香港市民が大反発 中国が「国家安全法」強行採決の意外な思惑

女性民主活動家が語る「一国二制度」の危機。デモを招いてまで中国が動く理由とは

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「民主の女神」こと活動家の周庭氏。香港の政治団体「香港衆志(デモシスト)」の常務委員を務めている

「『一国二制度』と呼ばれる高度な自治が認められてきた香港ですが、それもついに崩壊します。国家安全法が施行されれば、香港は中国に飲み込まれてしまうでしょう。これからの活動は、命がけになっていくはずです。今後、わたしもどうなるかわからない」(民主活動家の周庭(しゅうてい)氏)

5月28日に閉幕した中国の「全人代(全国人民代表大会)」で、香港に「国家安全法」を導入する方針が採択された。施行されると、香港はどう変わるのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。

「国家安全法は、反逆行為や分離独立活動、扇動、政権転覆活動、テロ行為、外国からの干渉などを禁じる法律です。反政府デモは同法で取り締まりができるようになり、すべてが統制される。市民の思想表現にも中国政府が口出しし、個人の自由が奪われます。中国版スパイ警察であるMSS(中国国家安全部)が、香港の域内で活動できるようにもなるので、共産党に都合が悪い人はすぐ逮捕。トランプ大統領が言うように『一国二制度を一国一制度に置き換えた』というのが適切でしょう」

昨年、「逃亡犯条例」を巡るデモ活動が長期間続いたことにより、中国共産党は香港政府が自力で国家安全に関する立法措置を進めるのは難しいと判断。自ら制定に乗り出した。

「周庭さんを始めとした民主派は、政権転覆の危険分子だとみなされて、真っ先に拘束される可能性があります。正当な裁判もなく収監されるなど、本土と同じ対応がとられることになるでしょう」(『香港デモ戦記』著者の小川善照氏)

国家安全法導入により、香港内で大規模デモが再燃するのは目に見えている。治安部隊が催涙ガスや放水でデモ隊を鎮静化すれば国際的なニュースになり、香港情勢が不安定であることを世界中に知らしめてしまう。そうまでして導入を急いだ意味はどこにあったのか。

「中国の国際金融都市を香港から深圳に移したいからだとの見方もあります。深圳市はアジアのシリコンバレーといわれ、世界的にみても巨大な金融都市。中国共産党の支配下にある同市を国際金融都市として前面に押し出し、香港は治安が不安定で危ないというイメージを植え付けたいのでしょう」(前出・山田氏)

これまで、香港は米中貿易の中継地として重要な拠点だった。中国共産党にとって、自分たちのコントロールが利かない香港はもういらないということか――。

今年5月、民主化を求めるデモ活動中の参加者たちを警察が拘束。200名を超える人々が逮捕されたという

『FRIDAY』2020年6月19日号より

  • 写真AFP=時事(2枚目)

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