爆笑問題・太田光がオリジナル絵本を描き続ける理由 | FRIDAYデジタル

爆笑問題・太田光がオリジナル絵本を描き続ける理由

絵を描いたり朗読したり...絵本の制作過程も大公開!

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絵本『アマガエル』について語る太田光(撮影:ハギワラマサヒト)

「絵を描くのは好きだったね。でも、ちゃんとした絵というよりは落書きに近いかな。マンガに登場するようなオリジナルキャラクターを考えて、それを元に空想をして遊んでいたね。俺は一人っ子だったから、究極の一人遊びだよ」

そう答えてくれたのは、爆笑問題の太田光だ。

太田といえば、本職の漫才にとどまらず、これまでもマルチな才能を発揮してきた。エッセイ集や小説を発表し、2018年に監督した映画『クソ野郎と美しき世界』からの一編、「光へ、航る」では、ブルーリボン賞監督賞にもノミネートされた。

そんな多才な太田が、このたびオリジナル描き下ろし絵本「アマガエル」(アプリ限定)を発表した。全22ページにおよぶ作品では、テレビで見せる破天荒な太田とは違い、例えばラストシーンに描かれた宇宙空間は、星雲までもが繊細に表現されていた。この絵心、画力はどこからくるのだろか。──「もともと、絵を描くのは好きでしたか?」と、そんな素朴な疑問の答えが、冒頭の発言なのである。

「漫画家になろうとは思わなかったけど、ノート一冊分のSFマンガを描いたこともあった。宇宙戦艦ヤマトが大好きで、それを上回るスケールの物語。タイトルは孤独な影と書いて“孤影(こえい)”。我々の銀河系がある宇宙に、別宇宙から敵が攻めてくるという壮大なストーリー」

アプリ限定絵本『アマガエル』の表紙

ぜひ、太田が描くマンガも読んでみたいものだが、子供の頃、絵本は読まれたのでしょうか?

「藤城清治さんの絵本が大好きで、家にたくさんあった」

藤城清治氏といえば、日本を代表する影絵作家で多数の絵本も出版されている。まさに太田が上梓した小説「マボロシの鳥」を原作とした、「絵本マボロシの鳥」も発表している。

「あれは嬉しかったね。絵本も好きだったけど、藤城さんの作ったキャラクターのケロヨンが子供の頃に大好きでね。その藤城さんが俺の小説で絵本をつくってくれたんだから。『絵本マボロシの鳥』を見たら、もう俺の文章なんてどうでもいい。邪魔とすら思ったよ(笑)」

ケロヨンとは「バハハーイ」のフレーズで昭和40年代に一世を風靡したカエルのキャラクターだ。その生みの親こそが、影絵作家の藤城清治氏なのだ。そして、太田光が初めて手掛けた絵本のタイトルも「アマガエル」という。

主人公は心に深い闇を抱えた少年だ。表紙をめくると、こんなことを心の中でつぶやいている。「ボクはかいぶつだ。ボクはかいぶつ。ボクはかいぶつ」と。太田はこの絵本について、こうコメントしている。

「自分がいつも考えていることを、物語にしました。今、私たちが生きている世界や社会に、居心地の悪さはないだろうか。自分は、この世界に馴染めているだろうか?という思いを主人公に託しています」

絵を描く太田光

そんな少年が、おさない頃に見たアマガエルを通して自分の居場所を見つける。そんなストーリーである。製作日数はどれほどかかったのだろうか。

「今回の絵本は、もともと、雑誌の連載で書いた短編小説が原作になっているんだ。それを絵本用に直して、時間を見つけては事務所の会議室で、去年の12月いっぱいかかって描いたかな」

表紙を含めて22枚の作品からなる絵本ですが、一番のお気に入りはどのページでしょうか?

「それを選ぶのは難しいよ。どのページもお気に入りだけど……、しいていえば最後のページが大変だったかな。このシーンの背景は宇宙なんだけど、俺のイメージとしては、真っ暗な宇宙空間に、無数の星がきらめいている感じにしたかったんだ。ただ、それをどうやって描けばいいかわからなくて。

まさか、筆で一点ずつ描くわけにもいかないし、白い絵具を散らしてもうまくいかない。それで細かいザルの網目に絵具をおいて、ふるいにかけたんだ。アイデアとしては悪くなかったんだけど、俺が不器用だから、ときどき、ボトッて絵具が落ちちゃうんだよ。しょうがないから、また宇宙を重ね塗りして、それを何度も繰り返しているうちに、逆に星雲みたいな感じに仕上がって、すごい気に入っている」

水彩絵の具で色をつける

まさにこのラストシーンの前頁に、ピエロのメークをした少年が椅子に座っている。爆笑問題の太田といえば、時々、ピエロのメークをしてテレビに登場する。また、高校時代、学校に友達が一人もいなかったエピソードは有名である。どうしても、この主人公の少年と太田光少年が重なって見えるのだ。

「それはそうだと思います。小説を書いていても、この絵本もそうだけど、どうしても自分が考えてつくるものだから、どうしても自分を消すことはできない。……それとあのピエロのページには仕掛けがあって、前半にでてくる同じ構図の少年の絵と対になってるんです。絵本を読むときは、そこにも注目して欲しいですね」

事務所でコツコツと作業

絵本をつくる工程は楽しかったと語る太田だが、これからもまた絵本を描くかと問われると、それは否定的だった。

「それよりも、新作の小説がすでに書きあがっているので、それを発表するのが先決です。これも力作ですから、楽しみにしていてください」

偶然とはいえ、藤城清治氏の産んだケロヨンが大好きだった太田少年が、大人になって描いた絵本のタイトルが「アマガエル」。漫才、小説、映画監督と多才な太田光だが、子供の頃の究極の一人遊びこそ、太田の想像力の源なのだろう。

太田が発表した絵本は、地域教育アプリ『maria@home』で、5月1日(土)まで、期間限定で無料公開されている。

何ページ目の絵なのか、ぜひ探してみてほしい
ペンで輪郭を描いている

『アマガエル』の朗読を録音しているところ。アプリでは、太田光の肉声による朗読も聞ける

※閲覧にはアプリのインストールが必要です。

■アプリ概要
名称:子育てがもっと楽しくなるアプリ maria@home
配信プラットフォーム:Google Play / App Store
ジャンル:教育アプリ
URL:https://home.mariaproject.com/
内容:子どもの考える力、伝える力を育む対話型知育アプリ
推奨環境:Android: 5.1以降 / iOS: 10以降
利用料:無料

  • 文・撮影(1枚目)ハギワラマサヒト

    1967年生まれの臓器移植芸人兼ライター。人生で二度の臓器移植を体験し、移植医療普及の活動をしている。2000年に日本人初の肝腎同時移植をアメリカで、2015年に国内で妻より生体腎臓移植。

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