ポスト・サンドウィッチマン「本命はバイきんぐ」と評判のワケ | FRIDAYデジタル

ポスト・サンドウィッチマン「本命はバイきんぐ」と評判のワケ

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バイきんぐの今後を左右する、「じゃないほう」西村という男

どんな番組でも、いつでも、誰に対しても、「〇〇じゃねえかよ!」「△△だよ、この野郎!」と強めのツッコミを炸裂。それが怖くも嫌な感じにも全くならないどころか、スキンヘッドの特徴的なルックスと、最高に愛らしい笑顔も相俟って、老若男女に死角なく愛されるバイきんぐ・小峠英二。 

そこにきて今、「じゃないほう」の相方・西村瑞樹への注目度が上昇している。

その理由の一つは、コロナ禍の影響もあっての「ソロキャンプ」流行りにより、テレビや雑誌などにキャンプネタで西村が引っ張りだこになっていること。月刊誌『男の隠れ家』でも、昨年10月から「オレのキャンプ道」という新連載がスタートしている。

かつては「小峠がたくさん仕事をし、西村はその金を自分の趣味のキャンプに費やすだけ」に見えた「甲斐性のある女房と、ヒモ男」的構図が、時代の流れも味方して「趣味」が仕事につながり、いつしかダブルインカムの構図に変わってきているのだ。

さらに、お茶の間を盛大に沸かせたのは、1月5日放送分『ロンドンハーツ 新春3時間スペシャル』(テレビ朝日系)~「ロンハースポーツテスト2021」だ。

50m走決勝において、EXIT兼近、ジャングルポケット・おたけに次いで3位となった西村は、15メートル先のパネルに的中させるピッチングサバイバルでぺこぱ・松陰寺とともに優勝。走り高跳びは途中敗退したものの、クライミングバーでもEXIT兼近に次いで2位、さらにチーム対抗リレーを経て、総合優勝したのである。

しかも、西村の素晴らしいところは、お茶の間が高い運動能力を見たことにより「カッコいい!」「素敵!」という反応になるわけではなく、「バイキング西村 あの体型、あの年齢、あの走り方で、なんであんな早く走れるのか永遠の謎」「バイキング西村あの体型で運動神経いいとか益々恐怖だわww」「バイキング西村の悲しきモンスター感すごい。ロンハーを見て」などなど、“わからなさ””得体の知れなさ“に対する恐怖や笑いの感情を抱いてしまうこと。

西村っていったい何なのか。

(写真:アフロ)
(写真:アフロ)

実は西村は運動能力だけでなく、IQも高いことが知られている。『芸能人格付けチェック2016』(テレビ朝日系)の調査でIQが125だったことから、『水曜日のダウンタウン』(TBS系/2017年4月12日放送)において「頭脳と肉体を兼ね備えたコンビこそ最強説」に頭脳派として出演。 

にもかかわらず、1問目の漢字書き取りクイズで、西村は問題を伏せるため裏にして配られたフリップを「裏でもらったから」という理由で表に返さず、むやみやたらと魚へんの漢字を書けるだけ書くという謎の行動をし、挙句、偶然にも三問正解。「現在の日本の中央官庁、〇〇省を答えよ」というクイズに、「文部省」「文化省」「自然省」などなど、一つも正解が出ないまま、最終的に「福建省」と中国の行政区分を口走る始末。常識でははかれない、高次元(?)の謎の頭脳が明らかになっていた。

思えば、西村の奇人変人ぶりは、2018年に放送された『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)の人気企画「激安!いいね!アース」シリーズのタイ縦断、台湾一周などの頃から際立っていた。

これは、旅の写真をInstagramにアップし、その「いいね」の数が資金として供給され、目的地まで到達するという企画。台湾一周の旅では、台湾のインスタ王と呼ばれる人気歌手との2ショットなどで大量の「いいね」を獲得していたが、最終日の朝、「いいね」を確認し、目標に到底及ばないことが判明。

すると、ディレクターに「行けるところまで進めましょう」と提案されても「ゴールできないのに行く意味はない」と頑なに拒否し、「飯食って帰りましょう」と食事やUFOキャッチャーに資金を浪費してしまう。

見事なクズっぷりだが、そうした西村の常識を超えた言動には、「クズさに笑った。最高ww」「ラストは西村が最低すぎて最高だった」など、絶賛の声が続出。目的を達することはなく、おまけに努力すら見せない見事な諦めぶり・クズぶりだが、バラエティ的には満点、いや120点の大正解だったのかもしれない。

そんな超人で奇人変人・西村が、時代の変化に流されるまま、気づいたらお茶の間の温度に馴染んできている。とはいえ、西村がお茶の間に合わせた適温になったわけではなく、西村という男の刺激的な温度に、視聴者のほうが慣らされてきているのだろう。これは、明らかにバイきんぐそのものの底上げにつながるはずだ。

ところで、本来「じゃないほう」だった西村が存在感を増した今、共通点が見えてくるのは、老若男女に満遍なく高い支持を受けているサンドウィッチマンの存在である。 

この二組の意外な関係性が明らかにされたのが、『ボクらの時代』(フジテレビ系/2020年6月21日放送分)だ。

どちらも下積みが長く「遅咲き」で、共に賞レースのチャンピオンであること。どちらも仲良しコンビであること(バイきんぐの場合、小峠は西村と一緒にロケをやるのが一番苦痛だとは語っているが)。

また、年齢はサンドウィッチマンのほうが2歳くらい上だが、芸歴は逆にバイきんぐのほうが2年ぐらい長いというややこしさがあるため、「タメ口で行こう」という協定を結んだそうだが、西村だけが気づくと敬語になっていたという。

また、芸に関しては、どちらもデキるサンドウィッチマンに対し、バイきんぐは小峠のみが「デキる人」でポンコツ・西村を引っ張っているように見えるが、コンビの関係性は案外近い。

というのも、バイきんぐの場合、ネタを作るのが100%小峠であり、西村は「セリフを覚えるだけ」で、アドリブを入れることは皆無。たまに小峠がアドリブを入れるときすら、それが聞こえないフリをして台本にただただ忠実にやることから、「コントロボット」と言われていた。

それに対し、サンドウィッチマンの場合、ネタを作るのはボケの富澤で、伊達はそれに沿ってツッコミをするわけだが、アドリブが多すぎて「富澤に怒られる」ことが多く、「たまに文句を言う操り人形」と自虐してみせる。いずれも仕事に対する相方への厚い信頼があるからこそ、成立する関係だろう。

相方に怒られ、呆れられつつも、相方の作ったネタを常に忠実にロボットのようにやりきり、仕事のないときに趣味でやっていたことが仕事につながり、思いがけない場所から大きな「戦力」になって浮上してきた西村。高いIQも高い運動能力も実用性からは縁遠く、現時点では謎や笑いが深まる要素になっているばかりだが、「よくわからない」ことがまた、西村の最大の魅力でもあると思う。

ファン層が広く、安定感抜群で、老若男女に死角ない好感度を持つ小峠と、優れた頭脳と身体能力を持て余す一方で、何が起こるかわからない予測不能の爆発力を持つ西村。その二人の力が合わさることで、わけのわからない面白いものが生まれる気がする。 

下積み長く、仲良し芸人の千鳥が抜群の人気を誇る現在。しかし、平和なベア感のある“Wぽっちゃり”の実力派・サンドウィッチマンに最も近いのは、「安定感×爆発力」の“Wハゲ”バイきんぐだったりして? かなりキツイ冗談ではあるが、考えれば考えるほど、ない線ではない気もしてくる「ポスト・サンドウィッチマン=バイきんぐ」説。そんな未来を見てみたいのだ。

  • 田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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