中古の「ホンダシビック限定車」が香港で大ウケの裏事情
12年落ちでも新車価格の2.5倍、1200万円で取り引きされることも
この春以降、ホンダの「シビック」の中古価格が暴騰し、中古車業界では大きな話題になっているという。
都内近郊の中古車業者はこう明かす。
「7月に業者向けの中古車オークションで、12年落ちのシビックの限定車がなんと1200万円(税抜き)で落札されたんです。これは新車価格の約2.5倍。ほかにも20年落ちのシビックタイプRが760万円で取り引きされました。わずか半年で相場価格は2倍以上になりましたね」
確かに国産の名車として、カーマニアからの支持は絶大だが、いくらなんでも高すぎるだろう……。
自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏は、その理由をこう明かす。
「落札されたシビックの多くは、香港の富裕層向けに輸出されているんですよ。香港人の間で日本製スポーツカー、特にホンダは『神レベル』の人気があります。しかも彼らは限定車に目がないんです」
香港の街中ではシビックタイプRはもちろん、インプレッサやスカイラインなど、日本のスポーツカーを至るところで見かけるという。とはいえ、価格が急上昇したのはなぜなのか?
それは6月30日に施行された香港国家安全維持法をはじめとする『香港の中国化』と関係がある。
「中国では自国の産業保護のため、中古車の輸入が禁止されています。香港は現在のところ、中古車の輸入に対しては何の支障もありませんが、『この先はどうなるかわからない』と富裕層は考えているわけです。そのため、今のうちにと希少な日本の中古車を買い急いでいるのでしょう。’07年に限定300台で発売されて10分で完売した『シビックMUGEN RR』は、いま100台が香港にあると言われています」(加藤氏)
日本車のバブルはいつまで続くか――。
『FRIDAY』2020年9月11日号より
- 撮影:yfchang2010