「古い笑い」と言われて悩む、ガンバレルーヤよしこに送るエール | FRIDAYデジタル

「古い笑い」と言われて悩む、ガンバレルーヤよしこに送るエール

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女芸人が体を張るのは「古い笑い」なのか?

テレビのバラエティ番組において、藤田ニコルやみちょぱなどのギャル系タレントか、ファーストサマーウイカ、朝日奈央などの元アイドルタレントで1枠、女芸人は1枠程度で構成されている例は多い。 

ただでさえ狭き門の「女芸人」枠なのに、今はコロナ禍で出演者数を減らしている傾向もあり、出演枠を巡って、ますます熾烈な戦いが繰り広げられている印象がある。 

今でいう「お笑い第七世代」のように、フレッシュな顔が登場するとそのポジションを奪われるという栄枯盛衰は、芸人に限らず、いつの時代も繰り返されてきたことだ。 

しかし、流行り廃りのスピードが加速している今は、生存競争が特に厳しいのではないだろうか。そんな中、早くも「過去」とされて苦しんでいるように見えるのが、ガンバレルーヤ・よしこだ。

「『ダウンタウンDX』でぼる塾と出て、あんりに全部持ってかれてから、ちょっと様子がおかしいんです」と、まひるは言う(写真:アフロ)
「『ダウンタウンDX』でぼる塾と出て、あんりに全部持ってかれてから、ちょっと様子がおかしいんです」と、まひるは言う(写真:アフロ)

『ダウンタウンDX』(日本テレビ系/1月28日放送分)にガンバレルーヤが出演したとき。よしこが最近、イジられたときの定番の返し「クソが!」を封印したがっていることを、相方のまひるが明かしていた。 

よしこは、第七世代のぼる塾・あんりや、3時のヒロイン・福田など、しっかりツッコミができる女芸人を意識し、「クソが!」を振ってもらう場面でも、あんりのような返しをすることがあり、「クソが!だけの女だと思われたくないんだよ」と大泣きしたこともあったそうだ。

同番組ではMC・松本人志のフリもあって、「クソが!バイバ~イ!」とよしこが卒業宣言し、「新ギャグ」と言われる流れになっていた。

しかし、この悩みが単なるネタふりではないことは、同日放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で明かされる。

この日、MCの蛍原徹から、「前回のあの若手女芸人、あれは反響ありましたか」と聞かれ、「容姿イジリがダメな風潮になった今、どうしたらいいか」と悩みを語り始める。

ここで言う「前回」というのは、明らかによしこにとって大きな転換点になったようだ。少々、時を戻そう(改めて、なんて便利な言葉なんだろう)。

それは、昨年9月10日に放送された同番組の「若手女芸人」回だ。

バラエティではよくあるパターンだが、この回では「古い笑い」と「新しい笑い」を軸に対立構図として展開する。「古い笑い」の代表として挙げられたのが、劇場で下ネタを披露するガンバレルーヤで、まひるは「巷では古い笑いをやってる最後の女芸人みたいな」と自虐し、笑いをとっていた。

一方、「新しい笑い」として立ちはだかったのが、広告代理店の会社員と兼業しているラランドのサーヤだ。サーヤはまず番組が作成した出演者の立ち位置を「見た目インパクト/キレイ系」の縦軸と、「リアクション/トーク・ネタ」の横軸で分けたマトリクスについて、「古い」と批判。しかし、女芸人が体を張ったり、見た目の自虐をしたりする笑いを「古い笑い」として否定するサーヤに噛みついたのが、よしこである。

森三中やモリマンなどの先輩たちが作ってきた道を挙げ、「先祖が作った笑いを何故守らない!? あなたたちは!」と吠え、こんな不安も吐露したのだ。 

「最近、ブスとかデブとか、容姿イジリがやっぱりダメみたいな流れになってるじゃないですか。私たちとかホントに、顔一本でここまでやってきたので、それがなくなると、私たちどうやって笑いとっていったら良いか」 

そこからサーヤの「キレイって言われたくはないってことですか?」「言われたいんですよ、ホント、可愛い、綺麗って」などと畳みかける「洗脳」のような問いかけに「……私、ホントは可愛い、キレイって言われたいの?」と混乱していくよしこ。最終的に体当たり系の罰ゲームのような企画に真っ先に突っ込んでいくよしこに、サーヤがまたしても「ホントにやりたくてやったんですよね?」「ホントは?」と“洗脳”の問いかけを続け、よしこが「やりたくない。バイバ~イ!」というオチに至った。

この流れ自体は、よしこもサーヤも、おそらくそれぞれに与えられた役割を全うしただけの、ある意味「予定調和」のやりとりだったはずだ。

しかし、よしこの中ではそこで終わっていなかった。それどころか、これを機に深い苦悩が始まり、『アメトーーク!』(1月28日放送分)での告白に至ったわけだ。まひるは言う。

「『ダウンタウンDX』でぼる塾と出て、あんりに全部持ってかれてから、ちょっと様子がおかしいんです」「最近ホントに、まぁ、あんりとか、3時のヒロイン、ぼる塾が出てから、結構こういう変なスイッチ入ること多くて」

そして、よしこ自身、「ここ数年、1度もウケてない」と真顔で語った。

実は同日放送の『ダウンタウンDX』では、「最近、浜田さんも『あんり』『あんり』で、あんりにゾッコンなので、よっちゃんもちゃんと面白いんだぞと」として、アメリカのビザで「税関でこれ出すと、お前カバンに肉とか野菜入れてんだろ、と止められる」という人相の悪い衝撃写真を披露。ここで手を叩いて浜田は笑っていたが、その後に「あんりの昔の写真」として紹介された、あんりがマザー牧場の子豚レースで豚を追う写真などに、持って行かれてしまう。

ちなみに、浜田は1月19日、26日放送分の『そんなコト考えた事なかったクイズ! トリニクって何の肉!?』に2週連続でぼる塾が登場した際(というか、おそらく2週分まとめて収録された)、ぼる塾のことを知らず、最初は「誰?」などと言っていたのに、あんりの「顔」に目をつけ、何度も様々な角度からあんりの顔ばかりを凝視しては、あんりに「私の顔を見るなよ!」などと強く注意されていたのである。

ぼる塾においてオチは通常、「まあねぇ~」の田辺さんであり、あんりはツッコミなのだが、浜田はイジラレ担当ではないあんりの、それも「顔イジリ」を執拗に行っていた。

つまり、浜田の最新のお気に入りがあんりなわけだから、よしこはそれを苦にする必要などないわけである。

しかも、よしこの苦悩の発端となった昨年9月分の『アメトーーク!』においても、ネットの掲示板などでは「古い笑い」代表とされたよしこについて、「よしこが一番面白い」「よしこしか面白くない」などという絶賛の声が続出していたのだ。 

ガンバレルーヤのような笑いは、確かに、見た目イジリがNGとされる現代の風潮から少々ズレた古典的な笑いかもしれない。「クソが!1本でやってきた」「1本グソ」などと本人は自虐してみせる。しかし、よしこの体をはる自虐芸、他の人を誰も傷つけない気の回し方には、優しさも美しさもある。 

バラエティ番組で空気が微妙になるとき、いち早く敏感に察知し、自分をオチにして空気を変える気配りなどを見るたび、介護の仕事やスナックで働いていたという経験が大いに生かされているのではないかと考えてしまう。

そして、ガンバレルーヤの素晴らしさは、そんなよしこの落ち込みモードに、ぼんやり大雑把に見える相方・まひるが気づき、心配し、支えているように見えること。気配りや盛り上げ上手で、おそらく非常に繊細なよしこと、芯が強く太く、なだらかな安定メンタルの持ち主・まひる。ガンバレルーヤって、実は奇跡的な組み合わせなんじゃないだろうか。 

SNSなどの浸透もあり、芸能人・有名人には、とかくネガティブな声ばかりが届きやすい時代だ。実は褒めたたえる声がたくさんあることを、本人は知らずに苦悩することも多いだろう。だからこそ、改めて称賛を送りたい。負けるな、よしこ!

  • 田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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