブコメ『恋はつづくよどこまでも』(TBS)は、想定外の言動で視聴者を悶絶させる新手の王道ラブコメだ。

恋愛ドラマが視聴率を獲れなくなった今、新たな“胸キュン”に挑む『恋つづ』は、新垣結衣×星野源による『逃げるは恥だが役に立つ』(16年秋・TBS)に続き、新バリエーションによりラブコメの新境地を切り拓く、かも知れない。

佐藤健  撮影:西圭介

初回の見られ方

修学旅行での運命的な出会いから天堂に一目ぼれした七瀬。
必死に勉強してナースとなり、天堂が勤める病院に就職。初日に会った瞬間「ずっと好きでした!」と告白するも、「どけ、岩石」と一蹴されてしまう。
それでも諦めずにつきまとうと、次第に天堂は、恋にも仕事にも一生懸命な七瀬の姿に惹かれ始めるという展開の本格ラブコメだ。

ビデオリサーチが測定する関東地区の世帯視聴率は、9.9⇒10.5⇒10.2⇒10.6と4話がすべて0.7%の範囲内と極めて安定している。
それでも平均10.3%は、11.6%の『トップナイフ』(天海祐希主演・日本テレビ)、11.1%の『テセウスの船』(竹内涼真主演・TBS)に次ぐ、堂々の3位と好調だ。

ただし全国160万台のインターネット接続テレビの視聴ログで、4話までの見られ方を見ると、各話での視聴者の反応はかなり違う(インテージ「Media Gauge」調べ)。

初回は始まって11分で4割ほどの視聴者が逃げ出している。
勤務初日に恋の告白をしてしまう無謀ぶりから「勇者」とあだ名される七瀬。ドSな言動から「魔王」と呼ばれる天堂。あまりにも典型的な少女漫画的展開に、ついていけないと見るのをやめてしまった人がかなりいたようだ。

それでも同作は、中盤から後半にかけて粘りを見せる(図1)。

『恋はつづくよどこまでも』接触率の推移

技術的には未熟な七瀬だが、前向きな性格から患者との距離を縮め、小さな変化を見逃さない。そして一人の力ではどうしようもない時、「助けてください」と自然に声を出す素直な七瀬。

「ド新人」「岩石」「この仕事向いてない」など、ドSな罵倒を繰り返す天堂も、「お前にいいところがあるとすれば、とっさに動けるところ」と、落として落とし続けた末に少し持ち上げる。
こうした小さな“胸キュン”が光った初回は、見事に終盤にかけて接触率を盛り返したのである。

“胸キュン”マグマは増幅の一途

同作への好評価は、2~4話が高い接触率で始まっている点からも見て取れる。

前作を最後まで見た視聴者は、お眼鏡にかなわないと、次回から逃げるケースが多い。ところが同作は、2~4話とも高い接触率で始まっている。
続けて視聴する人が多いこと、さらに評判を聞いて見始める人が少なくないことを物語っている。

その原動力は、アプローチし続ける「勇者」に対して、難攻不落と思われた「魔王」の態度が少しずつ変わっている点。しかも想定外の言動で、見ている者を悶絶させる“胸キュン”演出が絶妙だからだろう。

例えば2話では、次第に前向きになっていた患者が急死し、自分の無力さを痛感しナースを辞めると言う七瀬を、天堂は優しく“ハグ&背中ポンポン”する。

3話では、佐藤健の“目の芝居”が雄弁に物語る。
天堂の同期で恋人だったみのり(蓮佛美沙子)が、8年前に病気で亡くなっていたことを知り、ショックを受ける七瀬。それでも歓迎会の夜、酔った七瀬は天堂が険しい顔ばかりでは辛いので、「私が笑わせます、先生を」と彼を見つめてほほ笑む。
天堂は「寝んなよ」とつぶやくだけだが、瞳がみるみるウルウルとし始める佐藤の演技は、どんな言葉より名セリフとなり、視聴者を悶絶させた。

そして必殺“治療キス”が飛び出した第4話。
ストーカー事件で頭を負傷した七瀬は、救急車で搬送中に「できれば恋人同士みたいに手つないで、デートしたり、キスしたり……」と天堂への思いを告白する。そんな七瀬に、天堂は「乗り切ったら、願いを何でもかなえてやるから。キスでもデートでもしてやるから」と声をかけ続けるが、七瀬は“寝落ち”してしまった。

その帰り道、七瀬は「約束は守ってもらわないと」と、天堂の言ったキスやデートの件を切り出す。
すると天堂は「バーカ」と言いながらも、突然キスして「これは治療だ」と告げる。

究極の反則というべき“治療キス”は、前回の“目の芝居”を受けて、接触率を急上昇させた。

ファンの純度は上昇の一途

以上の巧みな展開に、同作視聴者の熱狂的ファンの含有率は上昇の一途のようだ。
インテージ「Media Gauge」の視聴ログからは、まず序盤での脱落者が明らかに減っていることがわかる。番組開始時の視聴者数はあまり変わらないのに、途中でやめる人が減っていることは、同作の視聴率が下がらないどころか、徐々に上昇する予兆と言えよう。

それは終盤での佐藤健の反則業へ視聴者の反応にも見て取れる。
2話の“ハグ&背中ポンポン”では、流出より流入が大きく上回ることはなかった(図2)。ところが3話の“目の芝居”から4話の“治療キス”に向け、流入超過ぶりが顕著になって来る。
図1での3話・4話終盤の右肩上りぶりにもある通りだが、想定外の“胸キュン”新バリエーションは、明らかに大きな破壊力を持ち始めている。

『恋はつづくよどこまでも』 流出入率の比較

では、こうした反応はどんな視聴者がしているのか。スイッチ・メディア・ラボ関東地区2000世帯・5000人の調査から、F3+(女65歳以上)は4話までに4分の1が脱落していることがわかる。
そのマイナスを補っているのが、FT(女13~19歳)やF1(女20~34歳)で、特に小学生から中高生の間で盛り上がっていることがわかる。

久しぶりに恋愛ドラマが若年層をしっかりとらえ、しかも視聴率を落とさず、徐々に盛り上がって行くパターンになっている。

『恋はつづくよどこまでも』 属性別視聴率の推移

『逃げ恥』との比較

3年あまり前の『逃げ恥』は、高学歴漂流女子と“プロの独身”を自認する高齢童貞の契約結婚という設定が、ラブコメとして新バリエーションだった。
星野が新垣をハグし、頭をなでなでした5話。温泉に一泊旅行しながら何も出来なかったのに、ラストの帰路で手をつなぎキスした6話。

神回と言われた6話で一段と大きな話題となり、最終回が20%超と大ブレークした。
明らかに『逃げ恥』は、変化球中の変化球で勝負に出て、次第に視聴者を虜にしていくパターンだった。

一方『恋つづ』は、典型的少女漫画という恋愛ドラマの王道で入りながら、想定外の言動が続き、4話で神回というべき決定的シーンが来た。
「勇者」が「魔王」を倒すというゲーム的な流れからすると、5話以降が新たなステージで、これまでとは異なる闘い方が始まるのだろう。
もはや65歳以上は無理だろうが、若年層の心を鷲づかみにするような想定外の“胸キュン”が連打され、ここ何年もない若年層がブレークさせる恋愛ドラマとなるかどうか。
5話以降の展開に期待したい。

浅草(台東区)の雷門前で「恋はつづくよどこまでも」のロケをする上白石萌音  撮影:岡田浩太郎
  • 鈴木祐司

    (すずきゆうじ)メディア・アナリスト。1958年愛知県出身。NHKを経て、2014年より次世代メディア研究所代表。デジタル化が進む中で、メディアがどう変貌するかを取材・分析。著作には「放送十五講」(2011年、共著)、「メディアの将来を探る」(2014年、共著)。

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