天才柔道少女・阿部詩 オール一本勝ち優勝した「強さの秘密」

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グランドスラム準決勝でイスラエルの選手を豪快に投げる阿部詩。この対戦でも一本を取り、決勝へと進んだ

2月21日、柔道グランドスラム・デュッセルドルフ大会。天才少女・阿部詩(19)は大歓声に応えて右腕を上げた――。

目鼻立ちのくっきりとした顔立ちとキュートな笑顔で、「日本一かわいい柔道家」とも呼ばれる阿部。しかし、試合になるとその表情は豹変する。いついかなるときも一本を取りにいく好戦的なスタイルなのだ。

柔道の取材を長年続けているノンフィクションライターの柳川悠二氏が言う。

「詩選手の強みは、その身体能力にあります。高い瞬発力で相手の道着をつかみ、強い体幹で体勢を維持したまま、強引に背負い投げや袖釣り込み腰といった大技に持っていく。高い身体能力があってこそ、『一本を狙い続ける』姿勢を維持できるのです」

彼女の「強さの秘密」は他にもある。

阿部が6年間師事していた夙川中学校・高等学校の松本純一郎監督が明かす。

「相手を勢いよく投げるダイナミックな柔道が詩の持ち味で、それを可能にしているのはどんな相手にも勝負に出る強い精神力なんです。五輪に出さえすれば、金メダルを獲ると確信しています」

しかし、昨年11月の五輪内定を目前に控えたグランドスラム・大阪大会で、阿部はフランスのアマンディーヌ・ブシャール(24)にまさかの敗北を喫する。悔しさのあまり彼女は人目も憚らず号泣した。

松本監督が続ける。

「五輪出場がかかっているプレッシャーもあったのか、大阪大会では大技をかけようとはせず、反則勝ちを狙う消極的な試合運びでした。詩らしい柔道ではなかった。負けた後、高校の道場に来た詩に、『お前の敵はお前だけや』と伝えました。自分を見つめ直して、あの豪快な柔道を取り戻せば、負けるわけないんです」

平常心を保つメンタルトレーニングを積んだ阿部は、彼女らしい常に大技を狙う柔道に回帰した。デュッセルドルフ大会の全試合で一本勝ちし、決勝では宿敵ブシャールを下して優勝。五輪内定を決定的にした。

「ブシャールに負けたことが詩を精神的により強くしたと思います」(松本監督)

東京五輪では、金メダルを胸に満面の笑みを見せてくれるはずだ。

アベック優勝を飾った阿部兄妹は、東京五輪でも二人で金メダルを目指す

『FRIDAY』2020年3月13日号より

  • 写真アフロ

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