森喜朗・前会長「今日も五輪開催へ積極的に活動中」!
退任後も議員と会食、 日本財団や首相官邸、キヤノン・御手洗冨士夫会長を訪問…… 橋本聖子の会長就任を説得したのも結局この人
「これから感染者が激増でもしない限り、東京五輪は間違いなく開催します。99%開催。IOCも五輪組織委員会もその方向で動いている。調整はどんな形で開催するか、だけです」(五輪組織委関係者)
国民感情を置いてきぼりにしたまま、7月23日の開会式に向け、東京五輪の準備が着々と進んでいる。舵(かじ)取りをしているのは、2月18日に五輪組織委員会の新会長に就任した橋本聖子参議院議員(56)ではなく、やはりこの男だ。
「森喜朗前会長(83)はいまも組織委員会のなかで隠然たる影響力を持っています。というより、森前会長がいないと組織委は何も決められないというのが実情。森前会長は’01年に総理の座を追い落とされたときから、政治家生命のリベンジとして五輪招致を進めてきた。
20年に及ぶ活動のなかで築いた人脈は多岐に渡り、組織委が何か決めようとすると必ず森前会長の人脈にぶつかる。IOCのバッハ会長と対等に話せ、スポンサーや国会議員と水面下で調整できるのは、森前会長だけという現実があります」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)
森前会長の後任を巡っては、川淵三郎氏に決まりかけて白紙に戻るなど、ゴタゴタがあった。だが結局、人事を取りまとめたのは森前会長だという。
「森さんはまず、安倍(晋三)前首相に打診。さすがに断られたので川淵さんに声をかけましたが、これもダメだった。そこで、菅(義偉)首相の『会長は女性で』という意を汲んで橋本議員を説得したんです。森さんは約1時間、電話で『娘のように思っている』と言って口説いたそうですよ」(前出・組織委関係者)
自分がいなければ話はまとまらない――それがわかっているからこそ、退任した今も森前会長は積極的に活動している。
3月初旬、都内のタワーマンションから送迎車で出発した森前会長は銀座へ向かい、昵懇(じっこん)の衆議院議員と食事。また別の日には、東京五輪のスポンサーであるキヤノンの御手洗冨士夫会長を訪問。その翌日には、五輪を支援する日本財団の笹川陽平会長を訪問した後、首相官邸にたっぷり1時間滞在した。
悲願の東京五輪開催に向け、大物と調整を重ねる森前会長。むしろ役職が外れ、メディアの目に触れなくなったことで、その影響力は増してさえいるようだ。


『FRIDAY』2021年4月9日号より
撮影:西 圭介