西日本豪雨を引き起こした新型モンスター積乱雲

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7月6日午後6〜9時の降雨状況。広島から岡山にかけて、幅50㎞、長さ170kmの「降水帯」が発生している

死者・行方不明者200人以上――。「平成最悪」とされる豪雨被害をもたらしたのは、「モンスター積乱雲の群れ」ともいうべき恐ろしい気象現象だった。

「本州の広い範囲の大気が不安定な中、広島・岡山などに湿った空気が集まって上昇気流を形成し、積乱雲が発生しやすくなっていました。ふつうの積乱雲は風によって流れていきますが、今回は風の上流側で次々と積乱雲が発生して、後方にどんどん連なっていった。『線状降水帯』と呼ばれるもので、これが記録的な集中豪雨をもたらしたのです」(琉球大学助教・伊藤耕介氏)

下の画像を見てほしい。これは7月6日午後8時の中国・四国地方の上空の様子を、3D画像で再現したものだ。広島・岡山の辺りに巨大な積乱雲が林立して、「帯」を形成しているのが見て取れる。その様がまるで、高層ビルが並んで連なっているようにも見えるため、「バックビルディング現象」とも呼ばれる。

「今回の積乱雲は高度が7km程度で背が低いのが特徴です。高度15kmにも達するような積乱雲と比べると激しい風や、雷は少ないのですが、移動が遅い分、同じ地域に多量の雨が降り続ける結果になりました」(防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門・三隅良平部門長)

恐るべきことに、この現象は「今回だけが特別」というわけではない。実は近年、日本では線状降水帯による豪雨災害の頻度がどんどん増している。われわれは「モンスター積乱雲」に襲われやすくなっているのだ。

「アメダスのデータで1時間に80㎜を超える雨(猛烈な雨。息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる)の頻度は、1980年頃は年11回でした。それが2010年頃には年18回に増えた。’11年7月の新潟・福島、’12年7月の九州北部、’13年8月の秋田・岩手、’14年8月の広島、’15年9月の関東・東北、’17年7月の九州北部と、毎年のように線状降水帯による豪雨が発生しています」(三隅氏)

厄介なことに、線状降水帯はいつどこで発生するか、極めて予測がしにくい。最近の例を見ても、日本全国のどこでも被害が出ている。特定の条件さえ整ってしまえば、東京や大阪などの大都市の真上に発生することも十分あり得るのだ。三隅氏はこう警告する。

「今後も台風が連続してやってくる時期や、秋雨の時期には警戒が必要です。台風が連なるのは7月から10月、秋雨は9月、10月。1時間に80㎜を超える雨では、降りだしてからの避難は難しい。日頃から大雨警報に注意し、すぐに避難できるよう準備しておくべきです」

あなたの自宅やマンションも、いつ水の底に沈むか分からない。

高層ビルが立ち並ぶように、積乱雲が連続してそびえている様子。続々と発生する積乱雲が被害を拡大させた

写真:防災科学技術研究所HPより

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