『スカーレット』喜美子・八郎の新展開と回想シーンにファン歓喜 

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八郎(松下洸平)が信楽に、川原家に帰ってきた! 2月17〜22日にかけて放送された朝ドラ『スカーレット』第20週の展開に、ファンからは次々と喜びの声があがった。

穴窯を巡って意見がぶつかり合い、八郎が家を出る形で別居してから実に10年。息子の武志が知らないうちに離婚し、喜美子(戸田恵梨香)と八郎は、再び「川原さん」と「十代田(そよだ)さん」に戻っていた。「嫌い合って別れたわけやない」と幼馴染の信作(林遣都)が言う通り、どちらも相手に心を残したままだったが、今一歩踏み込めずにいた2人。止まってしまった夫婦の時間を再び動かした人々にスポットを当てつつ振り返ってみよう。

「やっと来たかあ、お父ちゃん」喜美子の胸を刺した武志の言葉

ずっと一緒にいると思っていた両親が、突然いなくなる。子どもにとって親との離別は、世界が一変する出来事だ。幼いながらも不穏な空気を察知し、残った母を気遣いつつも「なんでこうなったの?」という疑問や寂しさを抱えていたことを、武志(伊藤健太郎)は初めて喜美子に吐露する。

川原家にテレビジョンが来た日。「来たで!」と言う母に起こされて跳び起きた武志は、父・八郎が帰ってきたと思ったという。武志はずっと、8歳のときに聞いた「お母ちゃんは、お父ちゃんのこと大好きやで」という言葉を信じて、父の帰りを待ちわびていたのだ。そうやって10年、帰ってこない父と、何も語らない母から武志が悟ったのは、「お母ちゃんは陶芸家としてやりたいことをやって成功した代わりに、大事なもんを失った」ということだった。自分は、そこまでして陶芸を続けていけるかわからない。意を決して心の内を明かした武志の表情は、陶芸と母への畏怖の念に揺れていた。

主人公・喜美子を好演する戸田恵梨香。物語もいよいよ終盤に差し掛かる

改めて、自分の決断が子どもに与えた“傷”を突きつけられた喜美子は、しばし言葉を失ってしまう。誰に断りもなく、自由に好きなことをやれる解放感と、陶芸家として一角の地位を確立し、作品が売れるという充実感が、一気に後ろめたい気持ちになった瞬間だっただろう。

喜美子は、自分の選択に自信があったわけではない。八郎がしばらく信楽の町に留まり、7度目でようやく穴窯が成功した時に、できあがった作品を観に来てくれたこと。「すごいな」と、めおとノートに書き残してくれたこと。別居期間中も、父親としてきちんと武志と向き合ってくれたことに感謝はしていたが、どうしても「帰ってきて欲しい」とは言えなかった。

生真面目な喜美子のことだから、「言ってはいけない」と思っていたのかもしれない。八郎が差し伸べた手をすべて払い除けたのは自分なのに、今さら虫が良すぎる。そう思っている間に八郎は信楽から京都、そして愛媛へと去って行った。美術商の柴田から八郎の消息を聞いた喜美子は、個展の芳名帳に残された「十代田八郎」の名前を見て、八郎の「一から出直す覚悟」をくみ取り、正式に離婚したのだ。

想像するに、喜美子は「十代田」の名前を見るまで、離れていても家族だと心の隅で思っていたのかも知れない。しかし不意打ちのように「離別」を突きつけられて、自ら歩み寄ることを諦めてしまった。

だが、進学にあたり、悩んだ武志が頼ったのは父・八郎だった。名古屋の会社で釉薬(ゆうやく)の開発をしている八郎のアドバイスを受け、猛勉強の末に父の母校に進学。卒業後は、自立のために実家を出ることと穴窯を継がないことを決意する。その決断は、おそらく母の人生を否定することと同じだろうから、正直に丁寧に自分の気持ちを伝えたい。武志はそこまで母を思い遣り、喜美子を“あかまつ”に誘ったのだろう。そんな息子の優しさを実感した喜美子は、立派に成長した息子の決断を快く受け入れた。互いに違うことを認め合い、心の絆で繋がった対等な関係。親子2人の宴は、喜美子の子育ての卒業式となったのだ。

こうして“母”から解放された喜美子。実母・マツ(富田靖子)が亡くなると“娘”からも解放され、 “ひとり”の自由を手に入れるが、その胸に去来したのは喜びではなく、寂しさだった。

“人生を豊かにしてくれるもの“に気付かせてくれた小池アンリ

人生で初めて、ひとりで暮らす寂しさを味わった喜美子は、改めて自分が失ったものについて考えを巡らせる。作品は高値で売れるが、庶民には手が出ない。身近な人が、毎日使ってくれる食器を作ることに喜びを感じていた八郎とは、正反対だ。「先生」と持ち上げられて、同じ目線で陶芸について語る相手もいない。留守番電話も知らず、八郎に電話をかけて「女がでた!」と大騒ぎした事件は、幼馴染・照子(大島優子)が「半径10m以内で生活しているから」と指摘した通り、喜美子の心が内に籠もり、時が止まってしまっていることを物語っていた。

そんな喜美子の生活に新風を吹き込んだのが、自由奔放に生きてきた元女優の小池アンリ(烏丸せつこ)。「優れた芸術品だけが、人の心を豊かにする」と言うアンリに惹かれた喜美子は、聞かれるままに身の上話をし、ワインに酔って「ハチさ〜ん」と呟き、ひとりは寂しいと泣いた姿まで見られてしまった。

お酒の力を借りたとはいえ、喜美子の心をここまで裸にした人はアンリしかいない。さすが恋のために女優を辞めた女、すきやきパーティで喜美子と八郎の間に流れるぎこちなさに気づき、さりげなく2人の背中を押す“腹芸”は、お見事だった!

アンリと居ることで喜美子は改めて、「自分の人生を豊かにしてくれるものはなにか?」に考えを巡らせ、「それは人だ」ということに気づく。小さい頃から誰かのために生きてきて、時に窮屈な思いをしたこともあったが、自分を幸せにしてくれたのも周囲の誰かだったと思えたのだろう。

ようやく心を決め、「喜美子って呼んでみい」とぎこちなく八郎を挑発した喜美子。そんな喜美子に「はぁああ…?」と、驚きと安堵と嬉しさと「また、やられた」という一抹の悔しさをにじませた八郎の情けないうろたえぶりは、まるで青春時代に戻ったかのようなかわいらしさがあり、テレビを観ているこちら側も照れてしまうほど。若い頃には少しあった角もすっかり丸くなり、惚れた弱みとばかりに喜美子に全面降伏する姿には、清々しさも。

とはいえ、確たる約束も交わしていない2人の関係は、まだまだ流動的。最後まで、2人の行く末を優しく見守っていきたい。

喫茶店サニーが舞台の今週は、回想シーンがてんこ盛り

喜美子と八郎の再会は、やはり信作と照子の存在なしでは語れない。

2月24日の週は、影の功労者・信作夫婦と照子夫婦の2組にスポットが当てられている。両親と子どもたちを有馬温泉に送り出し、久しぶりに夫婦2人きりになった信作と百合子(福田麻由子)は、一緒に喫茶店の店番をする。喜美子の妹である百合子は、信作の過去の女性遍歴を聞いてチクッとした嫌みでやきもちを焼いていることを示しつつも、「20人目の女ですー」とおどけるユーモアもある昭和の良妻賢母タイプ。

一方、照子は「妻は夫を立てるのが当たり前!」という古風な考えの持ち主で、こちらもまさにザ・昭和の夫婦。父に諫言する物怖じしない敏春(本田大輔)に男らしさを感じ、一目惚れで結婚した。そして自分の言葉通り献身的に夫を支えてきたが、カレーの味から始まった敏春の大失言で大喧嘩になりーー。

今週は、夫婦2組のコミカルなやり取りの中でたびたび挿入される回想シーンが見もの。若かりし頃の喜美子と八郎の初々しい姿に、一喜一憂する1週間になりそうだ。

  • 取材・文中村美奈子

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