現存する唯一の「昭和的子役」出身者・鈴木福くん(さん)のスキル | FRIDAYデジタル

現存する唯一の「昭和的子役」出身者・鈴木福くん(さん)のスキル

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バラエティとの相性も抜群! 

うつ病と格闘した先崎学九段の実話に基づく、安田顕主演のヒューマンドラマ『うつ病九段』(12月20日放送/NHK BSプレミアム)の中で、鈴木福(16歳)が藤井聡太役を演じると報じられたのは、12月初旬。この報道に、楽しみや誇らしさとともに、一抹の寂しさを感じてしまった人もいるのではないだろうか。 

あの福くんが、そんな立派なドラマで立派な役に挑むなんて!? もしやいつの間にか大人の演技派俳優になっているというのか。 

しかし、それが杞憂だったことがわかる。実際、ドラマは非常に素晴らしかったし、安田顕はやっぱりすごい役者だと改めて感じた。しかし、鈴木福は、首を少し傾げ、伏し目がちに落ち着いた様子で喋る様子が藤井聡太二冠に似てはいたが、やっぱりちゃんと「福くん」だった。ああ、よかった。

最近は報道系の番組にも意欲的に出演してる鈴木福くん、いや福さん(写真:アフロ)

何故なら、鈴木福は、現存する唯一の「昭和的子役」出身者だと思うからだ。

今の子役もしくは子役出身者は、非常に聡明で、演技もうまいタイプが主流になっている。例えば、芦田愛菜はもはや「さま」呼びしなければいけないくらい、子どもの時点ですでに多くの大人を凌駕するレベルにあったし、寺田心も「心さん」と呼ぶほうがふさわしい、人生何回目……といった貫禄を醸し出している。

鈴木梨央も、本田望結も非常にしっかりしたお姉さんになっているし、濱田龍臣は立派なウルトラマン(ウルトラマンジード・朝倉リク)になっているし、子ども店長・加藤清史郎などは留学を経てスマートなイケメンになっているし。

『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』での、陛下への祝辞に感嘆の声が上がった芦田愛菜さま(画像:アフロ)

そんな中、鈴木福だけがいつまで経っても珍しいほどに子どもらしく、昭和的な素朴さ、牧歌的な魅力を漂わせていて、良い感じのスキがあるように思うのだ。それでいて、バラエティとの相性は抜群に良い。

いまだに忘れられない、もう録画で何度観たかわからないくらいお気に入りなのは、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』~「どうせお前こんなんに合うんやろ選手権 鈴木福編」(日本テレビ系/2016年12月11日放送分)だ。

ガキ使レギュラー陣が自分のセンスの気に入ると思うアイテムを買ってきてプレゼントし、本人が気に入った順に順位をつけるという定番企画だが、新たなターゲットとなったのは、完全な子どもでもなく、かといって大人でもない、中学生になる鈴木福だった。

浜田雅功に「大人になったなあ」と言われ、松本人志には「人間ドッグとか行ってんのかいな」とイジられ、「ファッションにこだわりは?」と聞かれるが、「うーん……」と笑顔で首をかしげるだけ。サイズは大きくなってもやっぱり福くんだ。

実は全員子持ちながら、サメの帽子をあげる松本や、サイのバッグをあげる月亭方正、コロッケの袋のようなバッグをあげる遠藤章造など、思春期の男子のことが全くわかっていないメンバーばかり。そんな中、鈴木福が選んだのは、自身にも男の子がいる浜田が選んだブーツやスカジャンなど、ちょっと大人アイテムに集中していたことから、松本に「浜田の隠し子」呼ばわりされていた。

自身のアイテムを選んでほしくて、必死にアピールし、他者のアイテムをdisりまくるみっともないおじさんたちと、イジられてもツッコまれても、慌てず、反論もせず、終始ニコニコ楽しそうな様子の鈴木福のやりとりは、おかしくて可愛くて、平和そのもの。しかも、浜田のブーツとスカジャン、ココリコ・田中直樹のサングラスは本気で気に入ったようで、フル装備の写真をブログにアップもしていた。

中学生になってからは、『二代目 和風総本家』(テレビ大阪製作・テレビ東京系)に2018年10月からレギュラー出演したり(番組はすでに終了)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)で“鈴木福くんの旅”シリーズが放送されたりと、バラエティでの活躍の機会を増やしていた。

バラエティとの相性も抜群に良い。『二代目 和風総本家』(テレビ大阪)より

一昨年の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 「大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!』では、校舎の屋上から主張を叫ぶ企画で「おい! 番組プロデューサー! 楽屋に置いてあるお菓子が甘すぎる! 俺、もう15歳だぞ! 福くんじゃなくて、福さんだぞ!」「俺、芸歴14年だぞ! みんな子ども扱いしやがって。俺ももう、ボーボーだぁ!」と絶叫。爆笑をさらっていた。

実は最近は報道系の番組にも意欲的に出演していて、『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ系/10月18日放送分)や、『Nスタ』(TBS系/11月3日)にネクタイをつけてスーツ姿の鈴木福がコメンテーターとして出演しているのを見たときは、思わずズッコケそうになってしまった。

また、『サンデー・ジャポン』(TBS系/11月1日)に出演したときには、TBSの公式サイトの放送内容で「鈴木福くん、いや、福さんがサンジャポ初登場!」とイジられ、おまけに「ミス・ワールド2019日本代表」でモデルの世良マリカと“W現役高校生ニュース解説”にチャレンジしたものの、世良があまりにしっかりしていることから、視聴者たちに盛大に比較されてしまうという憂き目に遭っていた。しかし、この「イイ子だけど、ごくごく普通の子」っぽさこそが鈴木福の魅力だろう。

それが大いに生かされたのが、『有吉の壁』(日本テレビ系)での活躍ぶりだろう。

2019年1月2日放送分「テレビ局に潜んで笑わせろ!」では、「お助けガチャ」として登場。6歳向け子役オーディション会場で小さな子役たちに並んだ14歳の大きな鈴木福が、短パン×ハイソックス姿で「鈴木福です。14歳です。好きな食べ物は広島風お好み焼きです」と変声した低音でアピール。「6歳、イケます!」と言ってハジケまくって爆笑をとっていた。

また、2020年9月9日放送分「スーパー銭湯で笑わせろ」では再び「お助けガチャ」として登場。パンサー尾形とワタリ119に「持ってんだろ?(金を)」「出せよ、金を。稼いでんだろうが」と脅され、「持ってないです……」とうなだれていたところから一転、「持ってねえっって言ってんだろ!」と二人の頭をつかんで次々に氷の山に投げつけ、「なめんじゃねえぞ!」と言い捨てて去る“悪”で“強”な一面を見せるネタをノリノリでやってみせた。そして、有吉弘行からマルをもらった後、協力してもらった二人が「ありがとうございます!」と頭を下げると、いつも通りの福スマイルを見せる。

ずいぶん協力的だと思ったら、『有吉の壁』は非常に好きな番組だそうで、10月14日のInstagramではこんなエピソードも記していた。

「昨日学校帰りに自転車乗っていると、小学校低学年くらいの子達が帰り道にじゃれあってて、危なかったので『危ないから車に気を付けて遊びなよ~』と言ったら『あの人なんか見たことある、有吉の壁出てた人じゃね!?』と後ろから聞こえました(笑) 有吉の壁すげぇ。」

とはいえ、実はちょっと前まで、いつまでも子どもらしさを失わない鈴木福のことを、勝手にちょっと心配していた。

というのも、2017年4月6日に放送された『1周回って知らない話』(日本テレビ系)の中で、鈴木福がファンと一緒に行ったバスツアーが紹介されたところ、福が「プレゼントも用意しているので」と言うと、母親くらいの年代のファンの女性たちが「パンツ(鈴木福の)?」と、思いきりセクハラ発言。それに対し、笑顔で「変態ですか」と返すやりとりがあまりに闇深いとネット上で話題になっていたからだ。

これは正直、ほとんどの視聴者がドン引きしたし、心を痛めた。シャレにならないセクハラだと今もやっぱり思う。

ただ、そんなセクハラに「変態ですか」と即座に返す鈴木福は、いつまでもあどけなさの残る「福くん」でありつつ、すでに親戚や近所のおじさん・おばさんの下品なギャグなども受け流す、思春期をだいぶ前に卒業したような余裕を身にまとう大人なのかもしれない。

優等生&秀才の多い子役&子役出身者たちの中で、異質の輝きを放つ鈴木福。

優等生的タイプが大人の下品なイジリやツッコミを寄せ付けない凛々しさやスルースキルを持っている一方で、鈴木福は半分「昭和の子ども」でありつつ、半分「誰より達観した大人」として、バラエティの中で確かな力を身に付けながら独自の道を歩みつつある。

  • 田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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