国民食「ケンミンの焼ビーフン」がコロナ禍ちゃっかり進化していた | FRIDAYデジタル

国民食「ケンミンの焼ビーフン」がコロナ禍ちゃっかり進化していた

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しかも直営レストランがあるって知ってました?

スーパーに行くと見かけるあの黄・赤・青の袋の「ケンミンの焼ビーフン」。北日本の人は「は?」かもしれませんね。そもそも関東以北であまり知られていないので説明しますが、神戸発祥の袋入り乾麺で、味が付いているのでなんとフライパンにぶっこんで水入れて炒めるだけで焼ビーフンが出来上がります。

スーパーで100円ぐらい。これで一食まかなえるってのに、安っ!

この焼ビーフン、昔はただ「便利だな~」ぐらいにしか思っていなかったのですが、コロナ禍に家でしぶしぶ何か作る時に、そのマルチな才能を再発見したわけです。しかもですねえ、コロナ禍の需要をキャッチして今春リニューアルしていたんですって! というわけで、今回はこのビーフンについて根掘り葉掘り取材してみました。

本社は神戸元町・中華街の近くにある

ビーフンが迎えてくれる玄関。嬉しい!

ケンミン食品本社は神戸の中華街から歩いてすぐの場所にあります。創業は1950年。台湾出身の高村健民氏が「現地で食べたビーフンを日本でも味わいたい」という多くの声に応えビーフン製造を開始したのが始まりでした。当時は普通の乾麺でしたが、作り方や食べ方を知らない人のために、味付け済みで茹で戻し不要の「焼ビーフン」を開発しました。

そもそもビーフンと春雨ってどう違うのか

今回ご案内くださった執行役員広報室長・田中さん。ビーフン好き! って顔してますよね!

執行役員広報室長の田中国男さんに聞きましたら、「ビーフンは米粉、 春雨は緑豆やジャガイモなどのデンプンから作られています」。ほほ〜分かりやすい!「さらに麺状にする方法も違っていて、ビーフンは高圧で押し出す『押出し方式』、春雨は圧力をかけない『垂下方式』という…(略)」

どんどんマニアックな袋小路に迷い込みそうでしたので、ほな工場で作る様子を見せてもらいましょかと頼みましたら、

「工場はタイにあります!」

なんでやねん!

なぜなら、ケンミンの焼ビーフンの原料となる米は全てタイ米! その理由は後で説明しますが、創業以来ずっと東南アジアのお米でビーフンを作っていた中、1970年代に輸入外国米の入手が困難になるという危機に。この時、他のビーフン会社(当時何社かあった)は廃業したり、日本の米で作ることを選択したのですが、ケンミンだけは「じゃあ原料のあるところに行こう!」と大胆な決断をし、タイに工場を設立したそうな。

「これがケンミンを随一のビーフン会社として存続させる結果に繋がったわけです。ふふん」と田中さん。確かに、ビーフン会社ってケンミンしか聞かない…。パイオニアでありリーディングカンパニーってわけですね。

どうやって作られるのか

というわけでタイ工場にお邪魔して作る様子を撮影してきました! ってのは嘘で、もらい画像で簡単に解説します。

原料のタイ米は細長い長粒種で、ジャスミンとか香りの付いていない一期作の硬質米品種です。ところで、なんで日本米じゃダメなの? と聞きましたら「なんでだっけ」と田中さん、隣に居合わせたマーケティング部の方に無茶振り(笑)!

すると「粘り成分であるアミノペクチンが日本米は多く、タイ米は少ないため、麺状にしやすいんです」と即答してくださいました。社員の鑑!

ラボで新しい商品やレシピの開発をするマーケティング部の方々。いい匂いが漂っていました
蒸すことで麺の旨みと弾力が引き出されるのだとか

洗ったタイ米をふやかして粉砕し、米粉に。ここで「炊かない」ってのがポイントです。炊いた白飯より低GI化され、血糖値が上がりにくくなるんだそうです。へ〜!

で、米粉を蒸し上げて餅のように柔らかくしたあげく、いっぱい穴が空いた機械で押し出して綿状に。それをまた蒸して、今度は寝かせて…と、非常に面倒くさい工程を繰り返すわけです。

焼ビーフンの場合はまだここから。「味付け」を忘れると買った人がガッカリします。味を付けるタレは醤油ベースにチキン、ポークエキス、オニオン、ニンニク、ショウガほか企業秘密の材料を配合し、一緒に炒める具材の美味しさを活かせるよう程よい加減で麺にまとわせます。

で、フライパンで炒めるだけで味が具にも染みて立派な麺料理になると

リニューアルして劇的に変化!? 

そういえばリニューアルしたんだっけ。ということで本題に入りましょう。

猫:さて、そんな焼ビーフンが2021年春からリニューアルされたわけですが、一体何が変わったのでしょうか。

田:四角い麺が丸くなりました!

猫:四角が丸に…それってスゴいの!?

田:劇的な変化ですよ。四角い麺だとフライパンに2つぐらいしか入らなかったのが、丸くしたことで3人分入れて一気に調理できるようになりました。そして、丸くしたことでパッケージを少し小さくすることができたため、ゴミが減って地球環境に優しいよねと! 

左が従来型。右が丸くなったビーフン。量は同じなのでご安心を

猫:なるほど…流行りのSDGsってわけですね。ちなみにどのくらいサイズカットしたんでしょうか。

田:5mmです!

猫:えっ、それだけ!?

従来のサイズのもの(左)と新型パッケージ(右)。確かに短くなっとる

田:いやいやいや猫田さん、5mm変えるのってものすごく大変なんですよ。袋のメーカーさんにも規格変えてもらわないといけないし。会社の事情は置いておいて、丸くしたことでコッヘルに入れやすくなったので、アウトドアにも持っていける。つまり災害時の非常食としても有用性が見出されたってことです。

なるほどー。色々後付けな気もしますが、とにかくコロナ禍の巣ごもりにも、災害時にも、密を避けたアウトドア時にもオールマイティーに役立つってことですね。

ビーフン愛が止まらない田中さん

カット野菜を入れてチンするだけの新商品。「乾麺コーナーで生きてきた我々が、野菜コーナーにも置いてもらえるように!」と嬉しそうな田中さん

「ちなみに名店のシェフたちに教わった『焼ビーフンまかないレシピ』の中で、トマトジュースで作るアマトリチャーナがダントツ旨かったんです。麺にチキンやポークの下味が付いているので、調味料いらずなんですよ。この焼ビーフンは“乾麺”ではなく“惣菜の素”であると我々も気づいたわけで…(略)」

あらあら田中さん、ビーフン愛が止まらなくなってすごい熱弁し始めましたよ。いつも思うのですが万人に愛されている商品のメーカーで働く方って、本当に自社商品を愛しているのだなーとなんだか微笑ましくなります。

確かに、商品が焼ビーフンだけじゃ会社ここまで大きくならないですよね!

ちなみにケンミン、実は色々な種類を出しています。「焼ビーフン」だけでも「鶏だし醤油」のほか「こく旨塩」「幻のカレー」など3種類。さらに、「米粉専家」シリーズの「ベトナム風フォー」「台湾風白湯ビーフン」なんて商品も。

しかもアンチ春雨なのかと思いきや、「たっぷり野菜を入れて作るプルコギ春雨」と春雨にまで手を出しているではないか!

ラインナップの一部。米とデンプンを使った乾物なら一通り作っているんですね…!

なんと、ケンミン直営のレストランがある

ところで、本社1階に何やらレストラン的なものがあることに気付いたのですが、もしや…?

本社1階にあるケンミンダイニング。昼時はビジネスマンで満席!

そうです。なんとケンミン食品は外食も展開していて、特級厨師(中国料理の上級認定資格で、取るのすごい大変)が腕をふるう本格中国料理が食べられるレストラン「ケンミンダイニング」が神戸と東京・六本木にあるんです。他にもビーフンと点心の専門店「YUNYUN」を神戸南京町などに3カ所運営。知ってました?

そりゃ一流コックが作るビーフン、食べてみたいですよねえ。というわけで、ケンミンダイニングにお邪魔しました。

家で作れないプロの焼ビーフンが食べられる!

ランチのご飯はおかわり自由。ビーフンおかわり自由じゃないってとこがミソですね!

意外と価格はお手頃で、日替わり料理に「福建風焼ビーフン」が付いたビーフンAランチが900円。しかもスープ、ご飯もセットです。ビーフンと白飯ってアリなんだ…。

でも、やっぱ家で作るビーフンと同じじゃ…と思いましたら「違いますよ!」。失礼しました。まず仕込みが大変。味のついていないビーフンを湯戻しして、XO醤などを配合したタレと一緒にタマネギ、ニンジンを入れて炒めて野菜の旨みを染み込ませる。仕上げにキャベツやニラ、モヤシなどを入れもう一度味を調えて…と、ものっすごく時間と手間をかけているそうです。

しかも家庭と違い火力が強いのがポイント。強火でガッと炒めて香ばしさを出しているから、このシャキシャキ、ムッチムチ感が実現するんです。

ビーフンBランチ950円は一品料理がこんな豪華な前菜に変わります

さらに、家では到底作れないビーフンメニューも味わえます。それが「特製土鍋焼ビーフン」。土鍋でグツグツ煮立ちながら登場する、テンション上がるラスボス級のビーフン様です。

特製土鍋焼ビーフン(1380円)。エビやホタテ、チャーシュー、野菜がゴ〜ロゴロ。ビーフンのおこげがたまらん!

点心も忘れちゃあいけません。小籠包や春巻、焼売など、特級厨士の総料理長とYUNYUNの点心師によるコラボメニューが揃います。

小籠包(3個680円)。ビーフン屋ということを忘れてしまうぐらい本格的な味!

ん? メニューを見ると「ラーメン」とか「焼きそば」があるではありませんか。これビーフンの敵、小麦粉で作った中華麺じゃねーか!

ビーフンじゃない、海鮮あんかけ揚げ焼そば980円。中華麺も旨かった…

聞くと「毎回焼きそばだけ食べに来られる方もいらっしゃいます。あとラーメンとチャーハンと焼きそば! というオーダーのこともあります」と店員さん。「やっぱりちょっとイラっとします?」と聞きましたら、「いえいえ。お客様も『ゴメンな〜』となぜか謝られるんですが(笑)」とのこと。謎のビーフンへの気遣い、さすが神戸人ですね!

とまあ、めくるめく焼ビーフンの世界を知るうちに、これまでさほど思い入れのなかったビーフンに対して急に愛着が湧いてきましたよ。

肉なしでもちゃんと旨い。万能食だな!

ちなみに田中さんにケンミンダイニングのビーフン旨かったっす、とメールを送ったら、「スーパーで売っている焼ビーフンは美味しいですが、ダイニングのビーフンはまた別の美味しさが楽しめます!」と返事がありました。どこまでビーフン・ラバーなんだ!

■ケンミンダイニング(ケンミン食品本社1F)神戸市中央区海岸通5丁目1番1号

  • 取材・文・写真猫田しげる

    1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。

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