日本人はなぜかくも富士山に魅せられるのか…ひとつの答え
春の訪れを告げる菜の花畑と
日本の象徴・富士山は、2013年に世界遺産登録がなされただけでなく、さまざまな海外サイトの「世界で最も有名な十山(Top 10 most famous mountains in the world)」で常に選出され、外国人観光客にも高い人気を誇る。
「ふ(2)じ(2)さん(3)」にちなんで2月23日を「富士山の日」と最初に定めたのは山梨県の河口湖町だった。この試みは次第に拡がり、’09年には、静岡県議会が全会一致で「富士山の日」条例を可決。現在では山梨・静岡両県で「富士山の日イベント」が盛んに開かれている。
なぜ人はかくも富士に魅せられるのだろう。「富士山六人衆写真展」などで活躍する写真家・渡辺守氏はこう語る。
「僕は富士山の麓で生まれ育ちましたが、ある時から一眼レフを手に富士山と向き合うようになった。するとシンプルな富士の姿のなかに四季折々の歳時記や人々の心が反映する、ということがわかるようになってきたんです。僕の写真を見て、懐かしい、ほっとする、と言ってくれる人が多いのは、そのせいかもしれません」
渡辺氏が最も感動した光景は、小学校の頃に遭遇した「金色の世界に現れた富士山」だという。
「その日は偶然、朝早くに登校したんです。日の出から少し経った時間帯で、朝霧が晴れてゆく中、金色の彼方からうっすらと富士が姿を現した。子供心にも神秘的な思いを抱いたのを覚えています。これからも新たな富士山を撮り続けていきたいと思っています」
車窓から眺める霊峰
外国人観光客が発見した「日本の絶景」
一瞬の雷雲に包まれて
工場夜景の背後に浮かぶ壮大な姿
静岡の原風景「茶畑と富士」
巨大な月と山頂の旧測候所
日本一の峰に抱かれる町
『FRIDAY』2020年3月6日号より
撮影:渡辺守写真(雷雲):河口湖美術館「富士山写真大賞」写真(工場夜景、茶畑):静岡県富士市