調布に深さ5mの大穴が…街に突然「陥没」ができる恐ろしい理由

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東京・調布の住宅街に出現した大穴。住民も困惑気味だ(画像:共同通信社)

陥没危険地帯は身近な場所にあるーー。

10月18日、東京都調布市の住宅街の道路に、突如として深さ5mに及ぶ穴が開いた。幸いにもけが人などの被害はなかったが、突然の陥没に住民は不安を隠せないでいる。真下で行われていたトンネル工事との因果関係も疑われているが、専門家は「原因はもともとの地盤と土地造成にある」と指摘する。

「陥没した一帯は、幅約100m、深さ15mほどの谷地になっています。2万年ほど前に高台が切り崩されて形成されたもので、谷の中は上から流れてきた火山灰で覆われた非常に柔らかい地層でできている。土地の硬さを現すN値は10以下と低く、いわばプリンのようなやわい地盤です」

こう話すのは立命館大学・環太平洋文明研究センターで災害リスクマネジメントを研究する高橋学特任教授だ(以下、発言は高橋教授)。

「谷地にはあまり人が住んでいなかったため、昔は田んぼが広がっていました。ところが都市部に人口が増加した70年代に、次々に宅地開発が行われた。その際、軟弱地盤に応じた土地造成をしっかりとやらなかったんです。その影響から、地下水の流れによって地中に空洞ができてしまった。

今回、トンネル工事は地下40mより深いところで行われていたものの、もともとの地盤が弱いためわずかな振動が影響して道路が崩落したと考えられます。18年の北海道胆振東部地震では札幌市の清田区で液状化現象が起きましたが、同地も似たような谷地でした」

70年代の手抜き工事のツケ

高度経済成長期に行われた、突貫工事のツケが回ってきたということだろうか。今回のような陥没のキケンがある宅地造成地は、東京都心にも多くあるという。

「都心部の坂の多い場所には、住宅街を貫く谷が多くあります。神田川沿いは、お茶の水から神田の古本屋街にかけて深い谷が続き、目黒区や新宿区を流れる目黒川沿いも谷地が連なっている。

高級住宅が立ち並ぶ成城にも、谷はあります。谷地には水分を多く含む土質が堆積しがちで、陥没のリスクが増える。しかも、地盤が柔らかいため巨大地震が来れば揺れが一段大きくなり、古い構造物は軒並み倒壊することもあるのです」

首都高速道路の近くも危険性が高い。谷地の中を通るルートが多くあるからだ。

「建設から50年以上が経ち老朽化した道路も少なくないため、早く大規模修繕工事をしないと地震で橋脚ごと崩れ落ちる危険性もあります」

突然の陥没を未然に防ぐのは難しい。だが、長期的な対策はできるという。

「高度経済成長期に谷地に作られた住宅地では高齢化が進み、今後、多くの空家が出ます。軟弱地盤のある場所には新しい家を造らず他の利用法を考えるなど、都市開発の展望が必要です」

原因がわかれば対応は可能だろう。住んでいる街がどんな場所にあるのか、今一度確認が必要かもしれない。

  • 取材・文桐島 瞬

    ジャーナリスト。’65年、栃木県生まれ。原発問題からプロ野球まで幅広く取材。『FRIDAY』や『週刊プレイボーイ』、『週刊朝日』など雑誌を中心に活躍している。

  • 写真共同通信社

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