新型コロナ無観客試合 阪神・藤浪が笑いロッテ・佐々木が泣くワケ

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3月1日に東京ドームで行われた巨人対ヤクルトのオープン戦。無観客のグラウンドには選手たちの声がよく響いていた

聞こえるのは乾いた打球音と、ミットにおさまるボールの音だけ――。

新型コロナウイルスの影響を考慮し、日本野球機構は3月15日まで行われるプロ野球オープン戦72試合を、すべて無観客で行うことを決定。空席に囲まれた静寂なグラウンドで選手がプレーするという、異様な状況が続いている。2月29日に東京ドームで行われたヤクルト戦後、巨人のエース菅野智之(30)は報道陣にこう語った。

「あらためてファンの声援だったり、そういうものが自分たちの力になっているんだなと考えさせられました」

無観客試合は、選手に大きな影響を与える。特にマイナス要素が強いのが、今季から日本でプレーする外国人選手だという。

「日本の応援スタイルは独特です。トランペットや太鼓が鳴り続け、ファンはメガホンを持ちオリジナル応援歌を大声で歌う。大半の助っ人は、こうした応援スタイルに面食らうんです。米国では鳴り物は、ほとんどありませんから。’00年代に巨人や西武でプレーしたワズディンには、応援を騒音と感じ耳栓をしながらマウンドに上がったという逸話があります。外国人選手にとって、オープン戦は日本の応援に慣れる場でもある。無観客では、いきなり公式戦で大音量の応援にさらされることになります。オープン戦で好調を維持していても、環境の違いからシーズンに入り調子を崩す助っ人が出てくるかもしれません」(スポーツ紙記者)

オープン戦でプロ野球の応援に慣れるという状況は、新人選手たちも同じだ。

「特に心配されるのが、ロッテのゴールデンルーキー佐々木朗希(18)でしょう。佐々木はU-18ベースボールワールドカップで1試合に登板したのみで、甲子園のような大舞台でプレーしていません。開幕一軍入りできるかは未定ですが、プロの応援に慣れるまで時間がかかるはずです。注目される存在なので声援も大きく、かえって集中力を削がれる恐れもある。ヤクルトに入団した奥川恭伸(18)のように、甲子園の決勝戦で投げた経験のある投手は大丈夫かというと、そうでもありません。整然とした高校生のブラスバンドと、痛烈なヤジも飛んでくるプロ野球の応援はまったく違いますから」(同前)

ヤジと言えば、四球死球を連発し虎ファンを失望させている阪神の藤浪晋太郎(25)が思い浮かぶ。無観客試合は、藤浪にとってプラスかもしれない。

「昨年はプロ入り後、初めて未勝利に終わり本人も相当危機感を持っています。投げるたびにマウンド上でヒジの位置を気にするなど、かなりナーバスになっているんです。球場ではカウントが悪くなっただけで、阪神ファンから『キャッチャーのかまえた所にも投げられんのか!』と罵声が飛ぶ。藤浪は、どんどん萎縮して追い込まれていきました。無観客試合では、そうしたヤジを気にせず自分のペースで投げられます。精神的に落ち着き、復活のキッカケを掴めるかもしれません。プロ入り当初の、力強い投球スタイルを取り戻せる可能性があるんです」(球団関係者)

選手は開幕に標準を合わせ調整している。実際に、無観客で支障が出ることはあるのだろうか。広島やソフトバンクで監督、コーチ経験のある野球評論家の達川光男氏が語る。

「無観客だからといって、調整に遅れるようではプロではありません。亡くなった根本陸夫さん(西武、ダイエーなどで監督)が、よくこう言っていましたよ。『プロフェッショナルは窮屈な環境でいかに力を発揮できるかで力量を問われる』と。もちろんファンの声援に後押しされたり、逆にヤジで腹を立てることはありますよ。ただ観客の有無で、プレーに支障が出るようでは困る。どんな状況でも平常心でプレーできるのが、プロですから」

3月20日から始まる予定のプロ野球公式戦。全世界に蔓延するウイルスにより、今季は静かに開幕を迎えようとしている。

  • 写真時事通信社

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