新型コロナウイルスの第一発見者 武漢の医師「殉職」の無念

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武漢市中心病院の玄関に置かれた李文亮医師の写真と花束。花を手向ける市民は皆、深々とお辞儀をしていた

「李文亮医師は、武漢で最初に新型肺炎に対して警鐘を鳴らした人物でした。33歳と若かったが、初期からこの〝未知のウイルス〟に関わっていたので、おそらく防御策を取らずに最もリスクの高い治療をしていたのでしょうね……」

渡航医学を専門とする関西福祉大学教授・勝田吉彰氏は、こう嘆息する。2月7日、武漢市中心病院に勤務していた李文亮医師が新型コロナウイルス肺炎で死去した。彼は昨年末、武漢市を席巻しつつある伝染病の存在に気づいた8人の医師の一人でありながら、市の公安警察によってデマを流したと訓戒処分される。しかし、その後、市は初動体制の過失を認め、李医師は「人民の英雄」として賞賛されるようになっていた。前出・勝田氏は言う。

「これだけ大規模な感染になってしまった以上、もう武漢での封じ込めは不可能です。あとは感染後に治癒し、免疫を持つようになった人が増えて、感染拡大が止まるのを待つしかない。これを集団免疫といいます。最終的にどのくらいの数で収まるのか、今の段階ではわかりません。感染者数の増加率は鈍化していますが、事態が収まる道筋は見えていません」

春節(旧正月)休暇が明け、経済が動き出したはずの中国だが、どの町も人通りは閑散としている。2月10日にはマスク姿の習近平国家主席が北京市内の病院を訪れて医療関係者を激励した。だが、翌11日には、10日一日で100人以上死者が増加し、中国全土での死者が1000人を突破したことが明らかになった。

「はっきり言って、中国政府はもう武漢を半ば見捨てている。彼らが最も恐れているのは、首都・北京でパンデミックが起こることです。年末に新型肺炎の感染情報を封殺したため、春節休暇を利用して、地方と首都の間を大量の人々が行き来してしまった。2月10日の春節明けで北京の感染者数が、一層増加していくのは目に見えている。中国政府は、まだまだ不都合な情報を隠蔽しているはずです」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

犠牲となった李医師には、5歳の息子と6月に誕生予定の子を宿した妻がいるという。彼の死を無駄にしてはいけない。

武漢市内では病室が足りず、体育館や展示センターにベッドを運び込むなどして転用し、緊急対応している

『FRIDAY』2020年2月28日号より

  • 写真時事通信社

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