ハンドボール日本代表レミたんのTikTokにフォロワー36万人

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

今、動画配信サイトTikTokで日々数千人単位でフォロワー数を伸ばして注目されているのが、「レミたん」のニックネームで親しまれている土井レミイ杏利選手(30)、ハンドボール日本代表「彗星JAPAN」のキャプテンだ。2020年2月18 日現在、フォロワー36万人を誇る。

ハンドボール日本代表・土井レミイ杏利選手

「僕自身、いろんなSNSで発信していますが、TikTok はその広がり方が爆発的です。だからこそ、競技とは無関係の、誰が見ても楽しくて面白い動画にしています。最近は、うれしいことに“ハンドボール関係の投稿も見たい!”とコメントをいただくこともあるんですが」(ハンドボール日本代表・土井レミイ杏利選手 以下同)

フォロワー数は、東京オリンピックまでに、目標の100万超えを達成するかもしれない。

小学校では学年一のひょうきんものだった。アメリカのアニメやジム・キャリーが大好きで、映画『マスク』の顔真似を毎日していたから、表情筋が鍛えられたのかもと笑う。キレのある動きやリズム感は、小学校6年間で習った社交ダンスのたまもの。コンテストは総なめの、子ども部門ではかなり有名な存在だった。さて、「音を消して見ても面白い」と言われるTikTokネタは、どこから降りてくるのだろう?

「究極は、チャプリンのように動きだけで笑いをとりたいんです。ノンバーバル(非言語)なら世界共通だし、大人も子供も関係ないし。TikTokの自分は、普段の自分と同じです。無理してないから、やっていて楽しいし、続けられるのかもしれません」

@anriremi

馬の主食@Brad Osterhoutさんと一緒に#デュエット#meme #ミーム

♬ Gimme Some – global.jones

TikTokに搭載されている機能を使い、画角の設定から撮影、編集までをほぼひとりで行う。ものによっては、1秒のシーンに30分間をかけることもあるが、もう手慣れたもので、すすっと数分でアップする動画も多い。

「いちばん時間がかかったのは、僕が似ているキャラクター(だいたい馬系ですw)が、いろんなキャラクターにボンボン変わっていく動画です。もう少しで完成という時に消えてしまって一からやり直しに……。20分ぐらい放心状態になりましたが『これは自分でも完成形を見たいんだ!』と気持ちを奮い立たせて合計2時間かけてアップしました。結果、いちばんバズった動画がこれで、いま900万回再生されています(インタビュー後にその記録を更新したのが、上の動画。配信後1週間で3700万回再生・500万いいね!)」

@anriremi

真ん中のやつが避けて後ろにいたやつが当たるように見せたかったけど難しい😂#ストーリーシャッター

♬ Snap Em Up – iLoveMemphis

父はフランス人で母は日本人。パリ生まれの千葉県育ちだ。9歳の時にハンドボールで世界一になることを決意したが、そのアスリート人生は、光と影の繰り返しだった。

両膝を故障して、学生時代打ち込んだハンドボールから完全引退し、大学卒業後はフランスに語学留学するも、奇跡的に膝が快復。ついにはフランスのプロチームから声が掛かり、“アジア人初”の快挙を成し遂げる。しかし、憧れだった世界屈指のチームではカルチャーギャップや人種差別に直面。それらを乗り越え、2013年からの7年間、フランスのプロリーグで大活躍、圧倒的なシュート決定率のレコードを残し、日本へ帰国。

これらの実績と経験が認められ、2019年5月にはハンドボール日本代表のキャプテンに抜擢。「彗星JAPAN」のムードメーカーとなり、監督とメンバーをまとめあげ、練習に励む。そんな彼がTikTokをはじめた理由はただひとつ。ハンドボールをもっともっと広めたかったから――。

「フランスでは、ハンドボールはサッカーに次ぐ国民的なスポーツで、つねに1万~2万の観客に囲まれていました。日本に戻ってプレーした際、ホームなのに観客が500人しかいなかったときは、“あれっ? 今日は非公開試合だっけ”と思ったほどの衝撃でした」

とにかくハンドボールを知ってほしい。そして多くの人に応援してほしい。土井選手は、さまざまなアクションを起こす。草の根活動で地元の店にポスターを貼らせてもらったり、幼稚園生とハンドボール交流会を開催したり、VIP席を購入したサポーターと選手のアフターパーティーを企画したり。誰かがやってくれるのを待つのではなく、ソク自分でやる。そうすれば状況は、必ず動きだすと語る。

「お客さんの応援って、何よりもパワーをくれるんです。アウェイでも、地元のファンが駆けつけてホームみたいな雰囲気の中で試合ができたら、相手が強豪でも勝てたりします! フランスでは、何度も何度もそんな経験をしました。だから、東京オリンピックまでの時間は少ないけれど、その先もあるし、ぎりぎりまでいろいろアクションを起こして、より多くの人に応援してもらえたらと思っています」

ハンドボール先進国を舞台に、キラ星のようなスター選手に囲まれてプレーしてきた土井選手にとって、日本のハンドボールが世界レベルに追いつく速度に“焦り”も感じている。

「僕は日本代表になる前に、世界のトップを経験しました。本当に100%の思いをぶつけて試合に臨むなら、前日の夜か、前々日には気持ちを入れるのが当たり前。国民性は関係なく、トップレベルの選手はみんなそうしています。どんなにフランクに見える選手でも、一流のアスリートはみんなやるときはやる!

その意識が日本の選手は世界レベルではなかった。でも、選手は悪くないんです。僕自身、渡仏前に日本で最高峰の環境でプレーしてきて、当時はそれがベストと思っていたけれど、世界に出たら、もっと高いレベルのプロ意識があった。その差を少しでも縮めたくて、キャプテンとして、チームメンバーとして頑張っているんです」

2020年1月の第19回アジア選手権で、「彗星JAPAN」は第3位の銅メダルを獲得。世界選手権の切符も手に入れた。チーム全体で、東京オリンピックへの弾みもついた。「1回しかない人生、最大限、楽しみたい」と語る土井選手。当面の目標は、確かに東京オリンピックかもしれないが、それ以降も続くハンドボールの未来を彼は見据えている。「ネタはまだまだ、50ほどストックがある! 早く作りたくて仕方がない!」というTikTokの投稿も楽しみだ。

土井レミイ杏利 1989年9月28日パリ生まれ・千葉県育ち 日体大卒業後、渡仏。2013年~2019年の7年間ハンドボールリーグの最高峰フランスプロリーグにてプレー。フランスリーグでは、2年目に年間76%という驚異のシュート決定率数字を残す。2019年5月、ハンドボール日本代表のキャプテンに抜擢。ハンドボール以外にも多趣味で、ダンス・楽器演奏・マインドフルネスなどを嗜む。

公式twitter:@remianri1
公式Instagram:remianri
公式TikTok:remianri

  • 取材・文有田麻奈美撮影田中祐介

Photo Gallary2

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事