「アミメニシキヘビ」が大脱走した街を覆う奇妙な変化 | FRIDAYデジタル

「アミメニシキヘビ」が大脱走した街を覆う奇妙な変化

現地ルポ 横浜市戸塚区の住宅街は大パニック のべ500人以上が大捜索しても見つからない人間を襲う「特定動物」に登録されている

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5月14日の捜索には警察、消防隊、地元消防団など、のべ100人以上が現場の戸塚区名瀬町に動員された

平和だった町に、異様な緊張が張り詰めていた。

ここは横浜市戸塚区(神奈川県)にある住宅街。横浜市の中でも山や川に囲まれ、畑が多くあるのどかなエリアである。しかし、住民は恐怖におびえていた。5月6日、とあるアパートの一室から人間を襲う「特定生物」に指定されている「アミメニシキヘビ」が逃げ出したのだ。

本誌記者がこの地に降り立ったのは、脱走から8日間が経った朝。記者はすぐに住民の様子が不自然なことに気づいた。皆やけにうつむきがちなのだ。地元住民の40代女性に話を聞いた。

「外を歩くときはいつも無意識に下を見てしまいます。この町って蛇(へび)が潜んでそうな下水の側溝とか、畑の水路がたくさんあるから、いつどこから飛び出してくるか……。ちょっとした隙間でも今は見るだけで怖いんです。子供を外で遊ばせられないし、犬の散歩もできませんよ」

捜索隊が捕獲棒を持ち、この住宅街に出動したのは朝10時ちょうどだった。

「この日は〝最終作戦〟と銘打たれ、警察や消防隊など総勢100人以上が動員されました。消防隊にはスコープを使って、排水溝をシラミつぶしに探すよう指示があったんです。また、前日に仕掛けておいたエサのドブネズミが入った罠(わな)に蛇がかかっているかをチェックして回りました」(捜索に参加した戸塚消防隊員)

下水道と罠。どちらかに蛇が潜んでいると捜索隊は踏んでいた。本誌は二手に分かれ、捜索活動に密着した。怪しいポイントを巡ること2時間。結果はすべてハズレ。最終作戦は失敗したのだ……。

「我々は残って探すぞ!」と声を上げ、本誌記者は退却する隊を背に、雑木林の更に奥深くへ入った。正午にもかかわらず、昼間とは思えない暗さ。獣道をかき分けても、一向に蛇の姿は見えない。ガサガサッと音を立てるのはリスばかり。しかし、午後3時過ぎ、静寂が破られる。

「ポイントの畑に集まってください!」と、トランシーバーの声が聞こえてきたのだ。現場へ駆け付けると、畑の横にある別の雑木林の入り口に捜索員が集結していた。本誌記者も同行しようとしたが、消防隊から制止された。ついに発見か? 待つこと30分。戻ってきた捜索隊の手には何もなかった。捜索は21日に打ち切り予定で残り時間は少ない。

なぜのべ500人以上が捜索しても、3.5mの蛇は見つからないのか。アミメニシキヘビを含む50匹以上の蛇を飼育し、捜索にも参加した爬虫類愛好家の『真夜中のビバリウム』氏はこう話す。

「逃げだした蛇は実はそんなに大きくないんです。とぐろを巻けば、横40㎝の虫カゴにすっぽりと入ってしまいます。周辺には山や川の他に、畑の納屋などが点在しており、蛇が隠れやすい環境が多いんです。あとは、季節の問題です。アミメニシキヘビは東南アジア原産で、5月の気温はこの蛇にとっては寒い。どこかでじっとしているのだと思います」

蛇はどこに行ってしまったのか。本誌記者は独自に捜索を続ける予定だ……。

自宅前で取材に応じる飼い主の男性。「ご迷惑おかけしてすみません。今は家を整理しています」と語った。その後、飼育していた他の爬虫類を譲渡した
スコープを使って、下水道の中を捜索する消防隊。名瀬町には水路が多く、蛇の隠れられるポイントが多い
アミメニシキヘビ。この個体は体長3.1m。この大きさでも縦20㎝×横40㎝の虫カゴにすっぽりと入ってしまう
実際に仕掛けられた捕獲用の罠。手前にあるのは蛇が罠にかかったことを知らせる動体センサー付きカメラ
雑木林に入る本誌捜索班。現場は林というよりは山に近い。5時間に及ぶ捜索でも発見できなかった。無念だ!

『FRIDAY』2021年6月4日号より

  • 撮影濱﨑慎治

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