温暖化で急増中…!殺人「集中豪雨」発生危険マップ

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関東・中部地区で線状降水帯の発生可能性が高い地域(赤い丸で囲んだ部分)。山地の斜面が多い。立命館大学・高橋教授提供

ゲリラ豪雨や台風の脅威が、近年多発する異常現象でさらに高まっている。線状降水帯だーー。

全国各地で80人以上の死者を出した「令和2年7月豪雨」では、九州で9つもの線状降水帯が発生した。積乱雲が次々に生まれて大雨を降らす線状降水帯は、集中豪雨の6割を占めるとされるが、国によると予報技術はいまだ確立されていなという。だが、災害の専門家は発生しやすい場所は決まっていると指摘する(具体的な全国地域は関連画像参照)。

「気象庁が線状降水帯の予測を難しいとする理由は、流れ込む水蒸気の量を正確に捉えきれないというもの。確かに気象学で捉えるとその通りです。しかし、過去のデータなどを分析すれば、どこで線状降水帯が発生するのかある程度の予想がつきます」

こう話すのは、立命館大学・環太平洋文明研究センターで災害リスクマネジメントを研究する高橋学教授だ(以下、発言は高橋教授)。

「暖かく湿った空気が山にぶつかって上昇すると、積乱雲が出来る。同じ場所でそれが連続して起きるのが線状降水帯です。となると発生しやすい条件は決まってくる。温かい海域があり、そこからの湿った風が当たるおおよそ標高500m以上の山地の周辺です」

東日本は山の東西、西日本は南側が危険

九州の危険地域。山の南側が危険だ。立命館大学・高橋教授提供

山地周辺といっても、東日本と西日本では発生しやすい場所が微妙に違うという。

「東日本の山地は南北に細長いため、山の東西方向で発生しやすい。例えば、東北地方の日本海には対馬暖流が流れていて、ここからの風が奥羽山脈にぶつかればその西側に発生して大雨を降らせる。一方、西日本の山地は東西方向に延びているため、暖かい瀬戸内海からの風が吹きつければ山の南側に線状降水帯ができます」

今年の7月豪雨で、過去最大級となる全長270kmの線状降水帯が発生したのは九州山地付近だった。死者行方不明者200人以上を出した2018年7月の西日本豪雨では、瀬戸内海からの湿った空気が広島や岡山に線状降水帯を作り出した。

「関東なら、太平洋からの湿った空気が流れ込む群馬、栃木、神奈川の山沿いのすぐ東側が危険な場所です。逆に東京都心部は山から離れているので、線状降水帯はまず発生しません。東北地方の太平洋側も冷たい海流が流れているので、出来にくい場所です」

ただし、線状降水帯ができない場所でも油断は禁物。山間部で大量に降った雨は川を伝って下流へ流れ、都市部に洪水を引き起こすからだ。その際、堤防がリスクを増やすこともあると高橋氏は言う。

「一級河川の堤防が高さ6mほどあるのに対して支流の堤防は低い。本流の水かさが増せば、それより低い支流から合流できず決壊する危険性が高まります。もし本流の堤防が決壊しようものなら、あっという間に住宅の2階部分まで水が達してしまう。

昔は上中流域の水田やため池があふれ出た水の受け皿となり都市部の洪水を防いでいましたが、宅地化で次々に潰された。洪水被害が大きくなっているのは人災と言えます」

温暖化の影響で、年々降雨量が増加する水害大国・日本。被害を大きくする線状降水帯の性質を理解すれば、対策もたてやすくなる。

中国・四国・近畿の危険地域。瀬戸内海の暖かい空気が影響している。立命館大学・高橋教授提供
東北地方の危険地域。青で囲んだ地域は寒流地帯のため秋以降の危険度は下がる。立命館大学・高橋教授提供
  • 取材・文桐島 瞬

    ジャーナリスト。’65年、栃木県生まれ。原発問題からプロ野球まで幅広く取材。『FRIDAY』や『週刊プレイボーイ』、『週刊朝日』など雑誌を中心に活躍している。

  • 写真立命館大学・高橋教授提供

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