スマホから90秒で加入 「わりかん保険」登場で業界に革命

がん、自動車、レジャーなどスマホで簡単に入れる保険が一目でわかる

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ジャストインケースの畑社長は京都大学理学部を卒業後、外資系保険コンサル会社を経て、’16年に同社を設立

画期的ながん保険が登場した。がんと診断されたら80万円が支給されるが、その保険料は最大でも500円で(加入者が20~39歳のケース)、場合によっては「0円」のこともある。スマホからわずか90秒で加入でき、しかも保険料は後から払えばよい。

少額短期保険会社、ジャストインケースが開発した「わりかん保険」が話題だ。1月28日に発売されるや、主要全国紙が翌日の朝刊で揃って取り上げるほど注目を集めている。

同社社長の畑加寿也氏が語る

「私は新卒で外資系の保険コンサルタント会社に入社し、保険の設計にも携わっていました。そうすると、保険の原価が見えてきます。加入者が支払った保険料のうち、どのくらいが補償に回って、どの程度が会社を維持するためのおカネになるのか。実はそのなかで大きいのが、突発的な事態が起こったときに備えるためのバッファ部分なのです。大事故や大災害などの予測不能な事態が生じて死亡率が上がったときに備えて、加入者から保険料を多めに預かっています。保険会社もビジネスですから、リスクに備えるのは仕方がない側面があるとはいえ、疑問に感じながら仕事をしてきました」

畑氏はその後、独立し、’16年にジャストインケースを設立。スマートフォンの故障などを補償する保険を提供してきたが、昨年、中国の巨大IT企業アリババが提供する「相互宝」という保険に出会う。加入者はがんや心筋梗塞、脳卒中などの特定の疾病に罹患したときに保険金を受け取り、その金額を加入者で「わりかん」して後払いするというもの。’18年にサービスが始まったばかりということもあって保険料は月額100円程度と安く、1年間で1億人が加入したという。

「この仕組みを参考にして、日本の保険業法に適合するように金融庁や内閣府と1年ほど議論を重ねて作り上げました。従来の保険では自分が払った保険料がどのように使われているのかがわかりませんでしたが、『わりかん保険』の場合は保険金の支払いが発生したとき、年齢や性別、がんの部位などの情報を個人が特定されない範囲で加入者に開示します。自分と同じ保険に入っている人を『助けた』ということが実感できるはずなので、納得して保険料を払えると思うのです。また、手数料は加入者に保険金が支払らわれたときのみいただく仕組みで、その割合は25~35%。会社の収益についても透明性は高いと自負しています」(畑氏)

契約者が1万人として、月に2人ががんになったとすると、その保険料は月額229円。がんになった人が多ければ、保険料は上がるが、20~39歳の場合は500円、40~54歳の場合は990円、55~74歳の場合は3190円が保険料の上限だ(75歳以上は加入できない)。

現役世代のためのがん保険

畑氏が続ける。

「加入や給付の条件は既存のがん保険とほぼ同じと考えてください。すでにがんになっている人は入れませんし、現在の健康状態の告知は必要です。がんになるかどうかは事前にはわかりませんが、高齢者に多いのは事実ですから、その分、高齢者の保険料の上限は高くなっています。上限に達したとしても、既存のがん保険の保険料より高くなることはないはずです。

まずは若い人たちに安価な保険料でがん保険を提供したいというのが私たちの考えです。実際、加入者の半分は20~39歳で、残りが40~54歳となっています。80万円という保険金は、少額短期保険(医療保険)の上限金額です。ただ、医療費3割負担と高額療養費制度を考慮すれば、がんの種類にもよりますが、この金額で十分にカバーできると考えています。

この保険で保険金を受けとれるのは1回だけです。もし再発が不安だったり、もっと手厚い補償が必要だったりするのであれば、既存の保険にもあわせて加入していただくほうがいいでしょう。そういう意味で、従来の生命保険会社とは棲み分けができると考えています。実際、わりかん保険の販売には、日本生命をはじめとする大手保険会社にも協力していただいています」

リリースから1ヵ月足らず。実数は公開できないものの、目標である1年間で1万人の加入者は達成できる見通しだ。

「『後払い保険』の仕組みを私たちで独占しようとは考えていません。まずは『わりかん保険』を軌道に乗せる。次にこの仕組みを多くの保険会社に活用してもらいたいですね。

私はそもそも三重県伊勢市のど田舎出身で、外出するときもカギをかけないような地域で育ちました。そういった地域では周囲と助け合うのが当然で、助け合いを意識したことがないほどです。ところが都会に出てくると、助け合うどころか、人と人があまりにも疎遠になっているのを残念に感じます。おカネがあまりない若い人同士が助け合えたらいいと思いますし、わりかん保険はそれができる仕組みだと思っています。ITベンチャーである私たちは、テクノロジーによって多くのユーザーが安い保険料で必要な保険を手に入れられる社会にすることが使命だと考えています」(畑氏) 

缶ジュースより安い保険

わりかん保険に限らず、スマホで簡単に入ることのできる保険が続々と登場している。「LINE」アプリを通じて手軽に加入できるのが、LINE フィナンシャルと損保ジャパン日本興亜が提供する「LINEほけん」だ。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏が話す。

「LINEほけんの『半日からの自動車保険』は、大学生の息子が私の車を運転するときに加入させています。対人・対物賠償責任保険は無制限で、搭乗者の傷害は1000万円までカバーされる。車両保険がついていないプランなら、12時間で400円。これだけの保険にスターバックスのコーヒー並みの金額で入れるのですから驚きです。

保険料は『LINE Pay』で支払うことができます。一般的な自動車保険だと21歳未満の若者も補償の対象にすれば、年間数万円は保険料が高くなりますから、月1~2回しか運転しない若者の場合、スマホで簡単に入れるこの保険に毎回加入したほうがおトクです」

友人の自動車を借りる場合など、車両保険がついているほうがいいのであれば、12時間1200円の保険料から入れて、車両復旧費用が300万円まで補償されるプランもある(自己負担額は15万円)。

「お酒好きの人には、『みんなでワイワイ飲み会保険』も実用的かもしれません。これはお酒を飲んで酔っ払って、誰かにケガをさせたり、物を壊してしまったりしたときの保険です。他人への賠償責任は1億円まで補償してくれて、自分がケガをした場合の入院補償は日額1000円。一日100円から入れるので、飲み会がある日は、家を出る前にLINEで加入しておけば安心です」(畠中氏)

LINEほけんには、子供が他人にケガをさせたときのための保険がある。「こども安心保険+(ライトプラン)」なら月額110円で最大1億円まで補償してくれる。缶ジュースより安い金額で、1億円の保険を買える時代になったのだ。

ファイナンシャルプランナーの清水香氏がユニークな保険を紹介する。

「スマホで入る保険の中には、これまでにない発想の商品が出てきています。LINEほけんの『贈るほけん 地震のおまもり』は、LINEを通じて親族や知人に500円で地震保険をプレゼントできます。受け取った人の居住地域が震度6弱以上の地震に見舞われ、家財道具が壊れたり、緊急用の物資を購入したりした際にLINE Payの電子マネーで1万円が支払われます」

ゴルフやスキーといったレジャー保険も、スマホで加入できるうえ、以前と比べて劇的に種類が増えた。

「第一生命が販売している、1日から入れるレジャー保険『スナップ インシュアランス』にも注目しています。1日契約のレジャー保険は、損害保険会社が500円などのワンコインで提供していますが、スナップの場合は100円前後で非常に安い。補償はおおむね個人賠償責任が1000万円、ケガによる入院が5万円、損傷が2万円です。年齢や性別、レジャーの種類にもよりますが、30~34歳男性のゴルフの場合、保険料は一日158円で、ホールインワンを出した場合には10万円支払われます」(畠中氏)

他にも20~24歳男性のスノーボードの場合、保険料は一日171円で、遭難した際の捜索救助費用として300万円が補償される。30~34歳男性の釣りの場合は一日109円で、釣った魚を食べて食中毒になった場合も補償の対象だ。25~29歳女性のボルダリングの場合は、一日わずか95円である。

利用者にとっては必要なときに必要な分だけ保険に入れるので便利だが、大手生保の第一生命が100円前後の保険を売っていて、儲けになるのか。

「これで収益を上げるというよりも、この保険をきっかけにして顧客になった若者に生命保険を勧めていく戦略でしょう。昔のように保険のセールスレディが職場で勧誘する時代でもないので、生保会社は若い人に接触するのに苦労しています。そこで、こうした安くて手軽な保険を売って20~30代にアピールすることが狙いなのだと思います」(畠中氏)

必要なときだけ保険に入る

三井住友海上が販売しているレジャー保険も特徴的だ。ファイナンシャルプランナーの平野敦之氏が解説する。

「ワンシーズンに1~2回スキーやスノーボードに行く程度なら、スマホでレジャー保険にスポットで加入するのがおすすめです。三井住友海上の『1DAYレジャー保険』は24時間単位で500円から入れます。幹事が参加者全員分をまとめて契約できる『みんなまとめて安心プラン』があるので便利です。

物を自分で所有する時代から、他人とシェアして好きなときに使う時代になりつつあります。それを可能にしたのが、スマホの普及やIT技術の進歩、ネット環境の充実です。必要な保険を必要なときに効率的に購入することができるようになった。その結果、保険料もそのときに必要な分だけになっています。補償がそこまで手厚くなくてもいいのであれば、スマホで入る手頃な価格の保険でも対応は可能でしょう」

ほとんどの人には関係がないが、巻き込まれれば、あまりに大きな社会的ダメージを受ける。そんな事態に備える保険もスマホから入ることができる。それが「痴漢冤罪ヘルプコール付き 弁護士費用保険」(ジャパン少額短期保険)だ。

「事故などの被害者になった場合の弁護士費用が保険金(最大300万円)として支払われますが、特徴的なのは痴漢に間違われたとき、弁護士と話すことができる『ヘルプコール』が付いていることです。携帯電話の画面にある『ヘルプコール』ボタンを押すと、対応可能な弁護士から連絡があり、その場で相談できます。たとえ無実であっても警察に拘束されてしまうと、冤罪を晴らすのは大変ですが、これがあれば弁護士のアドバイスに従ってその場を立ち去れるそうです。満員電車で通勤する男性サラリーマンには心強いサービスだと思います。保険料は月額590円です」(都内に事務所を構えるファイナンシャルプランナー)

保険はスマホで手軽に入る時代になった。あなたが入っている保険はもっと安くなる。早速、見直してみよう。

『FRIDAY』2020年2月28日号より

  • 撮影鬼怒川毅(畑氏)

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