有働由美子の被災地取材旅 初めて語った「NHK、仕事、結婚」 | FRIDAYデジタル

有働由美子の被災地取材旅 初めて語った「NHK、仕事、結婚」

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10月に『NEWS ZERO』のキャスターに就任

「東北一人旅」に独占密着

岩手・宮古に住む男性に、震災当時の状況を取材。有働氏の率直な人柄に触れ、男性も自然に笑顔を見せた

「『あさイチ』でも被災地には行っていましたが、スケジュールが決まっていて、自由に取材することはできなかった。だから、前からトータルで被災地を見てみたいと思っていたんです。テレビだとどうしても、事前にスタッフが現場を回ってお膳立てをしてくれて、私が行くときには取材前から答えが決まっているケースが多かった。でも今回は本当に完全プライベートで、事前に何も決まっていません。NHKという組織を離れ、一個人となった自分に何ができるのかを考えたいと思い、今回の旅を計画しました。行き当たりばったりで取材しながら、被災地1000㎞を巡るつもりです」(有働氏。以下、カッコ内は同)

6月10日、取材のため訪れていた岩手・宮古の路上に、地元住民から記念撮影を頼まれている女性の姿があった。よく見れば、今年3月31日にNHKを退社したばかりの有働由美子さん(49)である。有働さんと筆者は、同じ大阪・北野高校出身という縁があり、以前から親交があった。

声をかけた私に驚いた彼女は、「プライベートで取材旅行中なんです。12日間、被災地を回るつもりです」という。「せっかくなので今日だけ同行させて欲しい」と申し出ると、「先輩である大野さんの頼みなら」と、快く応じてくれた。

旅をスタートさせた6月9日は、青森・八戸で、防波堤建設の作業員や津波で流された店を再開した夫婦、家族4人を亡くしたが地元のために働いている男性など、様々な人の話を聞いたという。

6月10日も、彼女は精力的に取材をしていた。宮古市内の商店主に声をかけ、当時の状況を聞く。彼は3階建ての自宅の2階まで津波が押し寄せたのだという。いわゆる”有名人らしさ”を一切見せない彼女に商店主も心を開き、被災した店内だけでなく、建設中の防波堤まで歩いて道案内していた。

「人を見つけては、恥も外聞もなく声をかけています。いきなり『こんにちは』では失礼かと思い、『はじめまして。元NHKの有働と申します』と言っています。皆さん『あさイチ見てました!』と心を開いてくれる。NHKのおかげですね」

宮古での取材を終えた後も、有働さんは釜石など岩手県内の各地を訪ね、現地の人々を取材して回った。夜、宿に戻った彼女に、NHKを辞めたワケや今後の展望について聞いた。

――今回の旅で得たものは?

「まだ続きがあるので断言はできませんが……。これだけ情報が氾濫している世の中でも、一人ひとり違う生活を送っている方々と面と向かって会い、話を聞いて得た情報ほど、確かなものはないと感じています。それが私なりのジャーナリズムだな、と」

――今後はアナウンサーというより、ジャーナリストとして活動していくのか。

「NHKに入社したときから、『アナウンサーもジャーナリストたれ』という教育を受けてきました。今後の仕事がどうであれ、『取材をしたい』という気持ちはなくしたくないと思っています」

――27年間勤めたNHKには、どんな思いを持っているのか。

「感謝しかないですね。定年まで勤めようとずっと思っていました。会社という組織ですので、どこかで後輩に現場の仕事を譲らないといけない。でも、昨年の暮れに『もう少し全速力で走りたい』という気持ちが強くなった。辞表を提出したのは今年の1月だったんですが、上司に『もう少し考えたら』と言われて(笑)。

 そんななか、今年2月に松井秀喜さんにインタビューをする機会があったんです。ヤンキースから移籍し、最終的に3Aにも落ちた。『3Aに落ちたときにプライドは傷つかなかったのか』と尋ねたら、『野球をしたかったからそれはなかった』と言っていました。松井さんのその話を聞いて、私もやりたいことをやろうと、自分一人で決断しました。いまはまだ、正直、『元NHK』という肩書を使わないと不安で仕方ありません。でも今後は、『有働由美子』という名前だけで勝負しようと思っています」

――10月から『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のキャスターに就任する。自由な取材活動は難しくなるのでは。

「いまの事務所を選んだのは、『拒否権』があるからです。友人であるマツコ・デラックスに紹介してもらって入ったんですが、やりたくない仕事は拒否できる。『ZERO』のキャスターも、取材に行きたい案件があればスタジオにいなくてもいいという条件で受けました」

――10月までにやりたいことは?

「南スーダンに行って、難民キャンプの様子を自分の目で見たいと思っています」

――相変わらずお酒が唯一の趣味?

「ですね(笑)。でもお酒は辛いことから逃げるためなんですよ。いまでも一人でよく飲んでます」

――結婚の予定は。

「この年になって結婚はないですね。人生何が起きるかわかりませんが、自由に生きたいので抱えるものはできるだけ減らしておきたい。いまは次の仕事が決まったので、それに向かって行きたいと思っています」

ジャーナリストとしてキャスターとして、有働さんの「オンナの一人旅」は続いていく。

「8年目の被災地を見て何を感じ取れるか」と語る有働氏。地図を見ながら、行き先はすべて自分で決める

地元の住民と記念撮影。「皆さんから話を聞けるのは、有名にしてくれたNHKのおかげです」と笑った

特に被害が甚大だった岩手・重茂(おもえ)の沿岸。取材旅行の間に「可能なら現地の方の家にも泊まりたい」と語った

本誌未掲載カット

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取材・撮影:大野和基(国際ジャーナリスト)

 

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