相談女性の下着姿を撮影で逮捕「正義感溢れる元警部」の黒い疑惑 | FRIDAYデジタル

相談女性の下着姿を撮影で逮捕「正義感溢れる元警部」の黒い疑惑

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2016年04月12日、元薬物乱用者の支援活動を続ける池袋署警部として取材された際の蜂谷嘉治被告 写真:共同通信

相談のために警視庁を訪れた女性に対し、その下着姿をスマートフォンなどで撮影したとして2020年10月に逮捕されたのは、同庁組織犯罪対策5課の元警部だった。

蜂谷嘉治被告(63=逮捕当時)は、かつて池袋署で薬物犯罪の捜査に従事していたころ、薬物依存症の支援グループ「NO DRUGS」をスタートさせた。2018年春に定年退職したが、警視庁組織犯罪対策5課員として再任用され、2019年9月に依願退職。のちに再犯防止に取り組むNPO法人「ネクストゲート」を立ち上げた。

事件は依願退職直前の2019年7月16日に起きたとされる。警視庁本部1階の応接室内で、胸が露出した下着姿の相談者を、蜂谷被告がスマートフォンで数回撮影したというのである。現在彼は、特別公務員暴行陵虐で起訴されており、東京地裁で公判が続いている。

蜂谷被告の「NO DRUGS」「ネクストゲート」での活動は、さまざまなメディアに取り上げられていた。FRIDAYデジタルもそのひとつだ。「ネクストゲート」を立ち上げ代表となった彼にインタビューし、2020年7月に記事を配信している。インタビューを行ったのは直前の6月。この頃にはすでに女性からの被害届が受理されていたことになる。

2020年7月配信のインタビュー記事はコチラ

2020年6月FRIDAYデジタルのインタビューを受けた際の蜂谷被告

4月と5月の公判では、被害女性の尋問が行われた。女性は涙ながらに当時の蜂谷被告の警視庁応接室での振る舞いを語った。

女性によれば、蜂谷被告との出会いは2015年ごろ。池袋署の「NO DRUGS」セミナーに参加したことがきっかけだ。その後、定期的にセミナーに出席し、警視庁に蜂谷被告が移ってからは「個別指導」も始まった。女性一人が参加することもあれば、複数人のこともあり、また蜂谷被告だけのことも、それ以外の警察官が対応することもあったというが、その多くが蜂谷被告と女性の一対一で行われていたのだそうだ。

140回以上に及ぶ「個別指導」が行われていた警視庁警備第1課の応接室は、玄関から入ってすぐの受付の隣にある4畳ほどの窓の無い部屋。ここで、女性が買ってきた弁当を一緒に食べたり、蜂谷被告の肩を揉むなどしていたという。

「お弁当を食べて、肩を揉んで、蜂谷さんが寝て、起きるのを待って、その後に会話するみたいな感じです。蜂谷さんが『こうしたほうがいいぞ』とアドバイスをたくさんくださっていました。

アドバイスで印象に残っているのは……いろいろありすぎたと思うんですが『努力したかは自分でなく、周りが決めること』と言っていたのは心に残っています」

別室から質問を受けるビデオリンク方式での尋問のため、法廷に被害女性の姿はなく、傍聴席にはその声だけが聞こえる。尋問は「個別指導」が続く中で、セクハラ行為が始まった経緯におよんだ。

弁護人 「事件の1年前から、被告人に胸を揉まれたりなどされるようになったと言いましたが、そのきっかけは?」

女性 「忘れてしまいました」

弁護人 「蜂谷さんからの罰だと言っていましたが、罰としてそういうことをされたんですか?」

女性 「ごめんなさい、ちょっとわかんなくなってきたんで、休憩いただけますか」

尋問はこのように時折中断することがあった。女性は蜂谷被告のことを「父親や教祖さまのような存在だった」とも言う。そんな存在だった蜂谷被告との「個別指導」では「罰」を与えられることもあった。事件の日も「罰」の話になった。その日は14時から「個別指導」が始まり、蜂谷被告はスマホでゲームをしていたという。

女性 「反省文を渡しました。すごく長かったんで『読みたいんですけど』と言いました。『今いいよ』と言い、ケータイでゲームをしながら聞いてくれました。こんなにたくさんの人に支えてもらい、頑張れずに申し訳ない、これから頑張りたいという内容でした」

弁護人 「読み上げを被告人は聞いていました?」

女性 「ゲームしながらなので、聞いていたかもわかりません」

弁護人 「裸の写真を撮るぞとなるまでにどんなことが話題になりましたか」

女性 「私が肩を揉んでいると『今日の罰は何にするか』という話になり『今日お前は断れないんだぞ、お前の裸の写真でも撮ってみるか』と言われました。

ダイエットで、定期的に裸の写真を撮っておけば、嫌でも痩せるんじゃないかと蜂谷さんは言っていました。前に2万歩歩く罰があったんですが、痩せないので、さすがに裸の写真を撮れば……と訳のわかんない話でした」

女性は応接室の向かいにあるトイレで10分〜15分ほど悩んだというが「断ったら見捨てられる」と思い、応接室に戻った。撮影に至る過程で、蜂谷被告は女性の胸も揉んできたという。

弁護人 「嫌だよとか、やめてくれとか言いましたか?」

女性 「体がものすごく震えていましたが言えませんでした」

弁護人 「『ブラを取れ』と言われましたか?」

女性 「ダイエットの写真なので、取らなくてもいいと思いましたが、どうしますかと聞くと(被告が)うなずいたので、取れという意味だと思い、取りました。その時点で心が壊れているので、何を言われたか、確定的に言えることはあまりないんです……」

弁護人 「写真を何枚か撮りましたが、これはあなたが頼んだんですか?」

女性 「ありえません」

女性はこうした弁護人からの質問に混乱した様子で、泣いているのか、激しい息遣いを感じる音声が聞こえ、尋問が少し中断した。

弁護人 「パンツをおろしている写真もありますが、おろしたのは?」

女性 「蜂谷さんです」

こうして「個別指導」を終えた女性は当初「これを言ったら蜂谷さんが逆にまずいと思った」と、教祖であり父親でもある蜂谷被告からの行為を公にしてはいけないと感じていたというが、のちに別の刑事に打ち明けた。

その後、被害届を出すことを決めたが、秋には一旦「処分を求めない」「大ごとにしない」と決めたのだという。その過程で蜂谷被告からは「俺にも家族がいる、部下もいる。50何人という『NO DRUGS』のメンバーもいる。ごめんね」とも告げられた。

当初ためらっていた被害届を昨年になって提出したのは、性被害支援のNPOなどで知り合った人々から「(女性が)裸の写真を撮ってほしいと言っていた」「言ってきたから撮った」と蜂谷被告が周囲に話していることを耳にしたことがきっかけだったという。

女性 「いろんなところで嘘を言っているんだと思ったからです」

蜂谷被告はこうした女性の尋問を、目を閉じながら聞いていた。検察側はさらに4名の証人を申請しており、次回期日は追って指定となった。被告人質問はまだまだ当分先の見込みであるが、果たして何を語るのか。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

  • 写真共同通信(1枚目)、田中祐介(2枚目)

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