「ネズミも食べた」美人脱北女優が語る『愛の不時着』と北朝鮮の今 | FRIDAYデジタル

「ネズミも食べた」美人脱北女優が語る『愛の不時着』と北朝鮮の今

話題ドラマの美人女優が明かした驚きの真実!「韓国ドラマを見ると死刑」「ネズミや昆虫も食べる」

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キム・アラ ’91年生まれの女優。北朝鮮の北方、中国との国境付近にある咸鏡北道・会寧で生まれる。12歳のとき、中国にいる母を追って脱北した。妹は北朝鮮に残留している。『愛の不時着』では主人公の将校と同じ農村に暮らす住民を演じている。 撮影:チェ・ジョンジン
キム・アラ ’91年生まれの女優。北朝鮮の北方、中国との国境付近にある咸鏡北道・会寧で生まれる。12歳のとき、中国にいる母を追って脱北した。妹は北朝鮮に残留している。『愛の不時着』では主人公の将校と同じ農村に暮らす住民を演じている。 撮影:チェ・ジョンジン

「12歳で脱北しました。理由はあまりにも食べ物が無かったから。時にはネズミや昆虫を食べなければいけないくらい貧しかったんです。母はすでに中国へ逃げていて、父は行方不明。私は妹と二人きりでした。こんな状況が続くなら死ぬリスクを冒(おか)してでも逃げるほうがマシだと思い、一人で母のいる中国へ渡りました」

そう語るのは、韓国で活動する北朝鮮出身の女優、キム・アラ氏(28)だ。彼女は中国の高校を卒業後、韓国に移住した。韓国ドラマ『愛の不時着』に出演しているほか、主演のヒョンビン(37)らに北朝鮮方言の指導も行っている。

『愛の不時着』は、北朝鮮のエリート将校と、パラグライダー中に誤って北朝鮮に不時着した韓国の女性経営者との恋愛を描いたドラマだ。2月にネットフリックスで配信されると日本でも人気が沸騰。約4ヵ月間、ネットフリックスの人気ランキング10位以内に君臨し続けている。

『愛の不時着』で視聴者の心をつかんでいるのは、「リアルすぎる」と言われる北朝鮮の描写だ。キム氏が続ける。

「まず衣装に驚きました。『愛の不時着』で村人が被(かぶ)っていた帽子は私の父が昔被っていた物とまったく同じでした。北では、一般の人々は工場で作られた画一的な服を着ているのです。逆に裕福な人々の服装は韓国人と変わりません。ドラマの登場人物で言うと、主人公の婚約者ソ・ダンの母です。彼女は韓国から密輸したブランド品を持っていましたね」

北朝鮮の市場には海外からの密輸品が溢(あふ)れている。ドラマ内でも、韓国人経営者であるヒロインが北朝鮮の市場で自社製品を発見している。

「ドラマと同じで、密輸してきた商品は普段は見えないところに隠し、客が来たときにだけ見せるんです。警備兵に見つかると捕まりますからね。他の商品も、前面に出して陳列していると乞食に盗まれるので、売る側は必ず二人体制で商品を売る人と守る人に分かれています。乞食が物を盗んでは追いかけられて殴られる……というのは日常の光景です」

一番モテる職業は国境守備隊

ドラマでは、主人公の将校が村の女性たちから熱い眼差しを向けられるシーンが多い。キム氏は、「単に主演のヒョンビンさんがイケメンだからモテているというわけではないんですよ」と笑う。

「北朝鮮ではヒョンビンさんが演じているような、国境地帯で服務する軍人(国境守備隊)が一番モテます。なぜなら、国境地帯は国外から物を密輸することができるから。ただ、いくら国境守備隊がモテるといっても北朝鮮に自由恋愛はほとんどありません。私の両親も家族の命令で結婚しています。

最近の若者は自由恋愛を強く望むようになりましたが、それは韓国ドラマの影響です。『愛の不時着』にも、チェ・ジウに憧れている北朝鮮軍人が出てきますよね。彼は『天国の階段』の大ファンでしたが、彼のように韓ドラを観るとどうしても自由恋愛がしたくなるんです。でも、観ていることが警備兵にバレた場合、監獄に連行され、拷問を受けます。これまでに韓ドラの影響で韓国に憧れ、脱北した人がとても多かったからです。つい最近も、韓ドラを観ていることが盗聴でバレて、1年で14人が死刑になったと聞きました。それでも人々は観るのをやめません。物語の中で描かれている理想の生活や恋愛に憧れ、夢中になり、とにかく命懸けで観るのです」

盗聴や夜中に抜き打ちで行われる民家の立ち入り検査もドラマの通りだという。

「予告もなく警備兵が訪ねてきます。明け方に突然ドアを叩き、土足で入ってくるんですよ。警備兵たちは、『退屈だから』とか『腹が減ったから』という理由で民家に押し入ってくるのです。

北朝鮮での生活は過酷でしたが、それでも演技中は懐かしさを覚えました。食事シーンでは、豆腐ご飯、大豆油の搾(しぼ)りかすで作った人造肉など、実際に食べていた料理が出てきて胸が熱くなりました」

北朝鮮で暮らしたキム氏の経験が反映されていることも、このドラマが「リアル」である理由の一つなのだろう。

共演者たちと撮影した一枚。彼女たちが演じる農村の女性たちの絆もこのドラマの見どころだ。左端がキム氏
共演者たちと撮影した一枚。彼女たちが演じる農村の女性たちの絆もこのドラマの見どころだ。左端がキム氏

『FRIDAY』2020年7月10日号より

  • 取材・撮影チェ・ジョンジン

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