驚愕レポート「コンビニから店員がいなくなる日」がやってくる
無数のカメラがお客さんを追いかけ、決済はセルフ 陳列は遠隔操作ですべてロボットが行う
東京・竹芝(港区)にある『ローソンModel T 東京ポートシティ竹芝店』では、冷蔵庫の奥でロボット『Model−T』がせっせと飲料の補充作業を行っている。ロボットを操作しているのは、壁一枚隔てたバックヤードにいるオペレーターだ。
VRゴーグルとコントローラーを装着したオペレーターが右手を挙げれば、ロボットも右手を挙げる。Model−Tを開発・販売する『TELEXISTTENCE』社のコックピットオペレーションマネージャー・小林伴之氏が言う。
「左手は飲料専用で、一度に2本摑めます。右手はサクション(吸引)と3指グリッパーを使用して、複数の摑み方ができる。おにぎりの三角形の頂点を摑んだり、弁当のフタを吸引して持ち上げたりできます。吸引なので、多種多様な形状の商品を陳列することができます。
昨今のコンビニ店員の仕事は多岐にわたります。レジ打ちのみならず、揚げ物も準備して、宅配便やECサービスに対応し、その間に掃除などと業務がマルチタスク化しています。アルバイトでも一人で複数の仕事をこなさなくてはならず、ロボットが飲料補充を担うだけでもぐっと楽になるはずです。遠隔操作なので、理論上はネットにつながっていれば、どこからでも作業ができます。
将来的には子育て中の親が自宅から、空いた時間にコントローラーを駆使して『Model−T』を動かし、コンビニの飲料を補充できるようになるのです」
万引き対策もバッチリ!?
Model−Tはローソンだけでなくファミリーマートでも試験運用が行われている。そのファミマは3月31日、業界で初めて無人決済システムを実用化した『ファミマ!! サピアタワー/S店』を東京・丸の内にオープンさせた。システムを開発した『TOUCH TO GO』社代表の阿久津智紀氏が説明する。
「店舗の天井にカメラ付きセンサーを48台設置し、これと商品棚に設置したセンサーでお客さんがどの商品を手に取ったのか、あるいは棚に戻したのかを捕捉しています。商品は手に持っても、カバンやエコバッグに入れてもかまいません。
支払い手段もクレジットカードと交通系電子マネーに加えて、現金でも可能にしました。お客さんが現金も含めたさまざまな決済手段で、普通にお買い物ができる店を目指しています」
無人レジは2台。商品を持ってレジ前に立つと、タッチパネルに購入前の商品リストが写真入りで映し出される。確認して決済すると、ゲートが開いて退店できる。商品を買わない場合でも、退店ボタンをタッチすればゲートが開く。
意地悪な本誌記者は形のよく似たカップラーメンを複数個、隠すように手に取り、レジまでダッシュしてみた。ものの1秒ほどだったが、パネルには種類も数量も正確に映し出された。
さらに感心したのが、一度決済を済ませたら、その商品を持って再び入店しても決済済みと認識される点だ。おにぎりを購入してゲートを出た後、飲み物を買おうと再び入店してレジ前に立っても、飲み物だけが表示され、おにぎりの代金を再び請求されることはない。非常に高い精度で商品の追跡を行っているのだ。
「コンビニは慢性的な人手不足ですが、今後も少子高齢化が進むため、さらなる省人化は避けられません。今はまだ入り口で、セルフレジや無人決済、ロボットの導入といろいろなアプローチがなされている途中です。今後、誰でもできる仕事はロボットに任せるようになるでしょう」(流通アナリストの渡辺広明氏)
かつて駅の改札には乗客の切符を切る駅員がいたが、今はもういない。いずれコンビニから店員がいなくなる日が来るかもしれない。

❶入る

❷選ぶ

❸払う

❹出る

『FRIDAY』2021年4月23日号より
撮影:結束武郎