持ちビル取られ脳梗塞も。羽賀研二「4億円詐欺」被害者の転落人生
「‘19年12月に亡くなられた俳優の梅宮辰夫さんは、あいつのことを『稀代のワル』をおっしゃっていましたが、本当にそうです。私に返すべき財産を隠してのうのうと生きている。絶対に許せないですよ」
そう、語るのはタレントの羽賀研二被告による未公開株詐欺で4億円近く騙されたA氏。‘01年に羽賀被告から未公開株の売買を持ちかけられ、大金を騙し取られた。
‘07年に羽賀被告は詐欺などの容疑で逮捕され、‘13年に懲役6年の刑が確定し沖縄刑務所に服役。‘19年には満期を迎え釈放されたことが一部週刊誌で報じられた。
A氏は羽賀被告に対し、4億円あまりの被害金を取り戻すため民事裁判に提訴。‘16年には大阪地裁が請求通り3億9000万円を支払う判決を出し、確定しているのだが……。
「羽賀は民事裁判中に“服役中だから200万円しか払えない。これで和解してくれ”と泣きついてきた。ずっと、“払いたいけど、お金が無い”って言っていたんです。しかし、実際には生まれ故郷の沖縄に16筆もの物件を隠し持っていたのです」(以下A氏)

商業ビルや一戸建て住宅、それに米軍基地内の土地など、地元の不動産会社によれば、テナント料として月々300万円ほどは見込めるという。民事裁判では“お金が無い”と主張しておきながら、隠し財産を持っていたのだ。
「‘16年10月に民事裁判の判決が確定したのですが、その約2か月後に羽賀は妻と離婚。しかも、所有するすべての不動産を妻名義に書き換えていた。こんなの、私に取られないようにする明らかな財産隠しですよ。ヤツは刑務所に入っても、まったく反省なんてしてないんです」
A氏が沖縄県警に告発してから約1年半後の‘19年1月18日。離婚は資産の差し押さえを免れるための“偽装離婚”だったとみて、強制執行妨害などの容疑で羽賀被告と元妻である當眞麻由被告は逮捕された。現在は那覇地裁で裁判が行われている。
羽賀が詐欺罪などで最初に逮捕されてから13年。その間、彼からA氏には1円も払われていない。
「羽賀が4億円を返さないため資金繰りに行き詰まり、‘09年には大阪市内の中心地に持っていた6階建てのビルが競売にかけられ、安いお金で他人の手に渡ってしまった。私は不動産業者として、そのビルを抵当に入れて別の土地を買い、そこに家を建てて売るというビジネスをしていました。でも、今はそれが出来なくなってしまった。今は何とか1か月に20万円稼げるかどうかという生活。羽賀は私から騙し取った金で沖縄に不動産を所有し、月に300万円も稼いで夫婦共々、悠々自適に暮らしている。こんな話があっていいと思いますか!」
と、怒りをにじませる。A氏とは約1年半ぶりに会ったが、顔色は良くなく以前のような関西弁で羽賀の悪行をまくしたてるようなこともない。
「昨年1月に脳梗塞で倒れましてね。幸い軽く済んだのですが、話すと少し聞き取りにくいでしょ。まあ、倒れてからは体調もあまり良くないんですわ……。羽賀が逮捕されたときは“不動産会社社長”なんて報じられたから、今でも世間の人は私を金持ちだと思っている。でも、今は持ちビルも失い、病気で倒れて療養する身。すべてを失い、こんなに落ちぶれてしまいましたよ。これもすべて羽賀に関わったから。何とか羽賀が今回も有罪になり、賠償金を取り戻したいですね」
運命の判決は、3月18日。羽賀被告から4億円を取り戻す戦いは、まだ一歩を踏み出したばかりだ。



取材・文:荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)
埼玉県さいたま市出身。夕刊紙、女性週刊誌を経て現職。テレビやラジオにも出演中