新型コロナウイルス対策よりサービス優先で蔓延した豪華客船の悪夢 | FRIDAYデジタル

新型コロナウイルス対策よりサービス優先で蔓延した豪華客船の悪夢

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横浜港沖に停泊するダイヤモンド・プリンセス号。検疫が終わるまでの14日間、洋上を漂い続けることとなる
横浜港沖に停泊するダイヤモンド・プリンセス号。検疫が終わるまでの14日間、洋上を漂い続けることとなる

富裕層がクルージングを楽しむ豪華客船が一転して悪夢のような「隔離船」となった――。2月14日、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者218人から新型コロナウイルスの陽性反応が確認され、約3700人の乗船者が原則として14日間、船内に留められることになった。そのときの様子を乗客の女性が振り返る。

「乗船者全員の検疫に少なくとも14日かかり、しかもその間は客室から出られないというアナウンスがありました。船には数十ヵ国の人が乗っていますが、アナウンスが英語と日本語のみ。船内はパニックにはなっていませんが、(言葉が通じない)外国の人を14日間も日本の船内に留めておいたら、正確な情報がきちんと伝わるのか、正直不安です」

陽性反応が出た218人は、神奈川県内の医療施設に収容された。客船はいったん横浜港に接岸して食料や生活用品を積み込むというが、その際に下船が認められるのか、2月14日現在、詳細は不明だ。

そもそも、この船に乗っていた香港国籍の男性が新型コロナウイルスに感染したことが判明したのは2月1日のこと。その後も、船内ではショーなどのレクリエーションが催されており、感染対策よりカネ持ち客へのサービスが優先されたという指摘もある。乗客の女性が続ける。

「パーティーなど、人と接触する機会は多かったと思います。あの空間に感染者がいたら、他の人にウイルスが拡がっていても不思議ではありません。私は現在、体調不良ではありませんが、感染が判明したときの心の準備はしています」

こうした一方で、全世界で新型肺炎の患者は増え続けている。中国国内では死者数が1380人に達した。長崎大学熱帯医学研究所教授の山本太郎氏は話す。

「現在の武漢市内の致死率は5.5%、中国全土だと2%と言われていますが、感染者の数が増えると、致死率は下がっていくはずです。ただ、致死率が1%だとしても、決して楽観できる数字ではありません。パンデミック(世界的大流行)が起こると、100万人がかかれば1万人、1000万人がかかれば10万人が犠牲になる。そして、今はそのパンデミックの一歩手前だと言っても過言ではないのです」

今後、感染を食い止められなければどうなってしまうのか。

「’09年に全世界で拡がった新型インフルエンザのように、身近な感染症になります。そうなると、我々人類はこのウイルスと常に戦い続けていくしかありません。そうならないためにも、今が正念場なのは間違いないでしょう」(神戸大学大学院医学研究科教授の岩田健太郎氏)

今回の豪華客船のように、ウイルスは思いもよらないところから感染を拡げ始める。今は片時も気が抜けない。

船内で検疫作業を行う係官。乗客は部屋から出ないように言われており、食事は自室まで届けられる(写真は乗客提供)
船内で検疫作業を行う係官。乗客は部屋から出ないように言われており、食事は自室まで届けられる(写真は乗客提供)

『FRIDAY』2020年2月21日号より

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