中華チェーン三国志 「日高屋」退け「餃子の王将」一人勝ちの理由

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都市部に多い日高屋と餃子の王将の店舗。夕方には男性だけでなく“ちょい飲み”の女性客でもにぎわう

午前11時のオープン前から、すでに5人ほどの男女が店の前に並んでいた。都内にある、中華料理チェーン「餃子の王将」(運営は王将フードサービス)だ。開店と同時に、さらに数人が来店。オープンから20分ほどでスグに店は客でいっぱいになった――。

中華外食チェーンの競争が激化している。激しく争っているのは幸楽苑ホールディングスが運営する「幸楽苑」、ハイデイ日高の主力事業である「日高屋」、そして餃子の王将だ。“中華チェーン”三国時代とも呼ばれる現状について、経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「’67年に京都市で開業し50年以上の歴史を持つ餃子の王将を、’00年代に入り幸楽苑と日高屋が猛追してきました。福島県に本部を置く幸楽苑は東北や北関東の郊外を中心に、埼玉県を本拠とする日高屋は都心にも進出して店舗展開します。ウリはラーメン1杯300円ほどという低価格。生ビールも200円代で提供されるので、“ちょい飲み”ブームにも乗って人気を得ました。転機となったのは’10年代半ばです。低価格での顧客獲得が飽和状態となり、幸楽苑が看板メニューでもあった290円のラーメン販売を中止(現在は限定的に販売されることも)。やや高額な商品にシフトしたんです。この判断が、結果的に凶と出ました。幸楽苑から客足が遠のき、日高屋が大きく勢力を伸ばすことになったんです」

だが、最近は日高屋の勢いにも陰りが出てきた。’19年11月期の決算で、ハイデイ日高の営業利益は前年比16.3%減の約30億6500万円にとどまっているのだ。逆に日高屋との差を広げているのが、猛追を受けていた餃子の王将。王将フードサービスは’19年12月期の決算で、営業利益は前年比7.7%増の約59億円で増収増益となっている。前出の松崎氏が続ける。

「両社で明暗が分かれたのには、二つの理由があります。一つはビジネス形態です。日高屋は典型的なフランチャイズ制をとっています。本部が決めた料理法や接客を、フランチャイズ店がマニュアル通りに実行する。どこの店舗でも同じ料理が食べられますが、悪く言えば個性がありません。一方の餃子の王将は現場主義で、料理人も各店舗で独自に育てています。カウンターに立ち飲みスペースを作るなど、店舗ごとの個性がウケているんです。

二つ目の理由は、メニューへのこだわりの違いです。日高屋のメニューはマニュアル化されているため、どこの店舗でもほとんど一緒。対して餃子の王将は、店舗ごとにオリジナルメニューがあります。特に店名にかかげているだけあり、餃子へのこだわりが強い。女性客を意識し、にんにく抜きの餃子などを提供しているんです。また外国産をほとんど使わず、食材はほぼ国産を使用しているのも評判を高めている要因の一つでしょう。

幸楽苑や日高屋という新興チェーンの登場で、一時は窮地に立った餃子の王将。老舗ならではの、“お客様目線”の経営努力で再び差を広げているんです」

コンビニがイートインコーナーを拡大させるなど、競合する他業種も増えた。安く料理を提供するだけでは、もはや客は魅力を感じないのだろう。競争が激化する中で、各中華チェーンはさらなる創意工夫が求められている。

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