M-1決勝へ!ウエストランドが「コロナ禍で見つけた新しい武器」 | FRIDAYデジタル

M-1決勝へ!ウエストランドが「コロナ禍で見つけた新しい武器」

ついに決勝進出! 「重い扉をこじ開けた」の意味とは?

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12月11日、タイタンライブで漫才をするウエストランド。(左)井口浩之、(右)河本太(撮影:松本時代)

2020年は漫才師にとって受難の年であった。コロナ禍にあって舞台数は激減。はたまた無観客での動画配信では、ネタの反応も確認できない。ところがそんな中、コロナ禍の苦しい時間があったからこそM-1グランプリの決勝に行けたと語る漫才師がいる。ウエストランドだ。いったいそれはどういうことか? 彼らに決勝直前インタビューを敢行した。

(M-1グランプリの決勝は漫才師の人生を大きく左右する。万が一にも彼らにコロナ感染があってはならないと思い、オンラインで取材を行いました)

取材はこのようにリモートで行った。(左)井口浩之、(右)河本太

ウエストランドがコロナ禍で見つけた新たな武器

──まずは改めて、決勝進出おめでとうございます!

井口浩之(いぐちひろゆき)「いや、まだ決勝がありますし……。ファンから、僕があまりにも浮かれていなさすぎて、『その態度はどうなんだ』って怒られるんですよ」

河本太(こうもとふとし)「ありがとうございます! ついにここまできました」

井口「お前は浮かれすぎなんだよ! これまでだって『笑っていいとも!』のレギュラーが決まっても売れなかったんだし、かなりやらかしてるから、喜びよりも『いよいよ正念場だな』って緊張感を持てよ!」

──決勝が目前です。漫才の総本山ともいえる吉本勢に、勝てる見込みはありますか?

井口「先日、サンドウィッチマンさんと収録でお会いして、『俺ら以来の他事務所優勝を狙ってよ!』と、声をかけてもらいました。でも、年々、吉本さんと他事務所の垣根を超えた交流が増えていて、あまり意識はしてないんです」

ウエストランドといえば、その特徴は愚痴漫才だ。ツッコミの井口が、社会に対する怨念をこれでもかと発散し、独特の間合いで、河本がボケをかぶせてくる。そんな彼らは、『いいとも!』出演に限らず、賞レースでも結果を出してきた。ただこれまでは、あと一歩のところで決勝まで手が届かなかった。それが、このコロナ禍の難しい年に、決勝へのキップを摑んだのだ。その夜、井口はツイッターでこう呟いた。

「重い扉をこじ開けたぞー!」と。

井口「あの発言には意味があるんです。M-1で、初めて準決勝にいった2018年は、お願いしますって手を合わせる感じで参加していました。『しっかりとM-1に寄せたネタを作ってきましたので、どうかヨロシクお願い致します』って。それが今年は、準決勝が決まったあたりで、このままじゃダメだ、自分たちのやり方で、強引に扉をこじ開けるしかないと思い直して」

──忖度から強引へ。何がきっかけで、そうした心境の変化が生まれたのでしょう?

井口「今年は特殊な一年で、イベントの自粛期間はお笑いライブがなかった。緊急事態宣言下では、コンビで会うこともままならない。それで例年に比べたら、勝負ネタが作れなかったんです。これまでのネタ作りでは、M-1では『こういうネタは落とされる』とか、『これを言ってはダメだ』とか勝手に忖度してきた。ところが今年はネタもないし、2回戦から言いたいことを全部言った。開き直ったんです。それが結果的に良かった」

ウエストランド(撮影:松本時代)

コロナ禍の上半期、舞台数が少なく芸を磨くことが難しかった。逆にそれが功を奏した。ウエストランドが手にしたのは、「開き直り」という新しい武器だ。

井口「4、5年前にタイタン(所属事務所)の新年会で爆笑問題の太田(光)さんにたった一言だけアドバイスをもらいました。それも『開き直れ』だったんです。その言葉の意味が、ずーっとわからずにいました。それが今年、やっとわかった」

そして、決勝に行けたもうひとつの理由に彼らが挙げたのは、生活の変化だ。2年前、河本は妻に逃げられていた。そんな赤裸々な事実も語ってくれた。

河本「タイタンの同期芸人の日本エレキテル連合が、『ダメよ〜ダメダメ』でバカ売れしたとき、彼女たちの仕事が増えたのに便乗して、ウエストランドも一緒に営業に行かせてもらってたんです。それなりに収入も増えてきたので、当時付き合っていた彼女と入籍しました。それが、いつしか営業もパッタリとなくなって……。一回辞めたバイトを再開するのって大変じゃないですか。で、収入もないのに酒を飲んで遊んで暮らしていたら、奥さんが実家に帰ってしまいまして……」

井口「その奥さんが、半年前に帰ってきたんですよ! それまでは生活が荒れて荒れて最悪でした。朝まで飲んで、仕事に来ない日もあったんですから」

河本「芸人を始める前にリフォームの仕事をしていたんですが、独立した知り合いがいて、そこに正社員として雇ってもらったんです。お笑いの仕事があれば休ませてもらえる形で。それで別居してから、彼女に仕送りを続けて、やっと今年の6月に帰ってきてくれました」

井口「こいつの生活リズムが改善したことも、間違いなく決勝進出につながってます」

──この決勝進出を、さぞ奥様も喜んでいるのでは?

河本「『M-1の決勝に進んだから今夜は遅くなる』ってLINEをしたら、『嘘つけ!早く帰って来い』って怒られました(笑)酒を飲む口実だと思われて……」

応援してくれた人々へ報いるために

『笑っていいとも!』が終了したのが2014年。それからわずか数年後、ウエストランドは極貧の極みにあった。家賃を滞納した井口は、管理会社の担当者から部屋を出て行くように催促された。

井口「いまも住んでいるアパートですけど、あまりに貧乏で家賃を滞納してしまって……。管理会社の人が、出て行ってくれってやって来たんです。そこで、『お仕事は何してるんですか?』って聞かれて。『芸人やってます』と話したら、『ちゃんとご飯食べれてますか? うちの関連会社のNPO法人で炊き出しやってるんで、もしよかったら行きませんか?』と、逆に心配されたことがあるんです。

M-1の決勝が決まったら、その人からメールがきたんです。『いま、業務的にメールしてはいけない時間帯なんですが、あまりに大興奮してメールしちゃいました。決勝おめでとうございます! 応援してます』って。その人には家賃を分割にしてもらったり、お世話になってましたから嬉しかったです」

ウエストランドが決勝進出を決めた舞台では、一緒に戦った芸人仲間が、本人たち以上に喜んでくれたそうだ。それもこれも、彼らがこれまで積み重ねてきたものの証だろう。しかし井口は浮かれてはいない。

井口「この先のことを考えると不安でしょうがない。いままではM-1(決勝)に行けていないから売れないんだって言い訳ができたけど、これからはそれが通じなくなる。これからどうなるんだろうと不安ばかりではしゃげない」

明日、いよいよM-1グランプリの決勝が開催される。

ウエストランド(撮影:松本時代)
ウエストランド(撮影:松本時代)
ウエストランド(撮影:松本時代)
ウエストランド(撮影:松本時代)
リモート取材終わりでポーズを取ってもらった
  • 取材・文ハギワラマサヒト

    1967年生まれの臓器移植芸人兼ライター。人生で二度の臓器移植を体験し、移植医療普及の活動をしている。2000年に日本人初の肝腎同時移植をアメリカで、2015年に国内で妻より生体腎臓移植。

  • 撮影松本時代

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