コロナ流行を「10年前から予言」と噂される小説の中身
中国発、新型ウイルス、都心封鎖……。著者・高嶋哲夫氏に直撃
未知のウイルス発生を中国当局が隠蔽。増え続ける日本人感染者。無能な閣僚と奮闘する医療従事者。そして、ウイルスの脅威は全世界へ拡がっていく……。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、一冊の小説が「まるで予言の書だ」と大きな話題を呼んでいる。
タイトルは『首都感染』。’10年に刊行された小説(文庫版は’13年)だが、新型コロナ発生から1万4000部の緊急重版、書店にも問い合わせが殺到している。著者の高嶋哲夫氏(70)が語る。
「SARSが世界的に流行していた頃から、『パンデミック本』を書いてみたいと思っていたんです。グローバル化が進み、人々の移動が容易になった時代に、いかにウイルスは拡がるのか。予言というより、科学的に『いつか起きうること』を分析して書いた小説です」
元日本原子力研究所研究員の高嶋氏は、理系分野はもちろん、政府対応の描写も実に生々しい。’11年の東日本大震災の5年前には、巨大津波と原発危機を描いた『TSUNAMI』も発表している。後手に回る政府のコロナ対応を、どう見ているのか。
「場当たり的に入国規制をするなら、もっと早くすべきだった。ただ、『首都感染』の新型ウイルスは致死率60%の強毒性ですが、コロナは約3%(WHO)と言われています。いまからでも正確な情報を伝え、国民をむやみに怖がらせないことを政府が徹底すべきです」
小説のなかで総理は、感染拡大阻止のために「東京封鎖」という英断を下す。政府関係者もこれを読んで、参考にしてみてはいかがか。


『FRIDAY』2020年3月27日・4月3日号より
撮影:加藤慶