元交際相手が明かした足立朱美容疑者の知られざる「私生活」
切迫する会社の経営状態と自身を蝕む病魔… 朱美容疑者の内面にどんな変化があったのか?
「僕が彼女と付き合っていたのは、2年前。彼女は常に冷静でサバサバした性格でした。その半面、プライドが高く、自分を追い詰めすぎるところがあった。付き合っていた頃、彼女が経営する建設会社のことを相談されたことがあったんです。僕が『そんなにしんどいなら辞めたほうがいいよ』と言ったら、『会社を潰(つぶ)したら、従業員の生活はどうなるの。父親の代から働いてくれている人もいるのよ』と返されました。その頃から過剰にストレスを溜め込んでいたんでしょうね。彼女は会社を継ぐ前、塾講師として働いていた時期があった。それを思い出して、『あの仕事が私には向いていた。できるなら塾講師に戻りたい』と漏らしていたこともありました。僕は彼女があんな事件を起こしたとは思えません……」
こう語るのは、6月20日に”弟殺し”で逮捕された建設会社社長・足立朱美容疑者(44)の元交際相手(40代前)だ。
事件が起きたのは今年3月。朱美容疑者は大阪・堺市内の実家で弟の聖光(まさみつ)さん(40)に睡眠薬を盛って昏睡させ、トイレへ運び込み練炭を燃やして殺害した。さらに彼女は架空の遺書を作成し、弟の練炭自殺を偽装。事件後は近所に聖光さんの妻を中傷するビラをバラ撒(ま)く一方で、逮捕直前のテレビ局のインタビューには「冤罪が自分の身に降りかかろうとしている」と”潔白”をアピールしていた。
「彼女が関与していると思われる事件は、聖光さん殺しだけではありません。今年1月には、糖尿病の父親が彼女の作った甘酒を飲んだ後、低血糖になり救急搬送。いまも意識不明の脳死状態で、大阪府警が朱美容疑者の関与について捜査しています。さらに、聖光さん殺しの事件当日には、朱美容疑者から渡された抹茶オレを飲んだ母親が自宅の2階で昏倒し、意識を失っています」(全国紙社会部記者)
まるで肉親を狙った「一家殺し」を企てていたように見える朱美容疑者だが、元交際相手が語るように、彼女は約3年前に父から継いだ会社の資金繰りに四苦八苦していた。実際、彼女の会社の売り上げは朱美容疑者が社長になってから半減。一方、聖光さんが’12年に立ち上げた同業の会社は好調で、直近1年間だけで売り上げは倍増していた。さらに同時期、彼女は病魔に苦しんでいたという。
「実は、僕と付き合っていた頃、彼女はガンの手術を受けているんです。膵臓か肝臓にステージ3~4の悪性腫瘍が見つかり摘出した。彼女はもともと痩(や)せ型だったけど、手術以来、ゲッソリしてしまい、『体調が悪い』とこぼすようにもなった」(前出・元交際相手)
日に日に切迫していく会社の経営状態に加え、自身を蝕(むしば)む病魔。このガン発症を機に、朱美容疑者の内面に大きな変化があったのだろうか。
今後、事件は司直の手に委(ゆだ)ねられる。だが、弁護士の落合洋司氏は本件の捜査や裁判が行き詰まると指摘する。
「自身の会社の経営難や競合する弟の会社の台頭があったとしても、それらは事件の動機には結び付けられない。結局、現時点ではなぜこの事件が起きたのか、謎のままです。動機は量刑にもかかわる重要な要素だけに、それが解明されないと、捜査や裁判は難航するでしょう」
大阪府警は「動機なき殺人事件」を解明できるのか。その力量が問われている。