新型コロナで日本人の入国制限拡大? 咳・発熱で隔離措置の懸念も | FRIDAYデジタル

新型コロナで日本人の入国制限拡大? 咳・発熱で隔離措置の懸念も

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気になるのは、海外旅行に行って「入国できるのか」という問題

新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本に各国とも警戒を強めている(写真:アフロ)
新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本に各国とも警戒を強めている(写真:アフロ)

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。日本国内での感染者が連日増え続け、国内外を問わず、旅行の自粛モードも広まっている。さらに、アメリカが日本への“渡航注意”という勧告を出し、他の諸外国も日本からの渡航を制限し始めている。今、海外旅行に行っても「もしかして入国できない可能性があるのではないか」という懸念が出てきた。

中国(香港・マカオ含む)以外の地域へのツアーや航空券などをキャンセルした場合の取消料も、まだはっきりしない状況。今後の大型連休、夏休み、さらに年末年始などに旅行を計画する場合にも、最新情報を集めて決断のタイミングを見極める必要がある。

外務省の「海外安全ホームページ」は逐一チェックしたい
外務省の「海外安全ホームページ」は逐一チェックしたい

アメリカ、タイ、台湾、韓国…。日本への渡航を自粛する国が増えている

アメリカを筆頭に、日本への渡航を自粛する国が徐々に増えている。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、中国本土に続き、日本と香港への旅行者に向けて渡航注意情報を出し、22日には、3段階あるレベルのうち2番目の「レベル2」に引き上げた。そのほか、台湾や韓国も2月21日、「感染源が不明」とのことで日本への渡航警戒レベルを引き上げ、ASEAN諸国ではタイが日本への渡航自粛要請を出した。

日本からの入国を制限している国はまだ少数だが、刻々と変わる情報に注意!

そこで気になるのは、海外旅行に行って「入国できるのか」という問題。現在のところ日本からの入国が禁止なのは、すべての感染国の渡航を禁止にした太平洋の島国であるミクロネシア連邦(グアムやサイパンは含まれない)、日本と韓国からの入国を自国民以外拒否しているイスラエル、日本からの入国者に14日間の自宅経過観察や医療スタッフの毎日往診などを義務付けたカザフスタンなどだ。 

また、中国の山東省威海市では、ウイルスの「逆流」を警戒して、日韓から入国したすべての人を対象に14日間のホテルなどでの隔離措置にすると発表した。

日本人が入国制限の対象になっていない場合でも、フィリピンや台湾などには、中国大陸・香港・マカオに14日以内に旅行して入国する場合は現地の居住者でない限り入国できない。これらの措置は、乗り継ぎのみの経由便も対象になる場合があるので要注意だ。 

現状、日本からの入国を制限している国は少数だが、旅行を計画している人は、こまめな情報収集が必要だ。最新情報は、外務省の「たびレジ」への登録をはじめ、TwitterなどのSNSでの情報収集がおすすめ。公式発表の正しい情報が素早く得られるようにしておきたい。

入国できる国でも発熱や咳などで隔離の対象になる場合も

タイの玄関口、バンコク・スワンナプーム国際空港。タイ保健省は、23日、日本からの入国者に対し、到着後14日間は公共の場所に行くのを自粛するよう要請した
タイの玄関口、バンコク・スワンナプーム国際空港。タイ保健省は、23日、日本からの入国者に対し、到着後14日間は公共の場所に行くのを自粛するよう要請した

日本人の入国制限を設けていない地域でも、タイや台湾などのように日本からの到着便をスクリーニングの対象として検疫を強化している国が多い。そこで今、旅行する際に特に注意したいのは「発熱」「咳」「くしゃみ」といった風邪のような症状が出ている場合だ。どの国・地域も新型コロナウィルスによる肺炎が疑われる症状に、最も警戒している。

万が一、入国時に発覚した場合、別室でのさらなる検疫が行われたり、隔離されたりする可能性がある。諸外国では、新型コロナウィルスによる肺炎の感染が疑われる場合、最低14日間の隔離を義務付けているケースが多い。海外で14日間の隔離というのは、時間だけでなく予算的にも旅行者にとって負担が大きく、また現地の言葉が不自由ならなおさら厳しい。

日本の空港での検疫も強化されている。中国・香港・マカオからの到着客には別途、質問状の記入などが行われている
日本の空港での検疫も強化されている。中国・香港・マカオからの到着客には別途、質問状の記入などが行われている

筆者は、2009年に新型インフルエンザが流行した際、中国の北京到着直後に機内で隔離されたことがある。乗客に発熱していた日本人観光客の男性がいたためで、乗客乗員全員の検温と健康チェックが行われた。約2時間半後にやっと機内から解放されたものの、海外しかも中国で、機内にいきなり防護服を着た多くのスタッフが乗り込んでくる様子は気が気ではなかった。「発熱しているなら観光旅行なんて来ないでくれ」と、正直思った。

もし、出発前に発熱や咳といった症状が既にあるなら、決して無理をせず、旅行を取りやめるべき。新型コロナウィルスによる肺炎だと、周囲への感染をさらに拡大する恐れもあり、自分1人の問題では収まらない。

旅行をキャンセルする際の旅行会社の対応は?

旅行に行くか否か、そこで誰もが悩んでしまうのは「キャンセルしたらお金が戻ってこないのではないか」ということではないだろうか。旅行会社のキャンセル対応については、ひとまず旅行会社各社の公式サイトを確認する、電話で問い合わせするのが賢明だ。

大手旅行会社のホームページでは新型コロナウィルスに関する情報が掲載されている(JTB公式サイトより抜粋)
大手旅行会社のホームページでは新型コロナウィルスに関する情報が掲載されている(JTB公式サイトより抜粋)

例えば、JTBの公式サイトでは、お知らせのトップに「新型コロナウィルス感染症発生に伴う弊社海外旅行の取り扱いについて」という案内がある。募集型企画旅行(ツアー)に関しては、「2020年3月31日(火)出発分までの中国、香港、マカオを目的地とするツアーの催行を中止いたします」とあり、これらは手数料なしでの全額払い戻し対象。ただ、その他の地域、中国国内や香港、マカオでの乗り継ぐツアーなどについては対象外で、入国制限が出ている国々についてもツアーは催行されており、キャンセルすると通常通りの取消料がかかると考えたほうが良い。他の大手旅行会社もほぼ同じと考えて良いだろう。

もし出発前に発熱や咳といった症状がある場合は、どこに行くか、どんな旅行であっても、旅行会社などへ早急に相談することを強くおすすめする。

航空券は払戻手数料なしでの全額払い戻しや変更の対応が増えている

航空会社ではすでに、香港・マカオを含む中国方面の航空券について、手数料なしでの払い戻しや変更に対応しているところが出ている。

例えば、中国国際航空の場合、「新型コロナウィルスによる肺炎の発生に伴う国際航空券の特別対応」として、出発前の申請で払戻手数料無料での全額払い戻しに対応している。他の中国の航空会社もほぼ同じ対応。中国便に関しては欠航が相次いでおり、これらの欠航についてもすべて払戻手数料なしでの全額払い戻しとなる。

日本~タイの直行便では、大手、LCCともに航空券を手数料なしの変更などに特別対応している
日本~タイの直行便では、大手、LCCともに航空券を手数料なしの変更などに特別対応している

手数料なしでの特別対応は、他国にも広がっている。タイ国際航空をはじめ、タイ・エアアジアXやノックスクートなどは、日本とタイを結ぶ路線で2020年3月31日までの搭乗分を対象に、手数料なしで予約変更可能となっている。その他、香港を拠点とするキャセイパシフィック航空、シンガポール航空などでは減便や運休が相次いでいるのもあり、払い戻しに関しても特別対応を行っている。 

このような状況は、日々刻々と変わっている。各航空会社のHP等で最新情報をその都度チェックしてほしい。

旅行の計画どうする? 予約のタイミング、慎重に見極めを

今後に控える大型連休、夏休み、年末年始などで旅行を計画する場合、どうすればよいのだろうか。

できれば今は控えたほうが良い、というのが誰もが思う正直なところ。それでも旅行を計画する場合、行こうとしている国や地域などの状況をしっかり見極めつつ、いざという時のキャンセル時の対応がはっきりしている、払い戻しを受けやすいツアーや航空券、ホテルでは直前まで「キャンセル無料」の宿泊プランで予約するのをおすすめする。 

ホテルは直前まで「キャンセル無料」プランを選ぼう。ホテルへの直接予約がおすすめ ※画像はイメージ
ホテルは直前まで「キャンセル無料」プランを選ぼう。ホテルへの直接予約がおすすめ ※画像はイメージ

海外旅行の場合、繁忙期でなければ直前でも国際線の航空券やホテルなどが安いことも多く、数日前に予約して行く、という手もある。ただ現在、手数料なしで払戻・変更の特別対応が受けられる航空券は直前予約のキャンセルには対応していないので注意したい。国内旅行も同様で、特に自らの健康状態に関しては、通常以上の注意を払って行動してほしい。

■記事中の情報、データは2020年2月25日現在のものです。

外務省の「海外安全ホームページ」はコチラ

シカマアキさんのウェブサイトはコチラ 

  • 文・写真Aki Shikama / シカマアキ

    旅行ジャーナリスト&フォトグラファー。飛行機・空港を中心に旅行関連の取材、執筆、撮影などを行う。国内全都道府県、海外約40ヶ国・地域を歴訪。ニコンカレッジ講師。元全国紙記者。

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