試合消化に黄信号 プロ野球は今こそダブルヘッダーを実施せよ

NPBでは1998年以来行われていないダブルヘッダー。しかし、今年は真剣に導入を検討する必要がある!

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1974年10月14日、長嶋茂雄の引退試合は中日とのダブルヘッダー第2試合だった

今年の日本スポーツ界は、未曽有の危難に見舞われている。新型コロナウイルスの蔓延によって、あらゆるスポーツイベントの開催が困難になっているのだ。よりにもよって56年ぶりの東京オリンピックの年に。

Jリーグは公式戦の延期を決めた。さしあたって94試合がキャンセルされた。

大相撲は、春場所を中止するか、無観客にするかの決断を迫られている。

プロ野球も、2月29日以降に開催予定のオープン戦72試合を無観客試合にすることを決めた。影響は3月20日に開幕する公式戦まで及ぶことが必至である。

ただでさえも東京オリンピック期間に公式戦を中断する今季は、スケジュールに余裕がない。この日に開幕できなければ、年間143試合の公式戦の消化が厳しくなる可能性もあろう。

さらにこのほど気象庁が発表した長期予報によれば、今年は梅雨期の降雨量はほぼ平年並みか多いと予想されている。梅雨の影響も軽視できないだろう。

2017年には延期も中止もできないクライマックスシリーズを強行したため、ぬかるみの甲子園で阪神対DeNA戦が行われたが、今シーズン終盤にもこうした「泥試合」が見られる可能性がある。

今こそ「ダブルヘッダー」の復活を真剣に検討すべきではないか。

1日に2試合を行うダブルヘッダーは、昭和の時代には普通に行われていた。雨天などで試合が消化できなかった時に、次の対戦時にダブルヘッダーに組み直すこともあったし、土日などは最初からダブルヘッダーが予定されることもあった。

デーゲームとナイターを1日で見ることができるダブルヘッダーは、お得感もあったしプロ野球ファンには堪えられない贅沢なものだった。入れ替え無しの場合が多かった。通しのチケットはやや割高だった。

「巨人軍は永久に不滅です」で知られる長嶋茂雄の引退試合や、川崎球場の「10.19」など、球史に残る名試合もダブルヘッダーだった。

しかし平成以降、ダブルヘッダーは行われなくなった。ドーム球場がたくさんできて、雨天中止が少なくなったこともあるが、それ以上に12球団の観客動員が大幅に増加したことも大きい。

昔は、巨人戦以外は閑古鳥が鳴いていた。むしろ2試合興行してお得なチケットを発売することで、1試合時より多くのお客を呼んで興行収入を上げたいという思惑でダブルヘッダーを組むことさえあった。

しかし、現在は、公式戦の観客動員がほぼ全試合80%を超えている。NPB球団にとって「興行収益」は、経営の大きな柱となっている。ダブルヘッダーは、売り上げ的には1試合より少なくなることが想定されるから、球団サイドは実施には難色を示す。

MLBでは今も普通にダブルヘッダーが組まれている。試合が雨で流れれば、同じカードの次の試合がダブルヘッダーになることが多い。

MLBではポストシーズン開幕までに消化できなかった公式戦はすべて打ち切りになる。毎年、MLB各球団の試合数が1~2試合異なっているのは、打ち切られた試合があるためだ。各球団はそれを極力避けるために、臨機応変にダブルヘッダーを組んでいる。

MLBの場合、180日で162試合という超過密な日程だけに、興行収入が多少減っても、ダブルヘッダーは試合消化のための必須の手段なのだ。

MLBの場合、本拠地球場はすべて球団が興行権を有しているから、自由に試合日程が組めることも大きい。NPBでは巨人の東京ドームや、ヤクルトの神宮球場、日本ハムの札幌ドームなど、興行権を球団が保有しておらず、指定管理者にも指定されていないケースがあるので、簡単ではないが。

今季のNPBペナントレースは、7月21日から8月13日まで、長い中断期間がある。この間に、前半戦の各球団の試合消化状況を勘案して、後半戦の日程を組みなおすことになるが、このときにダブルヘッダーを適宜投入してはどうか。

中止試合とは別に、新たにチケットを販売する形にすれば混乱は回避できるだろう。昔は入れ替え制でなかったが、今回は原則として入れ替え制で、お得な通し券も販売してはどうか。

試合消化率が低いままシーズン終盤を迎えれば、2013年のようにクライマックスシリーズの最中にペナントレースの消化試合が行われる事態になる。リーグの最終順位や個人タイトルも決定することができないままに、ポストシーズンが始まるのは、なんとも間が抜けたものだった。それで済めばまだましだが、それでも143試合を消化できない可能性もある。それはNPBの根幹を揺るがす事態だ。

野球協約ではダブルヘッダーを禁止してはいない(同一球場で同じ日に異なる球団と2試合を行う場合には、実行委員会の許可が必要)。NPBが決断し、各球団が了承すれば実現は可能である。最悪の事態を今から考えておくべきだろう。

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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