GDP3兆円減?コロナで「日本企業連鎖倒産」という悪夢の現実味
株価急落 五輪もピンチ 事態が長期化すれば世界恐慌につながる可能性も
東京・銀座「歩行者天国」
平日早朝かと見間違う光景だった。
晴れ渡った2月23日日曜日の午後。東京・銀座の歩行者天国(中央通り)に着くと、あまりの人の少なさに驚いた(上写真)。しかも、これは東京だけではない。下の写真でわかるように、横浜や大阪の繁華街も同じような状況なのだ。
新型コロナウイルスが日本経済に大打撃を与えている。第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏が言う。
「東日本大震災の後と似ています。もちろん状況は違いますが、日本中で『自粛』が広がり、外国人観光客も減り、日本人も外出を控えました。あのとき、中小企業を中心に倒産が相次ぎましたが、このままでは今回も同じことが起こりかねません」
東京商工リサーチが2月7日~16日に国内企業1万2348社に新型コロナウイルスの影響を調査したところ、66.4%が「すでに影響が出ている」「今後影響が出る可能性がある」と回答している。大阪府のバス・タクシー会社『日本城タクシー』の坂本篤紀社長が嘆く。
「弊社には10台の観光バスがありますが、日本人ツアーも大半がキャンセル。一週間に1台動くかどうかの状況です」
悪影響を受ける分野は、中国関連企業をはじめ、宿泊や運輸、小売り、レジャー、外食、旅行、イベント関連など多岐にわたる。前出の永濱氏が指摘する。
「日本経済へのダメージを試算すると、今年の前半で収束したとしても、GDP換算で2.9兆円減になります。もし東京五輪が開催されなければ、GDPの減少はさらに大きくなるでしょう」
経済ジャーナリストの松崎隆司氏も、こう危惧する。
「国内にウイルスが蔓延する状況が1年も続けば、出勤停止や工場閉鎖など経済活動全体に影響し、全産業レベルでシワ寄せがくる。2月26日の日経平均株価は、終値で前週末比960円安の2万2426円と下落しました。事態の長期化を懸念した結果だと思われます。このままだと大量倒産が起こる可能性は十分にあります。しかも、今回は発生源が経済大国の中国なので、世界的な大恐慌につながることも考えられます」
ウイルスからはもちろん、経済不況からも身を守る準備が必要になってきた。
神奈川・「横浜中華街」
大阪・日本橋「黒門市場」
東京・銀座「GINZA SIX」
『FRIDAY』2020年3月13日号より
撮影:蓮尾真司(1枚目):濱﨑慎治(神奈川):加藤 慶(大阪)