最終結論!油VS砂糖、太るのはこっちだった

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カロリー値の足し算だけでは解決しない、現場の医師も悩む難問だった! 

ダイエットや健康の敵といわれる“脂質”と“糖分”。「糖質制限ダイエット」は今や定着しつつあるし、糖分はできるだけ控えたほうがいいという風潮もある。その一方で、「和菓子は脂分がないから太らない」などという話も聞く。

カロリー量で見てみると、砂糖は上白糖で大さじ1杯(9g)が35kcal。一方、油はサラダ油で大さじ1杯(15 ml・12g)が約 110kcal。同じ量で比べてみると、圧倒的に油のほうがカロリーが高い。いったいどちらが太るのだろうか。

一見、単純に解決できそうな話だが、専門家が集まる学会でも現場の医師から質問を受けることも多いテーマなのだとか。慶應義塾大学医学部の井上浩義氏に話を聞いた。

ファストフードのコーラ・Mサイズ(325ml)は、140kcal(角砂糖約7個分)。ちなみに、アメリカのLサイズ(1300ml)は驚愕の585kcal(角砂糖約30個分)! しかも、飲み放題らしい…。アメリカの肥満率が30%超えなのも納得だ

重要なのは「総カロリー量」ではなく、「それぞれの“必要”カロリー量」

「“必要なエネルギー”以上摂れば、どちらも太ります」(井上浩義氏 以下同)

ここでいう“必要なエネルギー”とは、「成人男性が必要な1日のカロリー」などと一般的に言われている総カロリー量ではない。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、30~49歳の「中程度の活動レベル(下記表:Ⅱ)」の人が“1日に必要なエネルギー量”は推定で2700kcal。そのうち、男女ともに20~30%(男性Ⅱグループ:540~810kcal)を“脂質”で、50~65%(男性Ⅱグループ:1350~1755 kcal)を“炭水化物(糖質+植物繊維)”で摂るのがよいとされている。

井上先生が言う“必要なエネルギー”とは、“脂質”“炭水化物”、それぞれの「目標値」だ。

この『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で示されている“脂質”“炭水化物”の目標カロリー量は、それぞれの活動レベルの人が、生きていくうえで、1日に消費される各カロリー量。このカロリー量以下の“脂質”“炭水化物”を摂取していれば、太らないという目安にもなる。

糖は摂らなくていいのか?  

糖質と油脂は、体内では双方がエネルギーとして使われるが、比較した場合、糖質の方が利用されやすい。食品で摂取した炭水化物は腸管でブドウ糖に分解され吸収され、体中でエネルギーとして利用される。

この“糖質の方が利用されやすい”という理論に基づいて考えられたのが、「糖質制限ダイエット」や「ケトジェニックダイエット」などのダイエット法だ。これは、エネルギー源として先に使われる糖質を制限し、糖質の代替エネルギー源として脂質を摂取したり、糖質の代替エネルギー源として体内に蓄積された脂肪を燃焼させようという食事法だが、

理論的には正しいように見えますが、これは、安定的に食物を摂取できなかった古代の人や、飢餓状態にある人、糖尿病の人など『特定の条件』の時です。脂肪を炭水化物に変える強力な代謝経路を人間は持っていません 

体内で使うエネルギーの約20%消費すると言われている脳。このエネルギー源になっているのもブドウ糖だ。「ケトジェニックダイエット」では、このブドウ糖も体内の脂肪から作られたケトン体で代用できるとしている。 

「ブドウ糖がなくなったから、肝臓でケトン体をすぐ作れるかというと、そんなに簡単なことではありません。つねに“ケトン体回路”が働くのなら、糖分が不足したとき、頭がボーッとすることはないはず。だが、実際は低血糖の状態では脳の働きが低下しボーっとして、糖分を補給するとシャキッとしますよね。ある程度、糖質を直接摂ることは必要なんです」 

糖質を極端に制限すると、確かに最終的にはやせるかもしれないが、同時に臓器を傷めていることを理解しなければいけないと、井上氏は言う。

では、砂糖にはいろいろ種類があるが、“太る”という意味で差はあるのだろか?

「種類にかかわらず、砂糖類は体内でブドウ糖やショ糖に変換されます。黒糖も、てんさい糖も、白砂糖も、カロリー量はほとんど差がありません」 

オメガ3系やオメガ6系…。「身体にいい油=太らない油」は間違い

次に脂質についても考えてみよう。最近、“ダイエットには、このオイル”という表現を見かけることがあるが、これはどういうことなのだろう。 

「体にいいといわれているオイルには、オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸、オメガ9系脂肪酸などがありますが、油類のカロリー量はすべて同じです。どんなオイルでも必要以上に摂れば太ります」 

それぞれ“体にいいオイル”については、先出の『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』でも、その必要性は語られているが、これは生活習慣病防止などの健康保持や促進の観点から。

「オメガ6系脂肪酸は、加工食品に多く含まれていて、現代人はすでに十分摂っています。できればオメガ3系脂肪酸のエゴマ油、アマニ油や、オメガ9系脂肪酸の紅花油やオリーブオイルを積極的に摂るよう心掛けるといいでしょう」

このほかに、トクホ(特定保健用食品)で「脂肪がつきにくい油」というものを目にするが、

「通常の油より早く吸収されると言われるココナッツ油やパーム油などの中鎖脂肪酸をブレンドしたり、小腸で吸収されたのちに油として再合成されにくい分子構造を持つ脂肪酸を主成分にしたものです。それぞれの作用により、脂肪が身体に“つきにくい”と言われています」 

この「特定保健用食品(トクホ)」は、科学的な根拠を示して国の認可を受けているものだが、同じく「脂肪がつきにくい」と謳っているドリンク類でダイエットに成功した人の話を聞かないように、過信は禁物だ。

オイル類はすべてカロリーが同じ。“量”とともに“質”を考えることも大切だ。特に、酸化したものは、変質した成分が、そのまま体に取り込まれるので要注意!

「糖と脂肪はそれぞれ別の働きがあります。太るか太らないかを考える前に、どのような働きをしているかも考えたほうがいいと思います。そして、厚生労働省が示したエネルギー目標量を目安に、自分に合ったバランスで、糖や脂肪を摂取する。あとは、“質”をできるだけよくすることです」 

ランニングマシン1時間で消費されるカロリーは、ジョギングくらいの速さで、200~400kcalくらい。ご飯一膳(160g)が、269kcalなのを考えると、食事でのカロリー管理がいかに需要なのがわかるはず

井上浩義 慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『食べてもやせるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書)、「ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き」(文藝春秋)など多数。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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