ラーメン、餃子に続くか!?武蔵境「ハイナン焼きショーロンポー」

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日本独自の進化が始まった「焼き小籠包」。あらゆる意味で想像を超えてくる!

「焼き小籠包」って少し前にブームになりましたよね。肉汁がじゅわ〜っと出てくるアレです。しかしその焼き小籠包を、日本で10年も前から提供しているお店があります。しかも武蔵境に。

なんで武蔵境なんだよ! と理不尽なクレームをつけたくなりますが、中央線沿線なので実はアクセスは便利です。

上の「テニスステーション」と相まって、さらに不思議な様相を呈しています

駅からすぐという好立地ですが、まるで健康食品店みたいなビジュアルなので、地元でも入店をためらう人も多いようです。

実は、このお店はカレーが美味しいんです!

って言われても外観から1ミリも想像できませんよね。しかし私は会社員時代、御茶ノ水から昼休みにここのカレーをわざわざ食べに来たほどです、はるばる武蔵境まで。

カレーなど全メニューが持ち帰り可能。

店内に入るとようやくメニューの全容を把握できます。要するに、「焼きショーロンポー」「薬膳カレー」「薬膳スープ」しかないのです。

壁には何やら中国漢方医学に基づいた表があります。なおこのお店では、全てのメニューにおいて調理の際に動物性タンパク質や動物性の油を使っていません。また食材は農薬や化学肥料を使用しないオーガニックにこだわり、野菜も国産を厳選。

帽子がトレードマークの早川さん。手にしているのは薬膳の勉強に使っているノート

店主の早川和男さんは、「ハイナン焼き」のとんがったイメージから程遠い、穏やかで物腰柔らかい方です。ラーメンマン(って知ってます?)みたいな人を想像してしまいましたが……。

早川さん、そもそもなんで薬膳をやろうと思ったかと言うと、なんとイギリス暮らしが長く、欧州でははるか昔から「オーガニック」「ビーガン」の考えが浸透していることから、日本でもいつかそれを伝えたいと考えていたそう。

で、定年退職後は日本と香港を往復しながら現地で薬膳の勉強をし、上海で小籠包作りを学んだとか。

いろんな人がいるもんだなあ……とつくづく思います。

メニューを見て不思議なのが、焼きショーロンポー5個で600円なのに、薬膳スープだけで500円もするというところ。

た、高いな……。と思って聞きましたら、実はこの店の原点とも言うべきメニューがこの薬膳スープで、高麗人参、クローブ、陳皮など、17種もの生薬と野菜を8時間煮込んだ、もんのすごい手間のかかっている一品なのだそう。

小ねぎ、クコの実がたっぷりの薬膳スープ。泣けるほど優しい味!

これだけを毎日飲みに来る常連もいらっしゃるそうです。また、「なんか肝臓の調子悪くて」「風邪気味で」と、病院ではなくこのスープに救いを求めて来る人も多いのだとか。

で、肝心の焼きショーロンポーです。「プレーン」「マーラー」「カレージャン」の3種類があり、単品でも、3種盛り合わせでも、カレーやスープとセットでも注文可能。

下をカリッと焼き上げ、そのあとじっくり蒸し焼きにします

とりあえず6個を焼いていただきます。しかしこの形、なかなか見ないですが、よくこんな焼き型見つけましたねえ。と聞きましたら、なんと「専用に作ってもらった」のだそう!

6個盛り(840円)。スープセット(1300円)もあります

「どうしてもこのフォルムにしたかったから。皮は薄皮ではなく、パンっぽくしたかったんです」。なるほど〜。そして今更ですがこの「ハイナン焼き」という名前も気になりませんか?

「ハイナン島(海南島)のスタイルってことなんですね!」と知ったかぶりで聞きましたら、「違います」と即答されました。

皮にもスープが染み込んでいます

小籠包は上海の料理ですが、それより南である香港の薬膳の要素も入っているので、「上海より南って意味」で「ハイナン」にしたそうです。って、え〜! それ想像できる人、たぶん皆無!!

名前もですが、味も想像できないほど旨いんですよ。見てくださいこの断面。下はカリッと上はふんわり焼き上げた生地に、肉と野菜で作ったあんがみっちり。

普通、小籠包ってのは肉汁がぶちゅーっと溢れてくるのが醍醐味ですよね。しかし冷めると脂が固まってしまうので、アツアツを食べないと意味がない。そこで早川さんは「なんとかして冷めても美味しい小籠包を作ろう」と、野菜や肉に薬膳スープを染み込ませることで、時間が経ってもジューシー感を保つ方法に行き着いたのだそう。へー。

ショーロンポーに尺を取りすぎて、カレーを忘れかけてしまいました。せっかくなので、ここに来たらカレーとショーロンポーのセットを食べるべきです。

ビールもあったのか……

歳をとるとメニュー解読能力が著しく低下しますが、つべこべ言わず「カレー・ショーロンポー3個・スープのセット1650円」のセットを頼むのが利口です。

いっつも「次こそビーガンにしよう」と思うのですが、やっぱり甘口にしてしまいました。崇高な人間ではないので、こってり濃いのが好きなんですよ

薬膳カレーも、甘口・辛口・ビーガンの3種があります。

  • ・甘口:ココナッツミルクとブイヨンなどで仕上げたクリーミーでこってりテイスト
  • ・辛口:生姜や武蔵野の特産品である「境のとんがらし」を使用し、じんわりした辛さ
  • ・ビーガン:乳製品を一切使用せず、野菜のみで仕上げた植物性カレー
ちなみにご飯は北海道産「ななつぼし」を使った十穀米

トッピングは揚げ野菜と、この鶏の唐揚げに見えるのは「ソイミート」の唐揚げです。つまり大豆肉っつうことです。これがまた旨い!

今ではソイミートを出す店も増えましたが、扱い方が難しいので、なかなか大豆感が抜けないのですが、ハイナンでは鶏モモ肉のようにカラッと香ばしく揚げています。

これは辛口。見た目一緒ですが、唐辛子と生姜の多重構造的な奥深い辛さで後からポカポカしてきます

「このカレー、具がねえ!」とか文句言わないように。野菜とスパイスを煮まくってから、ブレンダーで潰してとろっとろにしているのです。

こんなに具がなくてサラサラなのに、薬膳スープやブイヨン、多種類の野菜が溶け込んだ味が複雑で濃厚すぎて、一口一口の満足感が尋常ではありません。絶対よそでは食べられない味!

そうそう、ここで鋭い方は、気づきませんか?「えっ、動物性を使わないって言ってたのに、ショーロンポーの具って肉?」と。

ふふ、あくまでも動物性を使わないのは調理時のみで、具には使っているのです。豚肉をね。

ちなみに早川さんに、「もちろんご自身もビーガンで動物性を一切口にしないのですよね?」と尋ねましたら、「いえ、自分は雑食です!」とアッサリ答えられました。

そんな潔い早川さんも含めて、味わい深い店なんです!

ハイナン焼きショーロンポー 住所:東京都武蔵野市境2-3-1 /電話:0422-37-0539 /営業時間:11:00~21:00 (日曜のみ20:30閉店)/定休日:木曜

  • 取材・文・写真猫田しげる

    1979年北海道函館市生まれ。京都のタウン誌、北海道の新聞地域面、東京の街歩き雑誌、旅行本などの編集・ライター業に従事。2019年4月から拠点を札幌に移動し、ウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。

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