『麒麟がくる』の門脇麦も吉高も　実力派女優が“潔く脱ぐ”理由

やや視聴率が苦戦しているＮＨＫ大河ドラマ『麒麟がくる』。そんな中でも、その好演から大きく知名度を上げているのが門脇麦（27）だ。

門脇といえば、幼い頃から培ったバレエ力を生かした東京ガスのＣＭ（2013年）、ＮＨＫ朝の連続テレビ小説『まれ』（2015年）の主人公の友人役、山崎賢人との濃厚キスが話題となった『トドメの接吻』（2018年／日本テレビ系）など、確かな演技力で着実に演技派としての地位を築いていった印象が強い。

が、実は彼女を一躍注目の存在に押し上げたのは、21歳で出演した映画『愛の渦』（2014年）だ。123分の本編の中で服を着ているのは18分30秒というこの作品で、門脇は性欲が強すぎる女子大生を熱演。それまでは、その他大勢いるちょっと顔のかわいい若手女優の一人でしかなかった門脇だったが、この映画出演を機に一気に実力派へ転進。同じく2014年に公開された『闇金ウシジマくん Part2』ではホストにハマって体を売り始める地味な少女を、これまた見事に演じ切った。その後は、ストーカー行為に魅了される大学院生を演じた『二重生活』（2016年）、女友達に恋心を抱く女性を演じた『さよならくちびる』（2019年）など数々の主演映画が公開。アクの強いキャラクターへのオファーが殺到する女優となっていった。

そしてこのたびのＮＨＫ大河ドラマ出演だ。演じているのは京の名医・望月東庵（堺正章）のもとで働く駒という少女。主人公・明智光秀（長谷川博己）に「その人は麒麟を連れてくる」という謎めいたメッセージを伝え、物語全体を導いていくという重要な役どころだけに、制作サイドの門脇に対する信頼度がうかがえる。

そんな思い切りのいい女優の印象が強い門脇だが、実はこの“潔く脱ぐ→実力派として躍進”という流れは、最近の若手実力派女優の規定路線となりつつある。筆頭的存在が、今やトレンディドラマの主役の常連となった吉高由里子（31）だ。彼女もデビュー間もない19歳のときに、映画『蛇にピアス』（2008年）で美胸を惜しげもなく高良健吾に舐めさせ、世間を驚かせた。

また現在放送中の日曜ドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』（読売テレビ）で主演を務めている清野菜名（25）も、その一人。アイドルのような甘い顔立ちながら、アクションもできる女優としてメキメキ頭角を表しているが、彼女を無名の存在から一躍有名にしたのが、名匠・園子音監督による映画『ＴＯＫＹＯ ＴＲＩＢＥ』（2014年）。トライブ（族）たちの抗争に巻き込まれる少女・スンミ役に抜擢され、作中では、窪塚洋介演じるンコイに襲われるヌードシーンを迫力満点に演じている。

他にも、初主演映画『ベロニカは死ぬことにした』（2006年）で代名詞でもある巨乳を披露した真木よう子（37）。映画『リバース・エッジ』（2018年）、『人間失格　太宰治と３人の女たち』（2019年）でサラリとヌードでの濡れ場を演じた二階堂ふみ（25）。映画『海辺の生と死』（2017年）で、決して自慢の胸とは言えない小胸を晒した満島ひかり（34）。さかのぼれば、今や名女優となった常盤貴子（47、ドラマ『悪魔のＫＩＳＳ』＜1993年／フジテレビ系＞で濡れ場を演じる）や菅野美穂（42、写真集『ＮＵＤＩＴＹ』でヘアヌードを披露）も、それぞれ21歳、20歳で潔く脱いだ歴史があるなど、枚挙にいとまがない。

共通しているのが彼女たちは皆、抜群の演技力とともにアイドルになってもおかしくないくらいの可愛いらしい容姿の持ち主であることだ（実際、満島ひかりは「Folder５」というアイドルグループにいた）。それだけに、黙っているとせっかくの実力は軽視され、容姿重視のオファーばかりが来かねない。だからこそ彼女たちは早々と脱ぐ。そこには、かわいいだけの芸能人には絶対になりたくないというプライドを感じる。制作サイドも、その心意気を買って彼女たちを起用したがるのだろう。