スーパースター来日! NZの英雄、ダン・カーターが神戸に加入

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 神戸製鋼の福本正幸チームディレクター(左)とともに入団会見に挑んだダン・カーター

ラグビーのニュージーランド代表として輝き続けたダン・カーターが、2018年7月16日、神戸製鋼コベルコスティーラーズの入団会見に臨んだ。

折しも、サッカーのヴィッセル神戸がスペイン代表のアンドレス・イニエスタを加えたばかり。フットボール界のスター2人が、同じ街に揃った格好だ。話題を受けてか、神戸市内の会見場には関西のメディアの他にキー局のテレビマン、都内在住の記者も集まった。

14日に来日したカーターは、身長179センチ、体重94キロの引き締まった身体に彫りの深い顔立ちが特徴的。カメラのフラッシュを浴びながら、冒頭のあいさつで流暢な日本語を披露した。

「こんにちは、ダン・カーターです。日本に来ることができて、本当に嬉しいです。よろしくお願いします」

2003年にオールブラックス(ニュージーランド代表)に初選出されると、代表戦出場を意味するキャップを112も集め、通算個人得点を世界歴代1位の1598に伸ばした。2005、12、15年には、統括団体のワールドラグビー(2014年11月18日までの名称は国際ラグビー評議会)が選ぶ最優秀選手賞を獲得している。

4年に1度のワールドカップでは、史上初となる2大会連続での優勝を決める。特に連覇を果たした2015年のイングランド大会では、決勝戦の後半29分に40メートル超のドロップゴールを成功させた。このキックでリードを7点に広げ、結果、宿敵オーストラリア代表を34―17で下したのだ。

ポジションはパスやキックでチームを動かすスタンドオフだ。FCバルセロナから神戸に移籍してきたイニエスタについて質問を受けたカーターは、「バルセロナは一番好きなサッカーチーム。彼のいないバルセロナには違和感を覚えるかもしれませんが、彼は日本できっといい活躍をすると思います」と笑った。さらに長らく対外的な発信を続けてきた人らしく、簡潔な言い回しで自分の立場をこう語った。

「日本ではラグビーが他のスポーツと比べて有名ではないと思いますが、神戸製鋼での私のプレー、スキルを見れば、ラグビーがわからない方でも面白いと感じてくれると思います。アメリカンフットボールで言えば、クォーターバックのようなイメージ。他選手ともコミュニケーションを図りながら、チームを統率したいと思っています」

イングランド大会終了後から今年6月まで、フランスプロリーグのトップ14でプレー(所属先のラシン92は5月でシーズン終了)。そしてこの夏、過去の訪問で気に入ったという日本へやって来た。「長くプレーをすると、チャレンジが必要になります」。イニエスタより2つ年上の36歳は、刺激を求めた。

「神戸ではまず2年、プレーしたいです。その後いつまで続けるかはわかりませんが、キャリアは神戸で終えようと思っています。トップリーグに関する知識はまだ不足ですが、分からない点があることに自体もモチベーションになっています」

トップリーグには、これまでも世界的選手が相次ぎ参戦してきた。その多くがただ活躍するだけでなく、若手日本人選手の個人練習に付き合うなど周りのレベルも引き上げている。

もっとも、ラグビーは15人対15人の団体競技。本当に問われているのはチーム総体としての力だ。チーム力の構成要素は、当該チームの歴史や文化、首脳陣の打ち出すプランの妥当性、出場選手の資質など多岐にわたる。一流選手の優れた能力のみで勝ち切れるゲームは、日本国内でも減少傾向にある。

話題のカーターは、かような前提を知ったうえで神戸製鋼を2003年度以来のトップリーグ優勝に導きたいという。願いを叶えるべく、静養先のニュージーランドでも個人トレーニングを重ねていたようだ。

「チームにすぐ慣れる選手、慣れない選手がいます。複数の国でラグビーをしてきた私の経験上、新しいチームへすぐになじむにはハードワークしなくてはならない。神戸でプレーできるよう、前からハードワークしてきています」

関係者の証言によると、カーターに声をかけた日本のチームは複数あった。そんななか神戸製鋼が今回の契約に至ったのは、そのビジョンや陣容がカーターの琴線に触れるものだったからのようだ。

昨季までの5シーズンで日本、南アフリカ、オーストラリアの計3か国から合計4人のヘッドコーチを招いていた神戸製鋼は、今季からニュージーランド流のチーム作りへシフトする。

過去にニュージーランド代表コーチとしてカーターを支えてきたウェイン・スミスが、新しい総監督に就任。定期的に来日しながら、デーブ・ディロン新ヘッドコーチと二人三脚で強化を図る。さらにニュージーランド代表29キャップのアンドリュー・エリスが、加入5年目にして共同主将を担う。

福本正幸チームディレクターは、過去の助っ人を「我々のチームに、すぐなじんだ選手、2年目からという選手、最後までなじまなかった選手がいました」と総括しつつ、こんな希望を口にするのだ。

「今回のカーター選手獲得にあたり、私自身は年齢的な点を少し気にかけていました。しかしスミスに相談したら『彼は誰よりもラグビーと真摯に向き合い、ハードワークしている。チームにプラスになることが多い』と聞きました。エリスもは、彼の加入でチームが大きく変わると言っていました。我々も、ニュージーランドのラグビーを学ぼうという状態。彼のペースでなじんでいって欲しいと思っています」

神戸製鋼は、トップリーグ設立前に日本選手権7連覇を達成した歴史を持つ。果たしてカーターは、その古豪の復活を後押しできるか。力を発揮しやすそうな環境のもと、トップリーグ初戦に向け急ピッチで調整する。

「神戸製鋼のやるラグビーは、私がニュージーランドでしてきたものに似た部分が多いと思います。ニュージーランドでの自分の経験も活かし、チームに貢献したいです」

神戸製鋼の初戦は8月31日。神戸市のユニバー記念競技場でNTTコミュニケーションズと激突する。

取材・文:向風見也(スポーツライター)

撮影:榎本芳夫

 

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