『フェアウェル』水原碧衣が「米国一有名な日本女優」になるまで

わずか4館の上映から全米891館まで急拡大 映画『フェアウェル』(10月2日公開予定)に唯一出演する謎の日本人美女にインタビュー

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日本語・中国語の吹き替えでも活躍。女優業のほか、北京首都国際空港の日本語アナウンスも担当している

「いま、アメリカで一番有名な日本人女優は誰か」

そう尋ねられた彼の国の人々は、こう口を揃えるという。

「間違いなく、アオイミズハラだよ!」

漢字で書くと、水原碧衣(年齢非公表)。彼女の名が全米に知れ渡ったきっかけは、話題作『フェアウェル』への出演だ。

同作は末期がんに侵された中国の祖母に病状を悟られないように、アメリカと日本に住む家族が「ウソ」の結婚式を口実に帰郷するというヒューマンドラマ。昨年7月の公開当初はわずか4館での上映だったが、瞬(またた)く間に人気を集め、全米891館まで急拡大。興行収入20億円を突破する爆発的ヒットを記録した。ゴールデングローブ賞主演女優賞を始め、数々の賞を受賞した今作で、水原は物語の軸となる結婚式の「言葉がまったく通じない日本人花嫁」という難しい役どころをリアルに演じ切り、一躍時の人となったのだ。

日本の無名女優がいかにしてハリウッドスターになったのか。地元・三重の公園でインタビューに応じた水原が、その異色すぎる経歴を語った。

「幼い頃からずっと女優になりたいと思っていました。ジャッキー・チェンが大好きで、映画ばかり観てる子供だったんです。でも、親が厳格で許してくれなくて……。仕方なく、受験勉強をして京都大学の法学部に進学しました」

京大卒業後は、早稲田大学法科大学院に進学。だが、どうしても女優の夢が諦めきれなかった。

「東京で事務所を探しました。『高学歴タレント』としてなら、と言ってくださる事務所もあったんですが、なかなか上手くいかず……」

一念発起して早大大学院を休学し、中国の『北京電影学院』への留学を決めた。中国が国家の粋を集めて設立した、映画関係の人材を育成する超名門大学だ。

「幼少期に中国に住んでいた経験があったので、語学がある程度できたのが幸いしました。ここでみっちり演技の勉強をして、夢にけじめをつけるつもりでした」 

世界人口の上位2%のIQを持つ人だけが加入できる国際組織『メンサ』の会員でもある水原。何と、この大学の演技科を首席で卒業し、中国でドラマや映画に出演するようになった。中国と日本を往復する生活のなかで、『フェアウェル』への出演は突然決まったという。

「’18年の春頃、北京の宿にいた時に突然、携帯に知らない男性から連絡があったんです。『26歳・日本人女性』という役のオーディションがあるから来てくれ、と。詳細を聞いてもわからないの一点張り。怪しすぎるので何度も断ったんですが、『もう最寄り駅まで来ているから』と、押し切られてしまって。後で聞いたら、外国人役者専門のエージェントを始めたばかりの人だったようです。

何が何だかわからないまま、オーディション会場に連れていかれて、日本語で結婚式のスピーチをさせられました。そしたら、そこにいたキャスティングディレクターが『これこそが演技だ!』と大喜びしたんです」

だが結局、何の作品かもわからないまま、日本へ帰国。すると後日、新宿で友人と食事をしているときに再びエージェントから連絡が入った。

「監督が今から直接リモートオーディションをしたいと言っている、と。今は無理と伝えたら、『じゃあ無理な理由を説明した動画を送れ』と言われ、仕方ないのでお手洗いに隠れて『こういう事情でオーディションできなくてすみません』という自撮り映像を撮って送ったんです。そしたら、合格だと(笑)。どんな映画なのかを知ったのはずっと後でした」

『フェアウェル』は日本でも10月2日から公開される。京大卒のメンサ会員にして、ハリウッドでも認められる実力の持ち主。水原碧衣の名が、日本でも知れ渡る日は近そうだ。

今年1月の放送映画批評家協会賞の授賞式。『パラサイト』のポン・ジュノ監督と
『パラサイト』主演のソン・ガンホ。「前日から記念撮影すると決めていた」(水原)
ハリウッドを代表する名監督クエンティン・タランティーノとも同会場でパシャリ
本誌未掲載カット 水原碧衣インタビュー「無名女優がハリウッドスターになるまで」
本誌未掲載カット 水原碧衣インタビュー「無名女優がハリウッドスターになるまで」

『FRIDAY』2020年9月18日号より

  • 撮影加藤慶

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