4億円かけて建設の橋が低すぎて…遊覧船が「スレスレ通過」 | FRIDAYデジタル

4億円かけて建設の橋が低すぎて…遊覧船が「スレスレ通過」

みなとみらい 追加工事に血税7000万円投入の大マヌケ

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3月31日に全面開通した女神橋と、その下を通る遊覧船。デッキ上の乗客は橋に頭をぶつけないよう屈んでいた
3月31日に全面開通した女神橋と、その下を通る遊覧船。デッキ上の乗客は橋に頭をぶつけないよう屈んでいた

「噂には聞いていましたが本当にスレスレでしたね。2階デッキにいたのですが、橋が迫ってきた瞬間、『ぶつかる!』と思いました。立っていたら危なかった」

みなとみらい(横浜市)の運河に架かる「女神橋」の真下を遊覧船で通った20代の男性は、興奮気味にそう語った。

国と横浜市が総額4億円をかけて建設した「女神橋」が、3月31日に全面開通した。山下公園付近から臨港パークを結ぶ新たな散歩コースとして注目されているが、実はある〝不具合〟のため、8ヵ月も開通が遅れていた。冒頭の遊覧船を所有する、『シャイニークルーズ』社の今野真美子取締役が事の顚末を語る。

「女神橋は’20年3月に橋桁(はしげた)を取り付けたのですが、桁下高(けたしただか)が足りず、潮位が上がると弊社の約半数の便が橋下を通過できないことが判明しました。廃業寸前まで追い込まれたため、我々は橋の改修を嘆願する署名活動を開始しました。

当初は取り合ってくれなかった横浜市でしたが、活動が地元紙に報じられるようになると、急に方針を転換。追加工事で橋を60㎝ジャッキアップすると発表したのです」

追加工事に要した費用はなんと7000万円。もちろん、市民の血税が使われている。なぜこんなミスが起こったのか。事情を知る市の関係者が説明する。

「恥ずかしい話ですが、実測をせずに建設してしまったのです。手前に架かっている国際橋の桁下高表示3.5mを参考に造ったのですが、国際橋は緩やかなアーチ型で、船が通過するもっとも高い部分は約4.2mある。一方の女神橋は直線型。市がこうした違いを把握していなかったのが今回のトラブルの原因です」

お粗末と言うほかないが、横浜市はどう捉えているのか。市の港湾局に問い合わせると、以下のような返答があった。

「国際橋の桁下高は実測していませんが、関係する事業者には事前説明したうえ、国の設計基準にも沿っているため、当初の計画に問題はないと考えています」

こうした横浜市の姿勢について、行政の無駄遣いをチェックする『かながわ市民オンブズマン』メンバーで弁護士の大川隆司氏はこう批判する。

「運河を遊覧船が行き交っていることは事前にわかっているわけで、船を運航する事業者への影響を考えれば、工事前に実測するのが当然。余計な税金を投入したとなれば、住民監査請求の対象となってもおかしくありません」

起こるはずのないミスを起こした横浜市の怠慢は許されるべきではないだろう。

60㎝ジャッキアップされた部分。女神橋の追加工事には横浜市民による7000万円もの税金が注ぎ込まれた
60㎝ジャッキアップされた部分。女神橋の追加工事には横浜市民による7000万円もの税金が注ぎ込まれた

「FRIDAY」2021年4月23日号より

  • 写真・取材・文桐島瞬

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