回転寿司“三国志” 27ヵ月連続成長「スシロー」一人勝ちの理由

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昼時を過ぎた都内のターミナル駅前。周辺の飲食店は新型コロナウイルスの影響で閑散とする中、回転寿司チェーン最大手「スシロー」の店内には客があふれていた。席があくのを待つ待合ソファーには、数人の男女が。中には日本で寿司を食べるのを楽しみにしていたのか、ガイドブックを見ながら談笑する外国人観光客の姿も見える――。

回転寿司業界で熾烈な争いが繰り広げられている。’79年に創業した老舗「かっぱ寿司」の首位独走状態が、一変したのは’10年代に入ってから。「スシロー」や「くら寿司」などの新興企業が、激しく追い上げ始めたのだ。回転寿司“三国時代”とも言える現状を、経済ジャーナリストの松崎隆司が解説する。

「『かっぱ寿司』はコンベアで回転しては味気ないと、創業当初は水路に水を流し、寿司を載せた皿を浮かせていました。その様子がかっぱの頭のようだと、店名になったんです。これが子どもたちにウケ、ファミリー層獲得の要因になりました。ビジネススタイルは安い素材を大量に仕入れ、安価で寿司を提供するというもの。’90年代までは寿司は高級店でしか食べられない料理というイメージでしたが、『かっぱ寿司』によって一気に庶民性を帯びたんです。このビジネスモデルに対抗したのが、『スシロー』や『くら寿司』でした。寿司職人を導入し、原価率が高くても質の良い素材を提供しようとしたんです。’10年代に入ると『かっぱ寿司』の格安路線は飽きられ始め、高品質路線の『スシロー』や『くら寿司』に完全に逆転されてしまいました」

昨年の3社の売上高を見ると、明暗がハッキリわかる(左から売上高、営業利益。カッコ内は前年比)。

かっぱ寿司(’19年3月期決算):約761億円(3.3%減) 約6億円(1.7%増)

くら寿司(’19年10月期決算):約1361億円(2.7%増) 約55億円(20.4%減)

スシロー(’19年9月期決算):約1990億円(13・8%増) 約145億円(24.1%増)

「かっぱ寿司」と「スシロー」では、売上高2.5倍、営業利益では実に24倍の開きがあるのだ。前出の松崎氏が続ける。

「最近は『スシロー』と『くら寿司』にも差が出ています。要因は二つある。一つはネット上で炎上した事件です。『くら寿司』では昨年5月、アルバイトがゴミ箱に捨てたハマチを拾ってまな板に乗せる様子をSNSにアップし批判が殺到しました。この一件でブランドイメージが損なわれ、客足が遠のいたんです。二つ目がメニューへの取り組み方の違い。『スシロー』は、あくまで寿司にこだわり『まぐろ祭』など期間限定イベントを開いています。こうしたイベントがウケ、増客につながっている。一方の『くら寿司』は、サイドメニューに力を入れました。ラーメンやハンバーガー、牛丼などを販売し始めたんです。これではファミレスなど、他業態の外食チェーンと差別化できません。徐々に寿司好きの客が離れていきました」

『かっぱ寿司』も巻き返しを狙っているが、状況は厳しいようだ。

「『スシロー』のような高品質路線に変更したんです。しかし一度定着した、“安いが品質の低い寿司”というイメージはなかなか払拭できません。集客力回復に苦しんでいるのが現状です」(松崎氏)

ネット炎上という“敵失”などで、首位を独走する「スシロー」。’20年1月まで、27ヵ月増収増益の連続成長を記録している。

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