謙虚すぎる令和の王道『恋あた』一ノ瀬颯はココがスゴい | FRIDAYデジタル

謙虚すぎる令和の王道『恋あた』一ノ瀬颯はココがスゴい

一ノ瀬颯さんロングインタビュー

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戦隊ヒーロー、大河ドラマ、そして『この恋あたためますか』で初めて演じる等身大

TBS火曜ドラマ『この恋あたためますか』(通称『恋あた』)で、ヒロイン・樹木(森七菜)がバイトするコンビニ・ココエブリィの同僚・碓井陸斗を演じている一ノ瀬颯。

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大学の入学式でスカウトされて芸能界入りし、たった2ヵ月で「スーパー戦隊シリーズ」第43作の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の熱血王道主人公「リュウソウレッド」に抜擢。 

さらに、長谷川博己主演の大河ドラマ『麒麟がくる』では、向井理演じる室町幕府第13代将軍・足利義輝と滝藤賢一演じる第15代将軍・足利義昭のいとこで、京都に入らず、病で命を落としてしまう薄命の第14代将軍・足利義栄を演じた。 

戦隊ヒーローから、大河ドラマ、民放連ドラ注目枠出演と、トントン拍子の王道路線。にもかかわらず、これまで雑誌等で何度かインタビューさせていただいたときの印象は「謙虚すぎ……」「控え目すぎ」「極度の気遣い屋」というもの。

『恋あた』で演じている陸人は、実は初めて演じる“等身大”の大学生役

この日も登場して開口一番、彼は言う。

「お久しぶりです! 〇〇のときはお世話になりました」

撮影や取材で会う人間は非常に多いはずで、まして無個性のモブ記者を覚えているとは到底思えないが、おそらく取材を受けるにあたって「予習・復習」してくれているのだろう。ちょっと珍しいほどの“優等生”である。

そんな彼が『恋あた』で担っているのは、森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河が繰り広げる切ない「四角関係」とは一線を画した、作品における完全なる “癒し”“平和”パートだ。

「みんながみんな『この現場に携われて良かった』と言っている現場なんですよ。森さんや中村倫也さんは冗談を言ってくれたり、周りを引っ張ってくれたりしています。 

森さんは“樹木”そのまんまで、誰とも気さくに話す方で。中村さんとは、本社とコンビニとで分かれているので、ご一緒するシーンはわずかなんですが、セッティングで時間がかかっているときなど、現場をピリピリさせないように楽しませてくださる姿に驚きました。 

また、コンビニシーンでは、“上杉店長”を演じる東京03の飯塚(悟志)さんがいつも会話をまわしてくださって。ふとしたときの言動が面白いので、みんながツッコんだりイジッたりもするんですが、絶対にのってくださるんですよ。 

キャストの方もスタッフさんも、中心となる方、上の方が優しい雰囲気だと、全体があたたかい雰囲気になるんだなと、改めて感じています」(一ノ瀬颯さん 以下同) 

『恋あた』で演じている陸人は、実は初めて演じる“等身大”の大学生役。そこまでは「戦隊ヒーロー」「将軍」と、特別な役が続いていた。しかも、第14代将軍・足利義栄は教科書的にも学ぶ機会が少なく、大河ドラマなどでもほぼ描かれていない役である。

「今まで登場しなかった将軍を演じるにあたり、自分なりの色をつけられたのはありがたい経験でした。 

文献類はいろいろ調べたんですが、明らかになっている史実がすごく少ないんですよ。はっきりしているのは『病弱』ということですが、病弱をどうとらえるか。『弱弱しい』『顔色が悪い』『表情も沈んでいる』ようなイメージを持たれがちかと思うんですが、三好三人衆に担がれて、操り人形と言われつつも、自分が将軍になるという強い覚悟・意志を持っていたというのはどうかなと。 

監督に相談したところ、同じく『弱弱しくはしたくないよね』とおっしゃったので、セリフはないものの、強い思いが目などから感じられたらと思って演じました」

写真をタップすると、フォトギャラリーに移行します(全10枚公開中)

ところで、足利義栄は背中に腫れものという病を抱えている将軍だったが、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のリュウソウレッドにも、奇しくも背中を斬られる場面が。なぜか “背中が痛い”役が続く気も……。

「それ、僕も、ファンの方などに言われて気づきました(笑)。確かに背中、痛くなりがちですよね(笑)。 

『麒麟がくる』では、ちょこちょこ睨みをきかせる場面がありましたが、『リュウソウジャー』の夏映画でもCMでも睨みの表情が使われていたためか、ファンの方が大河を観て『コウの目だ!』と言ってくださって。不思議と『リュウソウジャー』と重なる点を楽しんでくださる方が結構いらっしゃいましたね」 

インタビューの最中も、聞き手である記者だけに対してでなく、編集者、カメラマンと、現場にいる一人一人の方に顔を向け、話をする姿が印象的だ。柔らかな雰囲気の中に、おそらく厳格な家庭で育ったと思われる“育ちの良さ”がにじむ。

「僕、緊張しぃなんですよ(笑)。それがどこに起因するかはわからないですけど、小さい頃から人前に立ちたくない、かなりの恥ずかしがり屋だったので。 

そもそも僕の人生、全体的に自信がないんですよ(笑)。 

報われたこともあまりなかったですし。ただ、一緒に仕事させていただく中で、少しでも良いものを作りたいというのは常に思っていることですし、褒めていただくと、なんだか恥ずかしいです(照)。 

でも、それは親が教えてくれた『当たり前』なのかなと」

人に対する接し方などは、幼少時に母親から学ぶことが多かったと語る一ノ瀬。

「母には昔からよく『自分のためじゃなく、人のために行動していったら、いずれ自然と自分自身にかえってくるんだよ』と言われてきました。それが自分の心の中にいつもあって、今もそれをちょくちょく思い出します。たぶん自分の生きる糧になっていると思うんです」  

“厳格な家庭”を感じさせるのは、「テレビを観るのは平日夜8時まで。土日は朝30分だけ」というルールがあったというエピソード。

中高生時代は部活が忙しかったため、平日は朝練があり、夜は部活を終えて帰宅後、夕食・勉強・入浴したら寝るという毎日だった。

ドラマも観られないし、唯一観られるのが戦隊ヒーローだったんです。 

ただ、戦隊ヒーローには小さな頃から憧れがあったし、『戦隊モノに出たい』ということから俳優という仕事にも憧れましたが、両親からは『厳しい世界だよ』と言われてきて。将来的に生計を立てなければいけないわけだから、『難しいよ。そんなにうまくいかないよ』『人生、そんなに簡単にいくもんじゃないよ』とずっと言われていましたね。 

あれ、今、言いながら思いましたけど、もしかしてそのせいですかね?(笑) 僕、『リュソウジャー』の監督にも『石橋を叩いて叩いて、それでも渡らないタイプ』と言われたことがあるんですが、ついものすごく慎重になっちゃうんです(笑)」 

「厳しい世界だよ」と言い続けてきた母親も、テレビを通して仕事を見られることには喜んでくれているそうだ。

「ただ、『あれ、良かったよ』とかは一切言わない、評価はしてこないです(笑)。何も言わずに見守ってくれていて、たまに親戚とかママ友とかに言われたことを間接的に『〇〇って言っていたよ』と伝えてくれます」

「緊張しぃで、人前に立つのが苦手だった」と語る彼が、俳優という仕事を通して変わった点は、どんなところだろうか。

「すごくたくさんありますよ! 社会人としての責任感は身についてきたと自分では思っていますし、何より大きな変化は、人前で喋れるようになったこと(笑)。 

いまだに仲の良い友達は、『リュウソウジャー』の制作発表のときの動画をわざわざ僕自身に見せてきたりするんですよ(笑)。しどろもどろで全然喋れていない動画で、僕自身がいないところでも他の人にそれを見せて『こういうヤツだよ』と。『また、それ、見せるか?』っていう(笑)。 

その当時と比べると、緊張は今もするけど、ある程度は喋れるようになったのが大きな変化だと自分では思っています。 

学生時代には、生徒会で議長とかもやらせてもらったんですが、誰も手を挙げる人がいないから挙げるだけで、全く積極的じゃなかったから(笑)。みんなに『静かにして下さい』って言いながら、その声がめちゃくちゃ緊張でふるえてる、みたいな感じでしたから」

逆に最近では、友人たちから「最近、あのしどろもどろの緊張した感じがなくなって寂しい」とも言われるようになったと笑う。

芸能界に入ってわずか2年半ほどで、次々に様々な役を演じてきた。この仕事をする上で大事にしていることとは?

「一番大事にしているのは、人との関わりですね。 

僕、緊張しぃだけど、人は大好きなんです。だから、現場ではスタッフさんとかにもどんどん自分から話しかけて、仲良くなるというのをひとつの目標にしています。 

ただ、現場のスタッフさんの名前が分からなかったりすることも多いので、台本をすごくチェックして、役職などがわからないときには、知っているスタッフさんにビクビクしながら聞いたりして。そのスタッフさんも『わかんない』っていうときがありますけど(笑)。 

一緒に楽しくお仕事したいので、一期一会を大事にしています。 

それから、演技面ではとにかく『その世界にその人物で存在すること』を心掛けています。これは、一生の課題だと思うんですけど、自分が演じる役がその世界に生きていると、視聴者の方に受け取ってもらえるような演技ができたら良いなと思っています」 

11月24日OA予定の第6話では、「ココエブリィ」のメンバーたちが本編でたっぷり描かれる。『この恋あたためますか』(TBS系 火曜午後10時)

ちなみに、『恋あた』第6話は、これまでで一番、「ココエブリィ」のメンバーたちが本編でたっぷり描かれる回となる。

「樹木が帰ってくる場所としてのあたたかさを持ち続けるのが、僕たちの役割。そこに新しいメンバーが入ってきたとしても、温かく受け入れ、溶け込めるように分け隔てなく愛することを心掛けています。 

僕自身は、個性豊かなメンバーが集うココエブリィのワンノブゼムですが、優しさ溢れるメンバーたちがいつもよりたっぷり描かれるので、楽しみにしていただけたらと。 

僕自身の話ですか?  

それはちょっと恥ずかしいですけど(笑)。Paraviオリジナルストーリーの『その恋もう少しあたためますか』を観てもらうと、陸斗の気持ちの変化や優しさがさらにわかると思いますので、あわせてご覧ください」

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

  • 撮影岡田こずえ

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