ドローン撮 空から見た被災地 地面から見た復興〔西日本豪雨〕
広島県・本郷町、広島県・天応地区、愛媛県・吉田町
津波は多くのモノを瞬時にさらい地震は一瞬で建物を倒壊させる 豪雨では災害後も土砂がセメントのように固まり”居座る”のだ……
広島県・本郷町
グラウンドに積みあげられた、高さ2mを超えるゴミの山。激しい日差しに照りつけられ、強烈な異臭が漂う。1・2枚目写真は西日本豪雨で出たゴミの集積所になっている、広島県三原市本郷町の元小学校の校庭だ。50代の近隣住民が話す。
「校庭は壊れた家具や家電で、ほぼ満杯です。猛暑で臭いはかなりキツい。校舎は被災者の避難所にもなっているので、なるべく早く撤去してほしいです」
7月上旬の西日本豪雨の発災から約2週間。本誌が空と陸から被災地を撮影すると、他の災害とは違う理不尽な姿が見えてきた。津波は多くのモノを瞬時にさらい、地震は一瞬で建物を倒壊させるが、豪雨では災害後も土砂がセメントのように固まり”居座る”のだ。愛媛県宇和島市吉田町の井東勝氏(76)が語る。
「土砂や大木が川を伝い一気に流れてきて、アッと言う間に家に侵入してきました。2台あった車は数百m下流まで流され、1台は土砂に潰されペシャンコ。今は家の中の泥をシャベルなどでかき出していますが、手作業では焼け石に水です。避難所での生活もいつまで続くかわからず、不安でたまりません」
『防災システム研究所』所長の山村武彦氏が話す。
「被災地の道路脇には膨大な量のゴミが積んであります。一部の主要道路では散水車が回っていますが、大半は車が通るたびに砂ボコリで前が見えなくなるほどです。被災者の疾患リスクが高まっているので、体育館などを避難所として開放するだけでなく、介助員を置く『福祉避難所』の設置が急がれます」
被災地では公立小中学校の8割で再開のメドが立たず、カウンセラーが家庭を巡回し子どものケアにも努めている。
広島県・天応(てんのう)地区
愛媛県・吉田町
撮影:川柳まさ裕 桐島 瞬