<figure id="attachment_184730" aria-describedby="caption-attachment-184730" style="width: 4066px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5cc152b6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/82ef7095de2dce6e22d5ed132b0d89d7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-184730" class="wp-caption-text">５月14日の捜索には警察、消防隊、地元消防団など、のべ100人以上が現場の戸塚区名瀬町に動員された</figcaption></figure>
平和だった町に、異様な緊張が張り詰めていた。
ここは横浜市戸塚区（神奈川県）にある住宅街。横浜市の中でも山や川に囲まれ、畑が多くあるのどかなエリアである。しかし、住民は恐怖におびえていた。５月６日、とあるアパートの一室から人間を襲う「特定生物」に指定されている「アミメニシキヘビ」が逃げ出したのだ。
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本誌記者がこの地に降り立ったのは、脱走から８日間が経った朝。記者はすぐに住民の様子が不自然なことに気づいた。皆やけにうつむきがちなのだ。地元住民の40代女性に話を聞いた。
「外を歩くときはいつも無意識に下を見てしまいます。この町って蛇(へび)が潜んでそうな下水の側溝とか、畑の水路がたくさんあるから、いつどこから飛び出してくるか……。ちょっとした隙間でも今は見るだけで怖いんです。子供を外で遊ばせられないし、犬の散歩もできませんよ」
捜索隊が捕獲棒を持ち、この住宅街に出動したのは朝10時ちょうどだった。
「この日は〝最終作戦〟と銘打たれ、警察や消防隊など総勢100人以上が動員されました。消防隊にはスコープを使って、排水溝をシラミつぶしに探すよう指示があったんです。また、前日に仕掛けておいたエサのドブネズミが入った罠(わな)に蛇がかかっているかをチェックして回りました」（捜索に参加した戸塚消防隊員）
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下水道と罠。どちらかに蛇が潜んでいると捜索隊は踏んでいた。本誌は二手に分かれ、捜索活動に密着した。怪しいポイントを巡ること２時間。結果はすべてハズレ。最終作戦は失敗したのだ……。
「我々は残って探すぞ！」と声を上げ、本誌記者は退却する隊を背に、雑木林の更に奥深くへ入った。正午にもかかわらず、昼間とは思えない暗さ。獣道をかき分けても、一向に蛇の姿は見えない。ガサガサッと音を立てるのはリスばかり。しかし、午後３時過ぎ、静寂が破られる。
「ポイントの畑に集まってください！」と、トランシーバーの声が聞こえてきたのだ。現場へ駆け付けると、畑の横にある別の雑木林の入り口に捜索員が集結していた。本誌記者も同行しようとしたが、消防隊から制止された。ついに発見か？　待つこと30分。戻ってきた捜索隊の手には何もなかった。捜索は21日に打ち切り予定で残り時間は少ない。
なぜのべ500人以上が捜索しても、3.5ｍの蛇は見つからないのか。アミメニシキヘビを含む50匹以上の蛇を飼育し、捜索にも参加した爬虫類愛好家の『真夜中のビバリウム』氏はこう話す。
「逃げだした蛇は実はそんなに大きくないんです。とぐろを巻けば、横40㎝の虫カゴにすっぽりと入ってしまいます。周辺には山や川の他に、畑の納屋などが点在しており、蛇が隠れやすい環境が多いんです。あとは、季節の問題です。アミメニシキヘビは東南アジア原産で、５月の気温はこの蛇にとっては寒い。どこかでじっとしているのだと思います」
蛇はどこに行ってしまったのか。本誌記者は独自に捜索を続ける予定だ……。
<figure id="attachment_184731" aria-describedby="caption-attachment-184731" style="width: 1396px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5ce66353"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/a0a200f00d3c1f28a3f7de2237630389.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-184731" class="wp-caption-text">自宅前で取材に応じる飼い主の男性。「ご迷惑おかけしてすみません。今は家を整理しています」と語った。その後、飼育していた他の爬虫類を譲渡した</figcaption></figure>
<figure id="attachment_184732" aria-describedby="caption-attachment-184732" style="width: 2728px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8d584938"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/e264396f6192f1c097ca3ec192f3c520.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-184732" class="wp-caption-text">スコープを使って、下水道の中を捜索する消防隊。名瀬町には水路が多く、蛇の隠れられるポイントが多い</figcaption></figure>
<figure id="attachment_182164" aria-describedby="caption-attachment-182164" style="width: 3066px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="af03f1b3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/670d69ff6964dd752b30ee1af6ee8111.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-182164" class="wp-caption-text">アミメニシキヘビ。この個体は体長3.1m。この大きさでも縦20㎝×横40㎝の虫カゴにすっぽりと入ってしまう</figcaption></figure>
<figure id="attachment_184733" aria-describedby="caption-attachment-184733" style="width: 3803px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b1babd72"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/df6a1e6d98c6e5b1c218cfd20cba60aa.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-184733" class="wp-caption-text">実際に仕掛けられた捕獲用の罠。手前にあるのは蛇が罠にかかったことを知らせる動体センサー付きカメラ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_184734" aria-describedby="caption-attachment-184734" style="width: 3634px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="da536e95"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/05/9e10d80146611cc5ab7d191b99bfed61.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-184734" class="wp-caption-text">雑木林に入る本誌捜索班。現場は林というよりは山に近い。５時間に及ぶ捜索でも発見できなかった。無念だ！</figcaption></figure>
『FRIDAY』2021年6月4日号より

濱﨑慎治

５月14日、横浜市戸塚区にある住宅街では緊張が張り詰めていた。とあるアパートの一室から人間を襲う「特定生物」に指定されている「アミメニシキヘビ」が逃げ出したのだ。蛇はどこに行ったのか。捜索活動を追った

「アミメニシキヘビ」が大脱走した街を覆う奇妙な変化

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