巨大イカだけじゃない!見るだけで楽しい日本の「巨大遊具」の世界
ガリバーやゴジラ、スフィンクスまで! 賛否両論を巻き起こした能登の巨大イカもビックリ
イカの駅つくモール(石川県鳳珠郡能登町)

今年4月、石川県能登町の『イカの駅つくモール』に完成したイカのモニュメント――全長13m、幅9mという巨大イカのコンセプトは、「食うか喰われるか」。口の中に入ってイカに喰われる疑似体験もでき、迫力は抜群。だが、コロナ禍で国から支給された感染症対策地方創生臨時交付金2500万円を使って制作したとして、批判も浴びてしまった。能登町の担当者はこう語る。
「コロナ収束後の観光事業を考えるなかで、町の特産品であるスルメイカをPRしようと設置を決めました。同じ交付金を使ってコロナ対策もしっかり行っているので、感染が下火になったら、ぜひ巨大イカを見に町へいらしてください」
こうしたユニークな遊具は、能登町だけでなく全国の公園に多数、存在する。ここではその中から、本誌が厳選した世界に一つだけの遊具を紹介しよう。
鳥羽市民の森公園(三重県鳥羽市)


三重県鳥羽市の『鳥羽市民の森公園』にあるガリバー滑り台(横12m、縦6m)は、一点を見つめるガリバーの澄んだ瞳が印象的だ。鳥羽市に取材を申し込んだところ、ガリバー自身が答えてくれた。
「わたしはガリバー。わたしの右腕は滑り台となっている。表情は変わらないが、機嫌が悪いわけではないので、安心してほしい。地元の有志の方々は潮風でボロボロだったわたしを修復してくれた。いまは新型コロナ感染対策の啓発のために巨大マスクをしている。ツイッターもやっているので、覗(のぞ)きに来てほしい」
新西新井公園(東京都足立区)

いまや全国各地の公園で見られるタコの滑り台。その発祥地とも言われるのが、東京都足立区の『新西新井公園』だ。’60年代、全国の公園では、スウェーデンの芸術家、ニールセンが提唱した「彫刻遊具」(プレイ・スカルプチュア)を置くことがブームとなっていた。『新西新井公園』がこれにタコの頭を付けて滑り台にしたところ、一気に広まったとされる。
くりはま花の国(神奈川県横須賀市)

神奈川県横須賀市にある『くりはま花の国』に聳(そび)え立つのは、全長10m、重さ5tのゴジラ。尻尾部分が滑り台になっていて子供たちが楽しめるほか、時折、行われる夜間ライトアップも人気だ。
柏公園(千葉県柏市)

千葉県柏市の『柏公園』にはプッシュホン型の滑り台と受話器型のベンチがある。’81年に千葉県の加入電話台数が150万台に達したことなどを記念して、電電公社(現在のNTT)が寄贈したものだ。
公園遊具を撮り続けている写真家の木藤富士夫氏が、遊具と地域との密接な関わりについてこう語る。
「公園遊具の多くは、戦後の団地やニュータウン開発と同時期に作られました。地元から愛着を持たれているため、老朽化してもほとんどの場合、再び同じモノが作られます。『ロボット公園』『ゴジラ公園』など、公園自体が遊具の名称で呼ばれることも多いです。デンマークにある世界の遊具を集めた公園には、日本のタコの滑り台も展示してあります」
お気に入りの遊具を探しに、身近な公園巡りをするのもいいかもしれない。
王子六丁目児童遊園(東京都北区)

カママ嶺公園(沖縄県宮古島市)

わんぱく公園(千葉県香取市)

錦第二公園(東京都立川市)

東保木間公園(東京都足立区)

大鋸外原公園(だいざりとばらこうえん)(神奈川県藤沢市)

後河内公園(神奈川県藤沢市)

『FRIDAY』2021年6月4日号より
取材・文:桐島瞬
ジャーナリスト
撮影:濱﨑慎治(ゴジラ、ダイヤル式電話、パンダ) 結束武郎(ロボット、スフィンクス、鬼、カメ、プッシュホン型電話、タコ)